2010年02月22日

「かもの法則 ―脳を変える究極の理論」(著)西田 文郎【1】

西田文郎さんが書かれた「かもの法則 ―脳を変える究極の理論」を読みましたので、ご紹介したいと思います。


この前、「口ぐせ」を変えることで性格も変えることが出来るという事を書きました。


●「言葉」が人の性格を変える【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002010.html

●「言葉」が人の性格を変える【2】
〜ほめる覆面調査会社「C’s(シーズ)」の社長・西村貴好さん
http://kanzaki.sub.jp/archives/002011.html


有言実行なんていう言葉がありますが、言うからこそ、その人が目標を達成できるように脳や自律神経が働くのです。
今回読みました「かもの法則」も、脳への働きかけを工夫することで、人生を良い方向へ向けていける秘策が書かれていました。

よく人は、

「成功したい。でもできない"かも"」
「夢をかなえたい。でもかなわない"かも"」
「もっと儲けたい。でも、この不況では会社がつぶれる"かも"」
「彼女とつきあいたい。でも、嫌われる"かも"」

などと言うように、「・・・かも」という「否定的なかも」を使います。
私たちの脳は、「したい」という願望の方ではなく、この「かも」のほうを実現してしまう仕組みになっているそうです。
この「否定的なかも」が、私たちを望まない人生、願わない人生へ追いやるのです。

『「言葉」が人の性格を変える』の記事でも書きましたが、人間の脳は、現実とイメージを明確に区別出来ません。
だから「否定的なかも」というイメージも、記憶として脳に蓄積されます。

「できないかも」は「できないだろう」になり、さらに「きっとできない」になり、最後に「できっこない」へと昇格してしまいます。
あきらめがやってくるのはその時です。
人は失敗したからあきらめるのではなく、「かも」の形で、失敗を予感するからあきらめるのです。

「もしかしたら、できないかも」「無理かも」「うまくいかないかも」という思考以前の予感が出てくると、どんなプラス思考でも太刀打ち出来ず、脳は自分の意思や願望とは無関係に、全く反対の方へ進んでしまう・・・・・・これを「かもの呪い」と言います。

マイナス思考、ネガティブシンキングが諸悪の根源ではなく、思考以前に脳に舞い降りてくる「かも」が、人生の鍵を握っています。
誰だって、「もしかしたら、できないかも」と考えがちです。
そんなもの、どうやって克服するんだよとツッコミたくなりますよね。
実は「かもの呪い」を克服する方法は簡単なのです。
それは・・・・・・、


「否定的なかも」を「肯定的なかも」に置き換える


それだけで間違いなく未来が変わってくるのです。
「かもの法則」を上手に利用すれば、自分の心をコントロールすることが可能です。

人は病気や借金に苦しむのではなく、自分の心が思いのままにならないことに苦しむのです。
この病気さえなければという心、借金におしつぶされるという苦しい未来を想像してしまう心、そういったものに人は苦しむのです。
お釈迦様も、「苦」とは何かと問われて、「自分の思い通りにならないことだ」と答えています。

著者はスポーツメンタルの世界で30年以上指導を続けている方です。
メンタルトレーニングの目的は、「自分の心を思い通りにコントロール」することです。
今、オリンピックが開催されていますが、メダルを取れる人と取れない人の実力なんて、我々凡人からすれば、まばたきの差ぐらいしかありませんよね。
やはりここ一番、大舞台での心のコントロールが、勝敗を決するのではないかと思います。

プラス思考とかポジティブシンキングという考えが世の中に広まっていますが、その根っこにある「かも」に注目したのが著者です。

マイナス思考の考え癖のある人が、大人になってプラス思考にするのは難しい。
けれど、マイナス思考の発端にある「否定的なかも」に気付けば、もう大丈夫。

誰の脳内にも現れる「できないかも」「ダメかも」「うまくいかないかも」という望ましくない未来を運んでくる「かも」を、「できるかも」「チャンスかも」「うまくいくかも」という望ましい「かも」に変換するだけでいいのです。


