2009年03月06日

「なぜなぜ5回」「なぜ(why)を5回」とは? 〜問題解決の手法

●なぜなぜ5回:ビジネス用語辞典 | Wisdom
http://www.blwisdom.com/word/key/100680.html

トヨタ自動車の生産現場で、業務改善を目指すための手法として生まれた言葉。
ものづくりの現場で発生するさまざまな問題に対して、「なぜ問題が起きたのか?」「なぜ気がつかなかったのか?」「なぜエラーが表示されなかったのか?」といったように、「なぜ?」という問いかけを繰り返し、さらに掘り下げていくことで、表層的な原因ではなく、その背景にある根本的な原因が見えてくるという考え方。
さらに突き止めた真因を排除し、問題の再発を防いでこそ、真の業務改善となる。
生産現場に限らず、あらゆるシーンに適用可能な考え方である。
問いかけの回数は、5回と決まっているわけではない。
2〜3回では不十分で、少なくとも5回くらいは繰り返す必要があるとの目安。


勝間和代(経済評論家・公認会計士)さんが書かれている記事を読みました。


●勝間和代の『誰でも出来る』日本支配計画
第5回 シルバー資本主義(2) なぜを5回 (2009.3.5)
http://e-1day.jp/katsuma/090305.html

・その場しのぎ的な案を「コインの裏返し施策」と呼ぶ。
「売り上げが上がらないから、売り上げを上げろ」というような上司の指示のこと。
このような質の低い指示を出されても、私たちの具体的なアクションにはつながりにくく、もっと細かい施策レベルの指示でないと、単なる根性論になってしまう。
そこで、もっともっと深い原因分析を行い、細部をたどって、その問題点を掘り起こし、その問題点に対してゼロベースで、意外な視点からの施策を持ち込むことが重要になる。

・「なぜ(why)を5回」という手法を使うと、何が盲点だったのかに気づき、その部分を起点に社会を変える方法を考えることができる。

・例)
なぜ売り上げが上がらないのか→それは地方の売り上げが下がっているからだ。
なぜ地方の売り上げが下がっているのか→それは地方の市場は広がっているものの、シェアが伸びていないからだ。
なぜ地方のシェアが伸びていないのか→優秀な営業担当者が地方に行きたがらないからだ。
なぜ地方に優秀な営業担当者がいきたがらないのか→営業先データが不十分で、営業効率が悪いためだ。
なぜ、営業先データが不十分なのか→本社に比べて営業サポートやマーケティングが弱いからだ

このようにたどっていくと、売り上げを上げるために本当に必要なことが細かい対策レベルで見えてくる。
そうすれば、「地方の営業サポートとマーケティングを強化しろ」という指示につながり、具体的対策もでてくる。


なるほどなるほど。
「なぜ(why)を5回」は、原因分析を深く行う手法なのですね。
検索してみると、随分と有名な手法だと知りました。


●論理思考 第3回 「なぜ(Why)を5回」の前に「どこ(Where)を30回」繰り返せ
http://www.globis.jp/public/home/index.php?module=front&action=view&object=content&id=68

・「なぜを5回繰り返せ」という言葉は、トヨタ生産方式の祖、大野耐一氏の名言。
問題の表面だけを見るのではなく、なぜ問題が起きているのかを、粘り強く、深く考えろ、という意味。

・しかし「なぜ?」という因果関係の把握は重要ではあるものの極めて難易度が高い。
「なぜを5回」を始める前段階にある「どこ(=Where)」を明確にしよう。
問題が「起こっているところ(Where)と起こっていないところ」を事実に基づき峻別するのだ。
限りなく出てくる原因のカオスに入り込む前に、考えるべきことを絞り込み、「なぜ?」との格闘を少なくする。

・「なぜ?」の前に「どこ?」を徹底するメリットは大きい。
まず網羅性のチェックが「なぜ?」に比べて格段に容易であることだ。
ある部分に問題箇所が絞り込まれることで、それに紐づく原因の数が劇的に減少する。


●トヨタ流が「なぜなぜ5回」なら、リコー流は「TTY」
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20060320/232843/

・なぜなぜ5回の実行には大切な前提条件がある。
それは「そもそも問題が何なのか」を、現場にいる人たちが正しく理解できていることだ。
問題が何かをとらえきれていない状態では、「なぜ?」とは言えないからである。

・なぜなぜ5回という言葉が有名になり、言葉だけが独り歩きし始めている現在、多くの企業がいきなり「なぜ?」からスタートしようとしている。
しかし、その前に考えてほしいことがある。
それは「自分の身の回りでどんな問題が起きているのかを、誰もが正しく認識しているか」ということだ。
言い換えると、問題解決の順番は、「なぜ」の前にまず、「何が」が来るということである。

