●『知的生産の技術 (岩波新書)』(梅棹 忠夫 著)より
わたしは、学生時代に、論文をかくときの心得として、つぎのようなことを、きびしくいわれたのをおぼえている。
それは、「文章は俳句のつもりでかけ」というのである。
つまり、はぶけることばは徹底的にはぶいて、ぎりぎりまで、みじかくせよ、というのである。
今日のようにいそがしい世のなかでは、ながい論文など、だれもよんでくれないぞ、とおしえられたのであった。
わたしたちは、論文をいかにみじかくするかに苦心した。
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(しかし、)このいそがしい世のなかで、俳句をあじわうようなつもりで、論文をなんどもよみかえして、あじわってくれるひとはあるまい。
一ぺんよんで、すっとわからないような文章は、やはりぐあいがわるいのではないか。
わたしは、苦心して文章をみじかくすることの愚をさとった。
みじかいことよりも、わかることのほうがたいせつである。
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【コメント】
生態学者・梅棹忠夫さん(1920年〜2010年)は、あの「京大式カード」の生みの親です。
B6カードを使った情報整理法は、言ってみれば「Evernote」や「Notion」のようなネットを使った情報ツールの原型ともいえます。
上記は、相手へ自分の考えを伝える際の心得として、令和の時代にも通ずる考えですね。
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