否定の「かも」が発生したら、肯定の「かも」に置き換える


これが「かもの法則」です。
脳内の「かも」は、たとえ「嘘のかも」であっても、それを脳に一度発生させれば、次々と本物の「かも」が飛んでくる仕組みとなっています。


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不況、不景気の正体はなんでしょうか?
経済は、人々の心理で働きます。
景気を悪化させ、それを長引かせ、世の中を暗く閉塞させてしまうのは、私たち一人ひとりの心に住みついた、バーチャルな「かも」の群れなのです。
新聞、テレビ等で報じられるマイナス情報に接する度に発生する「否定的なかも」。
コントロールできない不安な集団心理こそ、不況の実態なのです。

こういうひどい不景気にもかかわらず、なぜか生き生きとしている人や、不況こそチャンスだとワクワクする人がいます。

「今こそ、金無し学歴無しの俺が活躍するとき"かも"」
「へこんでいる大手を出し抜くチャンス"かも"」

人々が不吉な「かも」に支配され、防衛的な路線に撤退しようとするときだから、こういう「肯定的なかも」を飛ばした人が勝つのです。

また、環境にすぎないものに支配されてしまう人と、単なる環境として、それを乗り越えていける人がいます。
その違いをつくるのは「夢」だそうです。
目指す夢がないと、人は環境に足をとられやすくなります。
環境や状況のような外的条件が一番大きな要素となり、それに容易に支配されてしまうのです。
不況で最初に騒ぎ立てるのは大手企業です。
採用中止、派遣社員解雇など、最初に言い出したのは大手ですよ。
古いタイプの大手は「夢」を失っており、規模を拡大する過程で、夢を数字に置き換えてしまっているのです。
不況で右往左往するのは、夢という「肯定的なかも」を持たない人達です。

現状を変革出来ない人間は、状況が悪い、環境のせいだ、自分以外に誰かに責任があるという考え("他責"といいます)の持ち主です。
事態を改善出来ない、状況に太刀打ちできない人が、無意識にそう自覚し、責任転換という守りに入ります。


「否定的なかも」が飛ぶと、人は自分を守ろうとする


これが「かもの第2法則」です。
自分を守ろうとする時は、脳内に「否定的なかも」が満ちています。
不況をチャンスだと考える経営者は、絶対に不況のせいにしませんし、成績不振を社員へ責任転換なんてしません。

悪い未来を想定しているから、自分を守りたくなる。
苦境に陥ったときほど、望ましい未来の「かも」を呼ぶべきなのに、環境依存型の他責人間にはそれが出来ません。

反対にこういう事も言えます。


他人を守ろうとすれば、「肯定的なかも」が飛ぶ


自分を守ろうとするときは「否定的なかも」がやって来て、他の誰かを守ろうとすると「肯定的なかも」が現れます。
まさに、本物の鳥の"カモ"のようにです。
社員の喜ぶイメージが出来る社長は、社員のために頑張ることが出来る。
「君たちのおかげで業績が回復できた」と社長が喜んでくれる顔をイメージ出来る従業員は、社長のために懸命に働く。
それが「うまくいくかも」の具体的なイメージです。

不景気は、勢いを失い、ツキをなくしている状態。
だから逆境の時代は、自分自身にツキが必要。
そのツキは、「肯定的なかも」が背負ってくるのです。

ツキとは、どんな状況に置かれても「できるかも」「やれるかも」「ツイているかも」と感じられる力なのです。
自分の手で現状を変革し、未来に向かって自らの運命を切り開こうとしない環境依存型の、他責の人間のところへ、ツキがやってくる訳がないのです。

不況、円高、消費の低迷、失業率は単なる客観的材料、環境的材料でしかありません。
間違ってもあなたが抱える悩みの原因ではないし、その理由でも決してないのです。
一つの試練として、そこに置かれているだけです。

「できるかも」「成功するかも」という良い「かも」を心に住まわせることのできた人だけが、ピンチをチャンスに変えられるのです。

●次回の記事: 「かもの法則 ―脳を変える究極の理論」(著)西田 文郎【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002030.html

(続く)

Posted by kanzaki at 2010年02月22日 22:56