●『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く (PHP新書)』(岡田 斗司夫 著)より
僕が見るところ、リドリー・スコット(『エイリアン』、『ブレードランナー』の監督)は、スタンリー・キューブリック監督のSF映画『2001年宇宙の旅』(1968年)に多大な影響を受けています。
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簡単に『2001年宇宙の旅』のストーリーを説明しておきましょう。
はるか昔、宇宙人がヒトザルにモノリスという黒い板を与えた。
モノリスに触れたヒトザルは知恵を授かって、水飲み場を奪い合っていたほかのヒトザルを殺す。
つまり、「神様はヒトに知恵を与えて、ヒトはその知恵を殺すために使った」というわけです
時は流れて近未来。月面でもう1つのモノリスが発見される。
モノリスは木星に信号を発信し、その謎を探るため、人類はディスカバリー号という宇宙船を建造して木星に向かう。
ところが、木星への途上、搭乗員たちと宇宙船を制御している人工知能HAL9000というコンピュータが殺し合うことになる。
HAL9000との戦いに勝利した人類は、木星の先へと進み、新たな進化を遂げて地球に帰ってくる……という不思議な話ですが、この物語の骨格がリドリー・スコット監督の心を摑みました。
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神は人間を創り、人間は人工知能を創る。
そして、非創造物同士が生き残りをかけた競争をし、勝った側は呪いを受けて追放され、次のステージに進む」という構造を取っている。
『エイリアン』の時点ではリドリー・スコット自身もこのテーマを明確に認識していなかったでしょうけど、『ブレードランナー』あたりからもうそれがはっきりしてきた。
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昔、僕はある人から貴族階級について面白い話を聞いたことがあります。
この人は貴族文化を研究していたのですが、「中国でも、日本でも、ヨーロッパでも、世界中の貴族は最終的に1つの趣味に行き着く」と言うんです。
労働者階級はスポーツやギャンブルに熱中して、ちょっと上の中産階級は文化に熱中する。
ところが、貴族は違う。
貴族が熱中する趣味は「生命創造」です。
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僕たち庶民からしてみれば、「趣味はバラ栽培です」なんて言われると、「へえ、庭で花をいじるなんて、のんびりした趣味だなあ」と思うじゃないですか。
ところが、貴族のそういう趣味は「神の真似事」なんです。
貴族階級は「自分たちの血筋は尊い」という幻想によって、成立している。
ならば「血筋とは何か?」に興味を抱かざるをえなくなります。
だから、脚の速い馬を掛け合わせて、もっと脚の速い馬を作ろうとするし、イヌを掛け合わせて、大きいのから小さいのまで、さまざまなイヌを生み出す。
美しい庭園に、見たこともないような色のバラを咲かせる─。
リドリー・スコット監督の映画に登場する、高度な文明を築いている宇宙人、未来のビジネスマンといったキャラクターは、みんな生命を創造したがるんですが、これは貴族階級の文化とは無縁ではないはずです。
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リアルな生き物を使って品種改良を行うには、莫大なカネと時間がかかりますから貴族でないとさすがに無理でしょう。
でもデジタル技術によって、誰でもバーチャルな生命を創り出したりいじったりできるようになってきた。
貴族でなくても、神様の真似事ができるようになってきたのです。
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【コメント】
貴族が熱中する趣味は「生命創造」。
上記の説明を読むと、確かに納得できますね。
今はそういった事・・・・・・例えば、交配して強い馬を作るシミュレーションとか、手軽にパソコンやスマホ等のゲームで出来ますね。
私にそういう趣味が無いのは、やはり貴族的な性格ではないのでしょう。
血筋というのは、性格にも影響するのかも。
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