2004年03月16日

情報への対価

私は会社で、自社の株式の取り扱いをしたり、株主総会の運営関係を「一人で」やらされています。
日々の株式の売買、譲渡等の処理なんかは自分で株主や役員を相手に「一人で」やらないといけません。
自分がやらなければ、誰もやってくれませんもの。
そういや昨年からは法改定によって、株券の失効制度なんてものまでやらなくてはいけなくなりました。
株主総会も、召集通知や議決権行使書を作ったり・送付したり、当日の会場設営から、終わった後の登記まで、「一人で」やらされています。
もちろん、手伝ってもらう事もありますが、基本的には「一人」。
当社の4000人近くいる従業員の中で、自社の株式に関する業務に携わっているのは私だけであり、特に法務関係について社内で相談に乗ってくれる人なんて一人もおらず(って云うか、株式の法務関係に精通している人が皆無)、日夜、せっせと法令集やら書物と睨めっこをしなくてはいけない始末。

平成13年ぐらいから、大きな法改定が次々と実施されてきました。
その多くが、必ず自分の会社でも実施しなくてはいけない内容でして、その法改定にどうやって自分の会社を合わせるのか悩ませてくれます。
うちの会社は、ちょっと特殊だから、法の解釈が難しいのです。
こんな時、相談にのってくれる頼もしい人がいてくれたらなあと思ったりします。

今日ですね。突然、とある銀行の営業の方が我が社へ来ました。
別に定期を作ってくれとか、そういう事ではありません。
当社が上場して株式の公開をした際に、株式の売買や名義書換の代行をさせて欲しいという内容でした。
あいにく、我が社は上場する気なんて、さらさらなく、丁寧にお帰り願おうと思いました。
そうしたら、そういう代行処理以外にも、株式関係についての相談、コンサルティングをするサービスもありますよと云うのです。
ちょっと、ピクッと反応しましたよ。
私は「一人で」株式関係を扱っているので、どうしても法の解釈や、どうやって実務を行うかについて悩む事が多々ある事は先に述べとおりです。
ですので、そういう相談窓口になってくれる所があるのは助かると思いました。
電話一本で相談に乗ってくれたり、毎月定期的に刊行物を配布してくれる事を称して「情報サービス契約」と云うらしいのですが、それには毎月5万円を支払わないといけないそうなのです。
げっ、それだけで月5万円・・・・・そうしたら、年間60万円ですよ。
一応、自分でそれなりに処理は出来るから、ほんのちょっとのアドバイスさえあれば、何とかやっていける自信はあります。
だから、そんなものに5万円も毎月支払うのならば、その分、給料をあげて欲しいものですよ。
魅力的だったけれど、他にもいろいろな事情があり、今回はお断りしました。

けれどね、どうせ来てもらったついでだからと、法改定に関して、今年の株主総会で行う予定の「社外監査役の採用について」「特別決議の定足数緩和」等、あれこれと相談に乗ってもらいました。
聞いたところ、自分の解釈が間違っていなくて良かった、良かった。
しかしこれだって本来ならば、お金を支払ってから、相談に乗ってもらわないといけないものなのですよね。

どうも私を含めて、日本人というのは、情報に対して金銭的対価を支払うのをためらう傾向があります。
目に見えない、形の無いもの・・・特に情報というものは「無料」という考え。
弁護士さんに、ちょっと相談にのってもらったら、30分で幾らみたいにお金を請求されます。
しかし、一般の人は、それに対して驚くことでしょう。
「ちょっと相談を聞いただけでお金を要求するなんて、おめでてぇな」何て云って憤慨。

また、何か機材を建物に取り付けるのに、業者に見積もりを算出してもらう為、現地へ来てもらい、いろいろと調査してもらったとします。
そして提出された見積もりと、他社からも出た見積もりを比べて、結局は不採用だったとします。
けれど、「見積料」という形で幾らか請求されます。
もしこれが、その会社の機材を購入したのならば、その見積料というものは無料になったのでしょうが、何も買わなければ、現地へわざわざ人が行って、何時間か動いた訳ですから、「対価」を請求されても仕方がありません。
しかし中には、「見積もりというのは、無料が当然だろ? 結局、買わなかったけれど、それは見積もりの内容が悪いからであり、そんなものに代金を支払いたくない」と云う人もいます。

民法のテレビ局を見るのは無料。
ラジオを聴くのも無料。
ホームページも殆どが閲覧無料。
情報を映し出す機械には大金を支払うけれど、形の無いソフトウェアには対価を渋る不思議な民族です。
だから、音楽CDの違法コピー等が流行ったりするんですよね。

情報というものが機械と同じで、価値がある事を認識しないといけないと思います。
「他人の知恵を拝借する」のは気軽です。
それに対して、日本人は性格が優しいし、知識があれば相手にも知ってもらって共有したいという気持ちがあるので、ちゃんと回答してあげたくなるものです。
近所のオバチャン同士の雑談と同じ感覚で、とても貴重な情報がやりとりされています。
でも、その情報を提供する事が出来るのは、それに対して様々な勉強、体験をしたからです。
云ってみれば、時間とお金がかかっているのです。
誰でも会得できる訳でもないしね。

もう少し、情報に対する価値を考えてもいいのではないかと思います。
ちなみに神ナナは、筆者がダラダラと長文を書くのが好きで、気ままにやっているだけなので、当然無料です。
大した価値のある情報も無いしね。
その分、世間にある様々な有益な情報に対価を払ってみてくださいね。

Posted by kanzaki at 2004年03月16日 22:28
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