●『別冊NHK100分de名著 読書の学校 西研 特別授業『ソクラテスの弁明』』(西 研 著)より
『ソクラテスの弁明』には、大事なキーワードが二つあります。
第一のキーワードは、「不知の自覚」です。
以前は「無知の知」と訳されていましたが、最近は「不知の自覚」と訳されることが多くなりました。
何に価値があるのかわかっていないと気づくことが「不知の自覚」です。
この気づきこそが哲学の出発点であり、そこから探求を進めるべきだとソクラテスは考えているのです。
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第二のキーワードは、「魂への配慮」です。「魂の世話」と訳されることもあります。
哲学の対話とは、「勇気とは何か」「正義とは」「美とは」といったテーマについて、それぞれが互いの考えをもち寄り、検討し合うことです。
なぜそうするかといえば、自分の魂(心)を「よいもの」にしたいと願うからです。
つまり、各人が自分の魂を「よいもの」にしようと配慮し世話することが哲学の目的であると、ソクラテスは考えているのです。
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人が生きるうえで肝心な大切な問いは「よさ」(価値)の根拠を問うことであり、それについては共通な答えを出すことができる、と彼は考えました。
私はソクラテスの哲学観に共感しています。
哲学とは、人間の抱く価値についての共通理解を打ち立てることによって、自分(たち)を方向づけていく技術であると考えているからです。
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【コメント】
共通な答えを出す。
それは仕事上でも私的なことでも、とても大切で必要なことですよね。
一人では限界があり、それを自覚し、互いに持っている知恵を持ち合って方向性を考えていく。
その際にあると便利なのが「哲学」なのかもしれません。
姿形があるわけじゃないし、その概念が無くても生きていけるけれど、あった方がいい。
最近、哲学をビジネスの世界で用いる方法について、多くの書籍が出ています。
本が難しいなら、テレビで学ぶのも良いですよ。
おススメの番組は下記のものです。
●ロッチと子羊 - NHK.JP
https://www.nhk.jp/p/ts/N9GR16WRR6/
ロッチのお二人が悩める人々を救うお悩み相談番組です。
解決のヒントをくれるのは世界の有名哲学者。
彼らは生涯かけて悩み続けたいわば「悩みのプロフェッショナル」。
そんな哲学者の考えを伝授してくれるのが山口大学の小川仁志教授です。
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