2010年01月28日

「言葉」が人の性格を変える【2】〜ほめる覆面調査会社「C’s(シーズ)」の社長・西村貴好さん

前回の続きです。

●神崎のナナメ読み: 「言葉」が人の性格を変える【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/002010.html

先日、NHKの「クローズアップ現代」にて、「ほめ言葉 求める社会」という内容を放送していました。
「褒める」ことを主とした覆面調査の会社があるそうです。


●覆面調査・ミステリーショッパーリサーチ【有限会社シーズ】顧客満足度アップのホスピタシーズ
http://www.cs-hospita.jp/index.html

・「C’s」代表西村貴好さんのブログ・「ほめる達人!」への道
http://ameblo.jp/nishitaka217/


例えば、居酒屋へ一般の客を装い、従業員の行動を観察します。
覆面調査の結果は後日、書面にて店員全員へ伝えられます。
一人ひとり名前入りで、「笑顔が良かった」「追加注文にも、にこやかに応えてくれた」など、褒め言葉が並んでいます。
採用した店員が長続きしていなかったというこのお店。
覆面調査を受けてから、一人もやめずに働いているそうです。

影で頑張って働いている人達を探して褒める覆面調査。
この会社の社長・西村貴好さんが、褒める調査を始めたきっかけは、友人の自殺でした。
その友人は、職場で誰からも認められず悩んでいたそうです。

西村
「職場の環境によって死を選ばなければいけない。そんな、人を病気にするような職場を絶対に作ってはいけない。明るく働いていけるよう、褒めることによってその役割を果たしていきたいと思っています」

社員の元気が無くなっていくことに危機感を抱き、社内で褒める事を取り組む企業も出てきました。
大阪の豊中市にあるトヨタ販売店。
金融危機以降、新車の販売台数が二割も減少しました。
プレッシャーから体調を崩す社員も出てきました。
売れた台数によって社員に報奨金を出して労う形をとってきたのですが、売上が落ちた今では、それも難しくなっています。
そこで、社員全員で褒める訓練を受けることにしました。
自然に褒めあえる会社にしたいと社長の希望からです。
社長は、冒頭の覆面調査会社へ依頼しました。

ほめる覆面調査会社「C’s(シーズ)」の社長・西村貴好さんは、この会社へ行って褒めることについてレクチャーをしました。

西村
「褒めている方と褒められている方。褒めている方が最高に素晴らしい表情をしているんですね。褒めるには、相手のことを知らないと褒められません。相手のことをよく見てあげないと、上っ面だけになってしまう・・・」

取材中、このトヨタ販売の社長が、各従業員を褒める練習を行っていました。
社長の前に一人ひとりが立ちます。
社長は、その従業員の日頃の良い行いについて、気づいたことを褒めるように話していました。

西村貴好さんは社長に対し、「褒めにくい場合は、褒めるというところから感謝へずらしていくといいです。最後に、そういうところが素晴らしい、ありがとうと握手をするとかね」と伝えていました。

実習は更に続きます。
褒められた従業員の感想ですが、社長からの言葉にぐっときたそうです。
また、ちゃんと見てくれているという事が嬉しかったと言っていました。

お互いを理解し、認め合うこと。
心に響く褒め言葉が生まれていきます。

私は、はじめてこの会社の存在を知りました。
褒める事で相手を成長させるというスタンスは、非常に好感が持てます。
日本人は、口に出して褒めるという事が苦手です。
相手に察してもらうという文化だからです。

だから誰に教わる訳でも無く、そのまま褒めることを苦手にして大人になってしまいます。
やはり口に出して、自分の言葉で相手に伝えなければ、ちゃんと理解してもらえないものです。
相手に不安を持たせないためにも、これは大切なことです。

前回、以下のことを書きました。


ありがとう」を意識的に言うことも良いそうです。
心から感謝の気持ちを持っていなくてもいいので、言いたくない相手に言いましょう。
心は後からついてきます。
それほど言葉の持つ力は強いのです。
自律神経系は人称を解さないので、相手への感謝の言葉も、発生している自分への感謝として解して自信がつきます。


脳は、「あなた」とか「私」という概念が無いから、相手に喜んで貰えるような褒め言葉を言うと、言った本人も喜ぶのです。
褒める際の表情は、やはり笑顔ですよね。
つまり「笑顔という鏡の反射」によって、自分自身もハッピーになれるのです。
相手に喜んでもらえて、尚且つ自分まで喜べるなんて、とても良い相乗効果ですね。

人間関係づくりを考える際、「褒める」という言葉をキーワードにしてみてはいかがでしょうか?

Posted by kanzaki at 2010年01月28日 22:11