2025年05月29日

理解できないことを聞くことは恥ではない

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●世界一流エンジニアの思考法 (著:牛尾 剛)より


※米マイクロソフトの Azure Functions プロダクトチームのシニアソフトウェアエンジニア。
シアトル在住。


音声のほうが100倍以上情報量があってインタラクティブ性があり、フィードバックが速い。
これは直接話したほうが絶対早いなと思うときは、遠慮なく「今いい?」と聞いて、すぐに1対1の通話を始めるのがよい。


自分にその分野の「メンタルモデル」や「コンテキスト」がなければ、すぐさまエキスパートに聞いたほうがよい。
相手が忙しいかどうかは考える必要はない。
メッセージを送ってスルーされたら忙しいんだろうなと思うようにすればよい。

最初にコンテキストをエキスパートから得られると、かなりショートカットして物事ができるようになる。
もちろん自分がその技術に慣れていない場合、別個に勉強が必要な場合もあるが、先達者にファーストコンタクトをとることは、無駄な勉強を減らすことにも役立つ。

総じてイケてる技術者の人ほど、知らないことは知らないと素直に明かして気軽に質問する。
これはアメリカのカルチャーによるところも大きいと思う。
理解できないことを聞くことは恥ではないし、聞かれたほうも不愉快に思わない。

私の職場ではとても優秀な人でも、日本だったら「えっ、そんなこと聞く?」ということでも 知らないことは簡単に隣の人に聞く。

実際に全員が気軽に質問することを実践すると、組織全体の効率が相当上がるのは確かだ。
聞けば自分より何倍もわかっている人から教えてもらうことができる。
自分でググれば、調べる力はつくかもしれないが、意外に時間がかかってしまう。
聞いたほうが圧倒的に早いのだ。

この「気軽に聞ける仕組み」は、「気軽に断れる空気」とセットになっている ことが肝心なポイントだ。

これが日本だったら、一旦お客様から質問を受けたら自分がサポートに連絡して最後まで面倒を見たり、「後日回答します」と抱え込み、責任を持ったりするところだ。

それは素晴らしい美徳だが、ことソフトウェア開発の効率を考えると相当な無駄を生んでいる。
助けになれない場合は、すぐに「ごめん」でクールに済ませたほうが、聞く方も聞かれる方も気が楽 なのだ。


※※※※※


【コメント】


日本だと分からないことを人に聞く際は、まず自分なりに事細かく調べる文化ですよね。


そして相手に、「自分はこう考えるのですが、これで間違ってませんか?」と尋ねる形。
下の者が上へお尋ねする、なんだか江戸時代とかの様式。


これも勿論ありなのですが、知らないことをまず伝え、お互いのディスカッションの中から正解を導いていくのが本来なのではないかと個人的には思うのです。
これが成立するには、お互いの立場が対等だというのが前提になってしまうのでしょうね。


上の世代は、ショートカットは不真面目という考えなのでしょうか。
だから自分より上の世代以上には、相談したくないのが本音です。
相談というより、お伺いだから。


そんな中でも、私が上の世代で相談するのは、「気軽に聞ける雰囲気」を持っている人ですね。
そういう人は、人格だけではなく、知識も経験も豊富です。
私もそうなりたいものです。

Posted by kanzaki at 07:02
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