「峠(とうげ)」という司馬遼太郎の長編時代小説があります。
主人公は、河井 継之助(かわい つぎのすけ)。
今で言う新潟県長岡市の幕末武士です。
劇中、司馬遼太郎は、こんなことを書いています。
「理にあわぬ禁令が出ると、ずるいやつが得をする。政治が社会を毒するのはそういう場合だ」と書いてある、と良運さんはいうのである。
良運とは百石取りの藩医で、河井継之助の同年代の親友。
「中国(宋)の宰相李忠定公集から、継之助に良政の要締を教えようとすると『なんの』継サはいった。『おれ自身が踏み込んででも、やるとなれば根絶やしにしてしまう』
(この男ならやりかねない)良運さんはおもった」
改革は私情を超えてもやりきる継之助の性根を著しています。
※
継之助は面白い策士です。
ある禁止令を出すとき、まず噂を流してしまいます。
その噂だけで人々は心の準備が出来ます。
該当者も、法令が出る前に身辺を綺麗にしておくことが出来ます。
これは、現代の仕事でも使える「優しさ・配慮」だと、私は思うのです。
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