仏教の開祖はブッダです。
ブッダは分かりやすいたとえを使い、臨機応変に教えを説きました。
これを「対機説法(たいきせっぽう)」といいます。
(1)地元の言葉で話す:
当時、インテリのあいだではサンスクリット語が使用されていました。
ブッダは民衆が理解できるようにマガダ語などで説法を貫きました。
(2)相手によって内容を変える:
ブッダは聞き手の能力や素質、立場に応じ、現実に即した合理的な教えを説きました。
(3)比喩(ひゆ)を用いる:
ブッダはどんな相手でもわかるように、よくたとえを使って説法をしました。
最近の新聞、雑誌、ネットの記事を読んでいると感じることがあります。
書いていることはごもっとも。
しかし、専門用語を多用したり、無駄に文章が長くて結論が見えづらかったりします。
読んでいるのは誰なのかを意識していない文章は、あまり美しくないですし、役に立ちません。
※※※
【対機説法とは?】
・ブッダが法を説き、人々の苦しみを癒した説法は、「対機説法(たいきせっぽう)」といわれます。
・説法を聞く人の性質や能力、抱える問題の度合いや種類に応じて、臨機応変に説法をしたのです。
・説法の例:
・・・何も語らずホウキで掃き、清めるように命じただけで悟りへ導いた。
・・・悟りを得るために役に立たない問いや、話すことでかえって悩ませる場合には沈黙を守った。
・・・・仏教への帰依を望む王には、「社会的地位のある人は、軽々しく信仰を変えてはいけない」と諭した。
・ブッダの説法は、「応病与薬(おうびょうよやく)」とも呼ばれます。
病に応じてよい薬を与えるという意味です。
・インド文学の特徴は、たとえを使って分かりやすく語ることです。
ブッダも絶妙なたとえをもって人々に教えを説きました。
・ブッダのたとえは、聞く者を審判の前に立たせるのではなく、あくまでも進むべき道へ導くものでした。
・ブッダは、古代マガダ語、または多言語を使って民衆に説法しました。
・インドは多くの民族が暮らしています。
現在は14の公認言語があります。
当時もさまざまな言語がありました。
誰が聞いても、自分と同じ言語を使って、自分に向けて語っていると感じたと記されています。
ブッダの説法の巧みさを物語っています。
※
【人を見て法を説け】
「人を見て法を説け」という言葉があります。
人に何かを説いたり諭したりするときは、相手の性格や気質を考慮して、適切な言い方をすることが必要だという教えのことです。
新聞、雑誌、ネットなどで、なにかしら情報を発信して商売をしている人がいます。
さすがに文章そのものは上手だし、書かれている情報量や思想も立派です。
国語のテストなら、100点満点でしょう。
しかしそういう人に限って、文章が小難しくなっています。
そして、無駄に文章が長く(特に前ふり)、起承転結の構成を意地でも用いるので、結論に至る前に、読者は読むのを挫折します。
文字数によってもらえる原稿料が決まっている場合もありますので、あえてダラダラと長くしているのかもしれません。
しかし、読んでもらい、テーマを受け取ってもらえなければ意味がありません。
テレビの世界でも、「嫌なら見るな」とい姿勢によって、視聴率が一桁に下がったところもあります。
情報を発信するならば、内容だけではなく、誰に向けて発信しているのかを意識するほうが良いと思います。
それを意識すると、どういった構成、語り口、切り口が良いかを考え、文章に反映できます。
結果、読者にちゃんと最後まで読んでもらえるようになるのではないでしょうか。
全部は読んでもらえなくても、最初の方に、発信者の伝えたい結論をコンパクトに書くだけでも、だいぶ違うと思います。
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【関連記事】
●「反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」(著:草薙龍瞬)」を読んだ感想
〜「人を動かす(著:デール カーネギー)」も結論は同じ。まずは「ありのまま」からスタートする
http://kanzaki.sub.jp/archives/003449.html
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