●『ソロー流究極のシンプルライフ』(毛利 律子 著)より
名前をヘンリー・ディビッド・ソロー(一八一七ー一八六二)といった。
彼は『ウォールデン─森の生活』という文学的思想書を残したが、超絶主義の哲学者、詩人、環境科学者でもあった。
森の中に自分で造った家で、孤独で簡素な生活を実験。
その結果をもって文明社会の人々へ敢えてシンプルライフを勧めた。
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ソローには証明したいものがあったのだ。
彼自身に対しても、後世の人々に対しても……。
それは、『生活をできるだけ簡素にすると人間はもっと賢く幸せに生きられるのではないか。それを実践して証明し、世の中の人々に知らせたい』と思ったのである。
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ソローの『ウォールデン─森の生活』から導かれたシンプルライフの知恵は、究極の知的生活を送りたいと願う人へのメッセージである。
ソローは言う。
「人生の究極の幸せは、自然の中に身を置いてこそ見出せる。現実社会と少し離れた距離を保ちながら、五感を研ぎ澄まし好奇心の赴くまま、好きなことに取り組む。すると、これまで気が付かなかったこと。分からなかったことが分かる面白さを発見する。これは続ける価値があると確信する。」
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「活力のようなものが湧いてきて、楽しんで生きている自分を発見する。自然の中で、少し不自由な孤独生活は、人生で最も重要なものは何かを再調整する力を促すのだ」
ソローは、人は豊かになっても、いや豊かになったからこそ身の回りを簡素にし、清々しく暮らすことを忘れてはならないと考えていた。
こうした考え方は誰にでもやすやすと受け入れられるものではないが、いつの時代にも力強く生き残る力を備えている。
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現代社会では、どうしたら一日を楽しく幸せだったと感謝し、満足した気持ちで眠りにつくことができるだろうか。
盲目的に、愚かに不相応な消費を繰り返し、その物のために、 「一生奴隷のようになって働くことは幸せであるはずがない。それでは労働する意欲も、生きる価値も失くす」。ソローは言う。
「買い集めた物に囲まれて生きることは、君の価値を高めない」と。
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「物を買い集める前に、君の身の回りを観察しなさい。無分別な中で人と群れ、物を買い漁ることで君は本当に満足しているのかい? 自分らしい生き甲斐を見つけることが大事だよ。一人になって、まず、自分の人生にとって選り抜きの贅沢は何かを極めようよ」と呼びかけているのである。
それにはまず、経済を見直し、「食物、住居、衣類、燃料」を簡素化しよう、と促す。
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「身の回りにあるものの価値を知ろうともせず、何かにひたすら煽られて、遠くばかりを見るようになり、不必要な燃料、時間、お金を使って、『自分探しの旅』という絵空事を追いかける」
ソローの言う「貧しい文明人」とは何を指しているのだろう。
「世の中の人は、大きな家、便利な物、贅沢な服や食べ物などを限りなく求めるが、それを手に入れたからといって満足しているようには見えない。むしろ、それらを手に入れたそのときから、それを持ち続けるための苦労が始まるのだ」
「快適に過ごすには必要最低限の物でいいのではないだろうか」
「ほとんどの贅沢やいわゆる人生の慰めと言われるものの多くは、人間の向上にとってどうしても必要というものではない。それどころか、明らかにそれを妨害するものなのだ」
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【コメント】
人生後半のライフプランを考えています。
そのキーワードは「シンプルライフ」ではないかなと思います。
このブログを読んできた方々ならおわかりですが、私は「シンプルライフ」「ロハス」「スローライフ」を心情に生きてきました。
(若いユーチューバーの方々がおっしゃる「ミニマリスト」は何故か自分にはしっくりきません)
もう一度、原点に立ち返ろうかなと。
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そういう生き方の象徴的なキャラクターが、「ムーミン」に登場する「スナフキン」です。
架空のキャラクターですが、現実に存在した近しい人が、ヘンリー・ディビッド・ソローではないかと思います。
自然の中に孤独で身を置くならば、ソロキャンプも近しいのですが、そういうアウトドアな趣味ではなく、思想的にシンプルライフを実践していた人です。
これからの生き方を考えていたら、今までやってきたことそのものだった訳ですが、再認識していこうと思います。
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