●1分間菜根譚 差がつく実学教養(4) (1分間名著シリーズ)(著:洪 自誠、齋藤 孝)より
中でも特徴的なのが「 中庸」の勧めです。
洪自誠は「世俗に染まり過ぎてもダメだし、世捨て人になってもダメだ」というようにバランスの取れた生き方をしきりに説いています。
動と静、俗と雅、理と非といった要素の 中道 が好ましいとしているのです。
それを表現するために、二つの文の表現や意味が対称をなす「 対句」の形が多用され、それが『菜根譚』に文学的な深みも与えています。
中国には『論語』『老子』『孫子』などたくさんの古典がありますが、それらの多くは政治家や思想家、君主といった知識層を念頭に書かれたものだといっていいでしょう。
それに対し、『菜根譚』は、庶民を含む広範な人々に「いかに生きるか」を説いているのです。
------------
『菜根譚』はこう説いています。
「人間、逆境にある時は、身のまわりのすべてのことが、 鍼 や薬で、それで節操を 研ぎ行いを磨いているのであるが、しかも本人はそれを知らずにいる」
「(これに反し)、順境にある時は、目の前のすべてのことが、刃や 戈 で、それで肉を溶かし骨を削っているのであるが、しかも本人はそれを知らずにいる」と。
順境の時ほど慢心を恐れ、逆境に備えることになります。
『菜根譚』はこんな故事も踏まえ、逆境に焦らず自分を磨く重要性をこう説いています。
「鳥の中でも長く伏せていて力を養っていたものは、いったん飛び上がると、必ず 外 の鳥よりも高く飛び、また、花の中でも早く花開いたものは、必ず外の花よりも早く散る。
この道理をわきまえておれば、中途で足場を失ってよろめく心配を免れることもでき、また、成功を焦る気持ちを消すこともできる」
※※※※※
【コメント】
世の中が軽薄短小になりました。
そんな中だからこそ、「焦らずに実力を蓄える」という姿勢を持つ人は強いです。
こういうのって、若い人だけの特権だと考えていました。
つまり、「この先、死ぬまでに時間がたくさんある」からです。
年齢を重ねた今ですが、この年齢になっても、実力を蓄えるということは可能だし、それを開花させるのも可能だと知りました。
時間が無いと考えるより、スキマ時間や無駄な時間を有効活用すれば、十分にさまざまなことが研鑽できることも知りました。
まだまだ、時間はあるのです。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 |