●超文系人間のための 統計学トレーニング 「数字を読む力」が身につく25問 (著:斎藤 広達)
※仕事に使える「555ファネル」の話
ここでぜひ、知っておいてもらいたい言葉があります。
それは「ファネル」。
言葉自体は前からあったものですが、ここ数年、オンラインビジネスが急速に発達するにつれ、使われることの多くなっている言葉です。
ビジネスの進捗をステップごとに分解し、その確率を計算していくことを指します。
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まずはメールにて100社の顧客に新商品の案内を送ったところ 20 社から関心があるとの返事をもらった。
その人たちのところを訪問し、詳細な説明をしたところ、 10 社が社内稟議 にかけてくれた。
さらにクロージングを行ったところ、5社で採用が決まった。
この場合「100社→ 20 社→ 10 社→5社」というファネルになります。
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「ファネル」とは「漏斗」という意味。
ステップごとに案件数が絞られていく様子が、入り口が広く徐々に狭くなっていく漏斗の形と似ているため、この名前が付けられています。
できる営業パーソンは意識しているかいないかはともかく、「新規を取るにはあと 10 件はアプローチしないと」などと確率から逆算して活動を行っているものです。
それを数値化して明確化したものがファネルなのです。
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このファネルを明確化すると、営業がギャンブルから「科学」になります。
たとえば、先ほどのように「100社→ 20 社→ 10 社→5社」というファネルのビジネスなら、「 20 件の顧客にアプローチすると、1件成約する」という計算になります。
「あと 10 件注文を取ってこい!」という指示があったら、逆算して200件の顧客にアプローチすればいいということがわかります。
まずは相手に話を聞いてもらえなければ商談をスタートすることはできませんし、提案しても断られてしまうこともあります。
最後のクロージング段階で相手の会社の稟議が下りず、土壇場でキャンセルになることもあります。
営業活動とは、こうした壁を突破していく活動だと言えるでしょう。
この「壁を突破する確率」のことを、「コンバージョン・レート」と呼びます。
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例えば、営業する場合、以下のプロセスで判断することになります。
・顧客へのアプローチ数、実際にアポが取れた数、提案を検討してもらった数などのデータを集める
・それぞれの「壁」の突破率(コンバージョン・レート) を計算する
・その率に合わせて、自社の「ファネル」を導き出す
仮に営業を「訪問→提案→クロージング」の三つのステップで行っているとしましょう。
仮に、それぞれの壁の突破率が 50%だとすると、以下のようになります。
訪問成功率( 50%) ×提案成功率( 50%) ×クロージング成功率( 50%)
=商談成約率 12・5%
8回トライして成功するのは約1回。
100人の顧客に案内を行ったとしたら、成約するのは 12 件か 13 件。
思ったより低いと感じた人も、意外と高いと思った人もいることでしょう。
突破率 50%ずつということで、これを「555ファネル」と呼びます。
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【コメント】
成功確率というのは、各プロセスの確率を掛け算したものなんですね。
50%×50%×50%
結局、足で稼ぐのは今も変わりません。
しかし、単なる精神論で頑張るのではなく、ゴールまでの各行動に対して、どれぐらいの労力が必要化を数値化・可視化するのは、とても良いことだと思いました。