2003年05月19日

あまり話さない人

長いこと生きていると、いろんな人と公私ともに接する機会がありますよね。
そんな中、私が「あっ、この人って凄い人かも・・・」と思う人のパターンって、「あまり話さない人」なんです。
誤解を招くかもしれないけれど、「あまり話さない人」と言うのは、何も、不機嫌で無愛想な人の事を言うのではありませんよ。
むしろ、笑顔で心に余裕もあり、何か信念みたいなモノを持っている人です。

逆に嫌いなのは、「喋りすぎる人」。
楽しい会話だったらいいんですよ、それはそれで。
ここで言っているのは、「私は凄い人なんだよ」とアピールしまくりの会話をする人の事です。
多くを語ることにより、自分の自尊心を保ち、相手を納得させようとしているのです。
それを無意識で行っている人も、意外と多いですよねぇ。
人って、そういう押し付けがましい「自慢話」をされても、本心から凄いと思う事はありません。
むしろ、嫌な気持ちが増すばかりです。

けれど難しい事ですよねぇ。
あまり話しをしなさ過ぎると、相手との共通点なりを見い出したり出来ず、会話が弾みにくいのは確かです。
それでも何とか「あまり話さない人」だけれど好印象を持たれると、「ああ、この人はストイックなんだわ」とか良い方向に感じてもらえます。
野球のイチローさんとか、サッカーの中田さんが良い代表ではないでしょうか。
この傾向の人達を見ていると、携わっている仕事について、大きな失敗もしないし、大きな記録をガツンと生み出すタイプでもない。
けれど寡黙に、そして確実に点数を稼いでいき、いつの間にやら人より抜きんでいたという感じではありませんか?(間違っていたらごめんなさい)
何と言うか、「スター」というより「職人」という感じ。
日本人は、この職人タイプの人を尊く感じる傾向がありますね。
海外だと逆に、スターとして君臨する人を尊く感じていますよね。

海外は、会社のトップの考えを末端の人間がちゃんと遂行出来るように、機械を発展させました。
例えば、コンピュータ。
マニュアルに沿って動かせば、どんな人間でも一定の作業効率が見込めます。
一人一人のスキルは関係ありません。
トップの意向そのままに動けば良いのです。
特別なスキルが無くても、誰でも確実に業務を遂行出来るようにと、機械文化が発展していきました。
マニュアル通りに動くのが労働だからこそ、突拍子も無い人=スターが出てくるともてはやされるのではないでしょうか。

一方、日本というのは、そういう最大公約数的に人を動かすと言うよりも、とてつもなく技量のある職人を雇い、任務を遂行してもらう形が多かったですよね。
その仕事の成果は、従業員一人一人のスキルにかかってくる。
そういう職人って、あんまり自分から目立とうとしないんですよねぇ。
自分が行った仕事に満足できればそれで良い。
かえって、スポットライトが当たる場所を嫌う。
日本はそういう人達で支えられてきた事を理解しているから、彼らを尊重します。
だから、派手な行動で人々から注目を浴びるタイプがあまり好きではありません。
例えば最近ご結婚された窪塚君。
彼は数々の言動・行動で注目されていました。
それが個性だと思われていたから。
けれど最近では、そういう発言があると、「またかよ・・・」と冷ややかに見られがちです。
芸能コーナーで、その奇異な行動で取り上げられるタイプというのは、寿命が短いです。

シンプルな生活に関係のある事か良く分からないけれど、生き方としては、そういう職人タイプの人の方が、携わっている仕事について長く従事し、周りからも尊敬されるように思います。

オリコンという、音楽CDの売上をランキング形式で発表している会社があります。
以前は、初登場で一位になる事が至上主義みたいなところがありました(翌週には、ものすごく下位に落ちていたりします)。
でもここ数年、一位にはならなくても、長期に渡ってベスト10に残るタイプも見受けられるようになりました。
スター性よりも、職人気質を尊ぶ考えが反映されてきたのではないのかなあと考えます。

目立つけれど中身の無い行動よりも、しっりとした技術でじわじわと評価されるような人になりたいものですねぇ。

Posted by kanzaki at 2003年05月19日 18:35
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