●『人生を変える幸せの気づき: 消防現場32年間で学んだ本当の幸せとは』(石川達之 著)より
【幸せとは気づくもの】
床に横たわる遺体や、枝にぶら下がって揺れる遺体を見ながら考えるようになったことがあります。
それは、今、幸せに気づかなければ、自分は死ぬまで幸せを知らないまま死んでいくのだということでした。
「いつかは幸せになるんだ」と、いつだって幸せを先送りして日々を生きてきたのではないか。
「こうなったら幸せだ」という具体的なビジョンもなく、とにかく今の環境にいる限り、自分は決して幸せなんかじゃないという妄想にとりつかれていたのではないか。
そんなふうに思うようになりました。
残酷で悲惨な現場を体験し、「この世に神はいるのか?」とか「どうしてこんな悲しいことが起きなくてはいけないんだろう」と、虚しさや徒労感から抜け殻のように生きる時期を過ごした末に感じたことは、「自分は今生きている」という実感でした。
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しかし私は、救急現場を体験したことで、亡くなった方には申し訳ないのですが、自分の命のありがたさを感じるようになりました。
明日も、明後日も当たり前にやって来るだろうと、漠然と考えていたかつての自分が、愚かな存在であったことに気づきました。
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夢や目標は、人間を成長させてくれるきっかけになります。
困難を乗り越えるための大きな力になります。
夢や目標に挑戦しつづけることで、人生が豊かなものになります。
しかし、その根底に「自分はすでに幸せなんだ」という気づきがあって、その上に夢を描き、目標を立ててから挑戦していかない限り、「挫折」することは「不幸」になってしまいます。
逆に言えば、幸せだという気づきがあれば、「挫折」は「不幸」ではなく、「成長」のための糧となってくれます。
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救急活動を通して大切な人の存在のありがたさを痛感しても、月日が過ぎるとだんだん薄らいでいきました。
薄らいだ頃に、またつぎのショッキングな現場に出動して、ふたたび思い知らされるということをくり返してきました。
幸福感を維持するためにも、感謝の思いを持ちつづけるためにも、幸福に対するアンテナを立てつづけ、感謝を伝えつづける必要があることに気づきました。
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【コメント】
消防士として現場で30年以上の経験を積み上げてきた人ならではの重みを感じさせます。
普通に暮らしている我々でも、大きな地震で非日常の恐怖を体験するようになりました。
コロナ禍ではある意味、見えない敵との戦いという非日常でした。
そういうものが無くても、自動車の運転である日突然、大きな事故に巻き込まれる可能性は誰にでもあります。
「今この瞬間」に「自分はすでに幸せなんだ」と気づけるかどうか。
今、私は幸せなんだと感謝して生きなければ、一生、「幸せ」という言葉は単に言葉としてしか認識できないように思います。
一日一日を大切に。
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