2010年02月24日

「かもの法則 ―脳を変える究極の理論」(著)西田 文郎【2】

前回の続きです。


●前回の記事: 「かもの法則 ―脳を変える究極の理論」(著)西田 文郎【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002029.html


とらえどころのない脳。
努力したい、努力しなければいけないと思うのに、なぜか努力できないという事がありますが、脳の構造を理解することで、操作可能になるそうです。


・願望は実現せずに予感は実現する。


能力開発といいますと「イメージ」と「思考」・・・つまり右脳と左脳で考えられてきました。
しかし脳は右脳(イメージ、空間処理)と左脳(思考)だけではありません。

右脳と左脳は、大脳新皮質という比較的新しくできた脳の右側と左側です。
その下には大脳辺縁系、更にその下には脳幹があります。

大脳辺縁系が作り出しているのが「感情」。
呼吸や消化、血液循環、体温調整など生命活動のベースとなる身体機能を維持するための器官を調整しているのが「脳幹」。
ですから、右脳・左脳のイメージ、思考だけでは心のコントロールができないのです。

著者は能力開発や目標実現能力と、脳に発生する心の有りようを調べて行くうちに、とある脳の法則にぶつかりました。


・予感はなぜか実現する。


ふと浮かんでくる予感は、必ずしも好ましいものばかりではありません。
新しいプロジェクト、大切な試合、入学試験などを前にして、嫌でも抱いてしまう様々な予感。
そういう予感は、なぜか実現します。


・人の一生は、本人も気づかないうちに、いつの間にか実現されてしまった予感の連続である。


と著者は語っています。
不成功で終わった仕事、負けてしまった大事な試合。
前もって「うまくいかないかも」「負けるかも」と予感があったのではないでしょうか?

夢と予感は違います。
同じ夢を抱いても、「この夢は実現できるかも」と予感する人と、「こんな夢はかなわないよな」「難しいかも」と予感する人がいます。

願望は実現しなくても、予感は実現します。
なぜなら願望は、表層的な脳(大脳新皮質)が生み出した観念に過ぎないからです。
しかし予感は、もっと深い潜在意識から生まれます。
脳は予感を抱いた瞬間から、全力でその予感を実現しようとするものなのです。
脳にはそのようなプログラムがされているのです。


・悪い予感ほど実現しやすい。


理由は、いい予感(お金持ちになれるかも。事業が成功するかも。画家になれるかも)が実現するには、必ず努力が必要だからです。
一方、悪い予感は、努力の必要がありません。
私たちの脳は、悪い予感を抱いた瞬間から、努力することをやめます。
本人が努力しているつもりでも、脳が努力を放棄してしまうそうです。

貧乏になる人は、教育や学歴が理由ではありません。
金持ちを予感出来ないのが理由です。
貧しい環境で育つと、お金持ちに出会うこともないし、お金の素晴らしさも知りません。
貧しさに妥協し、無気力に受け入れる両親の姿を見て育つと、「金持ちになりたい」「金がほしい」とは思っても、「頑張れば、俺もお金持ちになれるかも」「俺でも稼げるかも」という、「肯定的なかも(前回に説明しました)」を抱けなくなってしまうのです。

金持ちも「かも」の結果なら、貧乏も「かも」の結果です。
「かも」は未来の予感。
その予感を意識的に作り出せる道具(言葉)。
過去の経験を超えて飛ぶことの出来る唯一の道具なのです。


・悪い「かも」が飛ぶと脳は努力を放棄する。


著者は30年近くアスリートにメンタルトレーニングを指導してきました。
試合前や試合中に「負けるかも」「勝てないかも」と予感して勝った選手は一人もいないそうです。

悪い予感がひらめくと、脳はその瞬間から、もう勝とうとする努力をやめてしまいます。
脳内に分泌されるホルモンが一変し、せっかく作り上げてきた心身の最適戦闘状態は、あっけなく崩壊します。

スポーツは結果がすぐ現れるので、そういう因果関係が分かりやすいのですが、ビジネス上だって同じです。
悪い「かも」が、本物の鳥のカモのように飛ぶと、脳は努力をやめます。
「できないかも」「うまくいかないかも」「売れないかも」・・・・・・そうひらめいた途端、辺縁系にある快不快の脳=扁桃核が「不快」になります。
扁桃核の不快は、たちまち脳全体に伝わり、脳のホルモン状態に大きな変化を引き起こします。

やる気の脳である側坐核がトーンダウン。
未来を作り出す脳と言われる前頭前野(脳の最前線で目的実現のために脳全体を指揮する総司令官)の活動性が低下。
つまり、脳が努力を放棄する状態になるのです。
人の脳は、いい予感であれ悪い予感であれ、全力で予感を実現しようとします。


・「良いかも」が羽ばたいている脳は、プラスの実現能力が高まる。「悪いかも」が鳴いている脳では、マイナスの実現能力が高まってしまう。


「否定的なかも」「肯定的なかも」とは、マイナス思考、プラス思考の事ではありません。
明確な思考ではなく、概念化される前の「感じ」「質感」・・・これを「クオリア」と言うそうです。

「否定的なかも」は実行力と言う、自分の現実を変革する必須アイテムを私たちから奪います。


・実行できないのは、もともと行動力がないのではない。「できないかも」「駄目かも」という予感が、実行力を奪っているだけ。


私たちの好き・嫌いには、「快」「不快」が存在します。
例えば、

・不快・・・この仕事は嫌だ(この仕事は難しくて面倒だ)
・快・・・この仕事はやりがいがある(この仕事を成し遂げることで喜びが得られる)

「快」から生まれた感情は、人の脳を肯定的にし、積極的にします。
自己防衛的な「不快」から生まれる感情は、脳を否定的にして、未来を目指す脳の活動にブレーキをかけます。
扁桃核を「快」にするにはどうしたら良いのでしょうか?

どうしたら自分を高められるかと常に自分の脳に問いかける人は、そのために必要な人間と出会います。
不思議と、その問いかけに応えてくれる人と出会うのです。


・人は自分に必要な人と出会うように出来ている。


それ以外の人に出会っても、未来に対する「かも」が発生しないからです。
人の役に立ちたいと問いかける人間は、困っている人に出あうと、「自分が役に立てるかも」「助けてあげられるかも」と思います。
儲けることを常に考えている時、そのヒントを持った人に出会うと、即座に「儲かるかも」が発生するのです。
自分が思っていなければ、それらの人が横を遠っても気づかないのです。

以上、今回は脳の働きについてでした。

●次回の記事: 「かもの法則 ―脳を変える究極の理論」(著)西田 文郎【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002031.html

(続く)

Posted by kanzaki at 21:59
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