2010年01月24日

自然と対面して描く画家

artist2010.JPG

瓢湖で撮影した後、福島潟へも寄ってみました。
福島潟は一週間前とはうって変わって、一面が雪景色でした。

前の週に撮影しておいて本当に良かったと思いましたよ。
普段ならば沢山いるはずの観光客も、この日ばかりは流石に殆どいません。

そんな中、雪原の僅かばかり隆起した場所に、一人だけぽつんと座っている人がいました。
こんな寒い場所で何をしているのかと気になり、近寄って訪ねてみました。

彼はこの福島潟を描きに来ていたのでした。
描いている最中のキャンバスを拝見させていただいたところ、不思議に思いました。
彼の目の前は、一面が雪だというのに、キャンバスには多彩に描かれた植物が咲き誇っていたのです。

本当に植物が咲き誇っている季節に来て描けばいいのに、敢えてこの季節に描いているのは何故でしょう?
その真意を問いたかったのではありますが、長々と話して創作活動の邪魔をしてはいけないと思い、退散しました。

彼はその後、じっと福島潟の水面と、その後ろの山を見つめていました。
筆を進める気配はありませんでした。
自然との対面の中で、彼は創作のプランを頭に描いているのでしょうかね。

目の前にある現実通りに描く必要が無く、それ以上の表現を可能に出来るのが絵画の魅力だと思います。
絵画と写真は、共通する部分もあるかと思いますが、私はやはり画家を尊敬します。

若い頃、私は絵を描いて生活できればいいなあと夢を描いていました。
しかし父が他界し、現実問題、ご飯を食べて行くには会社員になるしかありませんでした。
だから大学も経営学部へ進み、その流れで会社員になりました(決してそれを後悔するつもりはありません)。

絵を描く時間もなかなかとれませんので、即効で作品を仕上げられ、尚且つパソコンやインターネットと親和性の高い写真撮影へ移行してしまいました。
けれど、やはり絵に対して未練はあります。
それ故、時間を惜しんで創作活動を続ける画家の皆さんを尊敬するのです。

絵画は現実通りに描く必要はありません。
19世紀後半、「印象派」と呼ばれる芸術の一大運動が巻き起こりました。
モネ、ルノワール等が有名ですよね。

●印象派 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B0%E8%B1%A1%E6%B4%BE

画家達の描いた作品は、下記ページ中盤にある「印象派」「後期印象派」という所から参照してください。
各画家達の細かい解説もあります。

・ヴァーチャル絵画館
http://art.pro.tok2.com/index.html

リアルに描くのだったら写真の方がてっとり早い時代になってしまったので、リアルさよりも、絵画だからこそ出来る「物事の分解と再構築」を表現してみたといったところでしょうか。
これは写真では真似できない表現方法です。
固っ苦しい伝統や忠実さよりも、当時の人達の心を高揚させるような勢いのある画風。

現実と創造の融合が具現化できる画家。
彼らの創作活動というものが、今後も続けていける世の中であって欲しいものです。

Posted by kanzaki at 23:46
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