2024年11月24日
弱みを見せること
●『近すぎず、遠すぎず。 他人に振り回されない人付き合いの極意』(枡野 俊明 著)より
政治に疎い、経済に暗い、文学の知識に乏しい……など、弱みは人それぞれだと思いますが、弱みを見せることは、けっして劣っている自分をさらけ出すことではありません。
それどころか、その素直さ、潔さを誰もが好感をもって受けとめるでしょう。
好感をもたれることは距離が近づくこと、相手の心をグッとこちらに引き寄せることです。
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これに長けていたのが田中角栄元首相です。
元首相は学歴が「高小（高等小学校）卒」であると公言していました。
永田町には東大卒をはじめ、有名大学出身者がズラリと顔をそろえています。
低学歴は田中角栄氏のアピールポイントにも、親しみやすさにもなり、メディアは「今太閤」の名を冠してその人となりを報じ、多くの国民は拍手喝采を送ったのです。
じつはこれには裏話があります。
田中角栄氏の実際の最終学歴は「中央工学校卒」で、現在の高等専門学校卒業のレベルなのです。
学歴詐称ならぬ、�犁娚慘鮑松劉瓩鬚靴討い燭錣韻任垢�、これも、弱みを見せることが好感につながることを示す好例でしょう。
自民党最大派閥の領袖であったことからもわかりますが、元首相が卓越した人心掌握の能力を有していたことはよく知られています。
その能力の一端は、あえて弱みを見せることができる資質にあったといえるかもしれません。
弱みを見せることで、人はその人に心を寄せていくのです。
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【コメント】
大人になって、年齢を重ねると、「弱みを見せること」の大切さを痛感します。
若いときは、なかなか出来ませんから。
相手を誠実にやりとりするのが大切。
その中のひとつとして、「弱みを見せること」があるのだと思います。
分からないのをさも知っているかのようにして、あとで大惨事になるより、その場で相手にこう方がお互いにとって良いことです。
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ただし、この弱みを見せるにしても、相手によることもあります。
マウントしてくるような人、サイコパスな人の場合は注意が必要です。
弱みを見せるにしても、立ち振る舞いが大切。
それについては、同著の下記を引用します。
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まさに十人十色ですが、どんな人も魅力的だと感じる要素もあるのではないか、と私は思っています。
それは「ふるまいの美しさ」です。
見ていて「ああ、美しいな」と思うふるまいをする人は、それだけでスッと人の心に入り込みます。
誰も、「この人とはお近づきになりたくない」とは思わないはずです。
美しいふるまいで私が思い浮かべるのはお茶のお点前です。
お茶会に出たことがある人は「納得！」だと思いますが、一服のお茶を点てる作法、その一挙手一投足はじつに美しいのです。
どこにも無駄な動きがなく、淀みなく流れる清流のように、動きの一つひとつが連なっていく。
禅の美の表現を借りれば、「簡素」にして「自然」ということになるでしょうか。
そう、簡素であること、自然であることは美しいふるまいの二大要件なのです。