・リコーの遠藤紘一・取締役専務執行役員の主張。
「問題が誰の目にも明らかな状態なら、トヨタさんのように、なぜなぜ5回から始められるだろう。しかし、何が起きているのかを正しく理解できていない状態では、いきなり、なぜ(Why?)とは言えないはずだ。何が(What)から始めなければならない」

・リコーでは、この順番を社員に徹底させるため、「TTY」という標語まで作ったという。
TTYとは、「What Then Why(何がの後になぜが来る)」という意味だ。

・どうしてトヨタは「なぜ?」から始められるのだろうか。
それは「見える化」が徹底できているからである。
トヨタには昔から、現状や作業の進ちょく、問題点などを、きちんと見える状態にしておく「見える化」があるからこそ、「なぜ?」から始められるのだ。


他にも色々と読んで分かったのですが、なぜなぜという分析をするにおいて、不正確で無理やりなこじつけをしてしまう可能性も高いようです。
方法論としては良くても、それを実際に自分のものとして使いこなすには、環境づくりと訓練が必要みたいです。

友人からこの方法論は、マネジメント手法でいうところの「特性要因図」に該当するのではと意見をもらいました。


●問題解決手法>特性要因図
http://fk-plaza.jp/Solution/solu_qc7_1.htm

・特性要因図とは、特性(現象や結果など原因を探ろうとする対象を云います)と、それに影響を及ぼすと思われる要因(特性に影響を与える、もしくは原因となりえること)との関係を系統的に網羅して魚の骨のような図にまとめたものである。
別名フィッシュボーン。
特性と要因をこのように図解化することで、見落としを防ぐことができる。
どの要因が大きく影響しているかなどが推察できるようになる。

●特性要因図とは
http://www.hinkai.com/qc/youinzu.htm

・特性要因図とは、重要な原因の候補をリストアップし図で整理したもの。
特性要因図は、あくまで仮説なので、本当の原因をデータで確認するための準備として使うもの。
解決しようとする要因は数多くあるのが普通。
その要因を系統的に図示しておくと、問題解決に便利。
また、目的と手段の混同の防止にもなる。

●特性要因図 − @IT情報マネジメント用語事典
http://www.atmarkit.co.jp/aig/04biz/fishbone.html

・表記法は通常、右端に特性を置いた水平の矢線(背骨、幹などという)を引き、その上下から斜めに接する矢線(大骨、大枝)で要因(分類)を示す。
“要因の要因”は順次、中骨(中枝)、小骨(小枝)と分岐していく。
製造業の品質管理では、最初の大骨として「材料」「機械(材)」「人」「方法」を置くことが多い。

・特性要因図はもともとは品質管理において、品質特性に影響を与える多数の要因を整理・把握するために東京大学(当時)の石川馨教授が考案したもので、1952年に川崎製鉄の葺合工場が実務に適用して大きな成果を挙げ、知られるようになった。
QC七つ道具の1つに数えられる。


解決の糸口となりそうなものを沢山書き込み、それを体系化。
そして、いろんな視点で考える・・・そんな感じでしょうかね。
「マンダラチャート」や「マインドマップ」みたいなものでしょうか。

・マンダラチャート:
松村寧雄(M.Y)により密教マンダラ図から開発された問題解決・目標達成・情報整理・情報伝達・発想整理などの手法。
9分割のマトリックスの中心核にテーマ・その周囲に要因を記入することでテーマを具体化・実現化・整理へと導く。

・マインドマップ:
トニー・ブザンが提唱した、図解表現技法の一つ。
表現したい概念の中心となるキーワードやイメージを図の中央に置き、そこから放射状にキーワードやイメージを繋げていくことで、発想を延ばしていく図解表現技法。


日本の中小企業では、このような方法論を教えてくれません。
大抵は、たたき台となる案を実務の中心人物が提案し、それについて会議上、みんなであ〜だ、こ〜だと言い合う。
それを元に、たたき台を作った人が軌道修正版を作成。
しかし、方法論を知らずして行う会議は、長時間拘束されるだけで進展しない事が多いです。
声が大きい人に限って、ろくな意見を言わない。
むしろ、解決から遠のきます。

この不況下、経費削減や収益確保に慌てる昨今。
冷静な判断をなかなか出来ないので、付け焼刃的なその場しのぎで対処してしまいがち。
ならば、確立された方法論というスタイルに自分達を押し込んでみるのも良いのではないでしょうかね。
少なくとも、客観的に対処しやすくなると思います。

Posted by kanzaki at 2009年03月06日 15:48