2024年09月01日
映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる！』の感想〜�眄个△�りさんが圧倒的に演技がうますぎる
●映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる！』公式サイト
監督：小林啓一
脚本：大野大輔
原案：宮川彰太郎
出演：藤吉夏鈴(櫻坂46)、�眄个△�り
【あらすじ】
アイドルグループ「櫻坂46」の藤吉夏鈴が映画初主演を務め、高校の新聞部を舞台に、社会の隅から大人たちの闇を暴いていく高校生たちの姿を描いた社会派エンタテインメント。
「ももいろそらを」「恋は光」の小林啓一監督がメガホンをとった。
文学オタクな高校1年生の所結衣は、あこがれの若手作家・緑町このはが在籍しているという名門・櫻葉学園高校に入学するが、肝心のこのはが正体不明の存在だということを知る。
入部を希望していた文芸部の部長から、入部の条件としてこのはの正体を突き止めてほしいと頼まれ、情報を持っているという新聞部に潜入することに。
個性的な部員たちに振り回されながらも新聞部の新米記者として活動するうちに、新聞や記者の仕事の魅力にひかれていく結衣。
やがて学園に隠された闇が次第に見えてきたことで、結衣は決断を迫られる。
2024年製作／98分／G／日本
配給：東映ビデオ、SPOTTED PRODUCTIONS
劇場公開日：2024年8月9日
映画『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる！』予告編
※※※※※
【感想】
観客は20名ぐらいの男女。
多分、櫻坂46のファンと思わしき若い人ばかり。
顔面偏差値の高い映画です。
しかも、みんな普通に演技できる人ばかり。
そんな中、圧倒的に上手いのが、新聞部の部長役の�眄个△�りさん。
演技がひとり圧倒的に上手くて目立ってしまっています。
制作側も、新聞部の部長のキャラばかり細かく作ってしまっており、これではどっちが主役なんだと思うぐらいでした。
このキャラ紹介のために主役がいるという感じ。
�眄个△�りさんは、現在公開中のアニメ映画「きみの色」（山田尚子監督）にて声優もしています。
また、９月４日からは主演ドラマ『ベイビーわるきゅーれ エブリデイ！』がスタートします。
なんていうか、高畑充希さん、杉咲花と同じ雰囲気、才能を持っている感じなんです。
あっという間に、NHKの朝ドラ等に抜擢されそう。
演技をやらされているという感じじゃないんですよね。
その登場人物が憑依しているのですよ。
しかも、眉間にシワを寄せる感じではなく、ひょうひょうとやってのける。
真面目もコメディもできてしまう。
これは今後に期待できますよ。
主役の藤吉夏鈴さんは、なんとなく昔の波瑠さんに似ているなあと感じました。
今回の作品、主役が没個性なんですよ。
そのせいで、全然活躍できていません。
新聞部の部長役の�眄个△�りさんばかりが、どんどん活躍してしまっており、その後ろについていく感じなんです。
※
話自体はテンプレ通りでした。
テンプレ通りで上映時間が短いからテンポが良く、アラが見えない。
そこに来て、�眄个△�りさんが演技で引っ張り、理事長役の�眦萓�宏さんがわざと極端にコメディ寄りの悪人をやって緩急をつけていました。
だから、観ている分には申し分ない。
学園の新聞部が、大人を成敗する話しとなると、敵は先生か理事長になってしまいますよね。
そして今回はテンプレ通り、お金と名誉好きという理事長が最大の敵。
�眦萓�宏さんは、今どき漫画やアニメでも出てこないような悪人役です。
オーバーコメディ演技で、富と名誉欲が凄い人物を演じています。
昭和の時代ならばともかく、今の時代にこのキャラ設定はひどすぎです。
時代劇の越後屋じゃないんだから・・・。
けれど、きちんと依頼された仕事を引き受けて、制作側の指示通りに演技した�眦萓�宏さんは偉いなあ。
(しかも、そういうのを納得しているからこそ、楽しんでいるようにも見える)
※
ここに出てくる新聞部って、「私人逮捕系ユーチューバー」と変わらないんですよね。
学校の中で、悪いことしている先生等を告発しているだけだもの。
この新聞部の活動を観てて、どうしても不愉快な思いが先に立ち、共感できない。
新聞部の部長はもの凄い文才があるし、ジャーナリズムもあるみたいなのに、なんでこんな不愉快な行動をしているのか理解できません。
ラストは、理事長の悪行を書いた新聞をばらまいて告発する内容(実はそれは囮でしたが)。
そんな悪い人ならば、警察かマスコミに伝えればいい。
それが嫌なら、学園内だけで告発せずに、ネットでやればいい。
ジャーナリズムが高校の中だけで、しかも紙媒体にこだわってこじんまりした活動だから、どうにもせせこましいのです。
※
舞台となる高校は、スポーツはダメで、文芸部が強いという設定。
劇中で登場する小説って、観客の方は、どれだけその小説が凄いのか分かりにくいんですよね。
この作品に限らず、古今東西そうです。
だって、その劇中の小説を観客は読んでないのだから。
せいぜい、タイトル・あらすじ・途中の文章を少しだけですもの。
評価しようがない。
映画の中で、凄い・凄いと言われているだけ。
運動部だと選手たちが動くから、まだ分かりやすい。
けれど、文芸部だと、その文芸部の凄さが分かりにくい。
※
私がもし、高校の新聞部を題材に小説を書いたらどうなるだろう。
「私人逮捕系ユーチューバー」みたいなのは絶対にしたくないです。
同じ高校の運動部に所属する人物を取材するお話しにするかなと。
恋愛モノじゃなく、友情モノ。
告発するようなのではなく、取材対象の人物を応援する記事を書く人にしたいです。