2023年05月02日

三十六計逃げるに如かず

36nigeru.JPG

●『死の壁(新潮新書) 「壁」シリーズ』(養老孟司 著)より


私のところに「生きがいとは何ですか」という類のことを聞いてくる方がいらっしゃいます。
そもそも死の話や生きがいの話は、お坊さんがやればいいことなのです。
かつては宗教家がそういう役割を担っていたのです。


それでも聞かれたのでこう答えました。
生きがいとは何かというような問いは、極端に言えば暇の産物なのだ、と。
本当に大変なとき、喰うに困っているときには考えないことです。


※※※


【コメント】


戦争を経験している人ならば、そういう回答をしてもおかしくありません。
大変な時に「生きがい」なんて、そういうことは考えませんから。


現代はその代わり、仕事でオーバーワークや精神的に辛いことがあったりします。
身体的なものではなく、精神的な病気で倒れることも、身近でよくあることです。


最近思うのが、「逃げてもいいのかな」ということ。
余程の才能がある人以外は、信用は落ちるでしょう。間違いなく。


けれど、全員がヒーローになれるわけじゃない。
難局を乗り越えられるわけじゃない。


三十六計逃げるに如かず


これは、孫子の策(兵法三十六計)の最後の計。
トラブルにあたり万策尽きてしまった時には、それから逃れることが最善の方法であるということです。


「逃げるが勝ち」です。

Posted by kanzaki at 2023年05月02日 21:10