2005年01月11日

あしなが育英会がオープンする学生寮

いよいよ今週土曜日から大学入試センター試験がはじまり、受験シーズンの到来です。
ところが、その陰で病気や交通事故などで親御さんを亡くしてしまった子供の中には経済的な理由で進学を断念せざるをえないケースがあとを絶ちません。
そんな中、あの“あしなが育英会”がこの春からある取り組みを始めるそうです。
その取り組みとは、来年の春から東京・日野市に「あしなが心塾」という学生寮をオープンして、男女180人の学生を朝晩の食事付きで月額1万円で受け入れる予定で、その正式オープンの1年前にあたるこの春から同じ日野市で仮の宿舎を用意して学生寮をプレオープンさせるそうです。
そこで今夜は、あしなが育英会・総務課長の柳瀬和夫さんに電話を繋ぎ、お話を伺っていきたいと思います。

FMステーションJ-WAVE(http://www.j-wave.co.jp/)にて「JAM THE WORLD」と云う番組がオンエアされています(月〜金、20:00〜22:00)。
今晩は、上記のような内容が語られました。
ラジオで語られていた内容を掻い摘んでご紹介し、検討していきたいと思います。

「あしなが心塾」という学生寮の建設はこれからだそうです。
来週月曜日に地鎮祭。
2006年2月に完成予定です。
180人もの学生が入居できるのですから、相当な大きさの建物です。
予定では、1、2年生は4人部屋に入ってもらい、切磋琢磨してもらうとの事。
3、4年生は、専門の勉強もあるので個室となります。
この学生寮で色んなタイプの人達とぶつかりあって、人と云うものを学ばせたいそうです。

今年は仮の宿舎を用意して学生寮をプレオープンさせます。
来年完成する学生寮から歩いて5分のところにあります。
企業が今では使っていない寮を借りたのだそうです。
そして来年2月に、完成した新宿舎へ移る予定。

現時点でこの仮宿舎に入るのが決まっている人達がいます。
それは既に推薦で合格した大学生・短大生です。
この仮宿舎には、今年の4月に大学へ入学する1年生が入居するのですが、その他に、彼らの面倒を見る上級生も何人か入居予定だそうです。

奨学金を借りる際、誰でも借りられるのでは無く、高校3年生の夏、東京で行われる育英会主催の試験に合格した人・・・そして尚且つ、現役合格した人が借りられるのです(それ以前に、親を事故で亡くしたとか、親が重度の後遺症を持っている為、経済的に苦しい等が条件ですが)。
その夏の試験の際、150人の人達が宿舎に入居を希望したそうです。
しかし今しがた書きました通り、その宿舎に入居するには、現役で大学へ合格しなければなりません。
また、東京・千葉・神奈川等の関東首都圏の大学でなければいけません。
それ以上遠いと、通学出来ませんから。

こういう新宿舎が出来た事について、今年大学受験をする学生達の反応は良好のようです。
この新宿舎によって、「可能性が広がる」と答えています。
親がいない為に経済的に苦しくて、大学の試験を受けたくても地方の学生の場合、通常は地元の国公立しか受ける事が出来ません。
もしくは、経済的理由で、大学進学そのものを諦める人もいます。
そういう人達に進学のチャンス、首都圏の大学へ通うチャンスが与えられたのは、非常に大きな意味があります。

あしなが育英会が用意したこの宿舎。
月額1万円で住めると云う事で、価格的にも非常に安くなっています。
下手したら、自宅から通う学生の生活費より安いかもしれない。
これならば、親から生活費を仕送りしてもらわなくても、自分のアルバイト代等でやっていけます。

育英会は、ただ単に安い宿としてではなく、教育の場としたいそうです。
その宿舎で、掃除、挨拶、礼儀、読み・書き・スピーチの教育。
社会人としての情操教育の場。

神戸で大震災があった訳ですが、99年にその神戸にケアハウスを造ったそうです。
ここは、心のケアを中心とした施設です。
そこに学生寮(46人分)を併設しました。
これが今回の「あしなが心塾」への布石でした。

寮の中に、同じ境遇の人達が集まっている訳です。
片親の心の痛みは、なかなか一般の人には分かりません。
事実を知ったとしても、変に同情されるような感じになってしまう事もあります。
同じ境遇同士だからこそ分かる事もある。
(注釈:この4行について神崎はそう思いません。立場が違う同士だからこそ、お互いを理解しあう気持ちや思いやりを生み、協調性が育つと思っていますから。下手に同じ者同士だけ集まると、狭く偏った反社会的な性格になる可能性があります。どこぞの団体みたいに)

なお、神戸のケアハウスのように、今回の新宿舎にも、ケアハウスが併設されるそうです。

この10年で高卒の就職できる場が、極端に減ってきているそうです。
青森県は、10人に1人しか就職が無いそうです。
高卒のニーズが減っているこの事実。
高校から奨学金を借りているような経済的に苦しい環境の場合、地元の大学ぐらいしか進学の選択がありません。
東京は家賃等の生活費が高すぎるからです。
就職も進学も難しい時代。
本人の才能とは関係無いところで苦しんでいる学生が大勢いるのです。
そこを何とかしたいと育英会は思っているそうです。

あしなが育英会が、学生に奨学金を貸与する条件をここで説明しておきます。
高校生の場合は、金銭的に貧しければ、基本的に貸与してもらえます。
公立の場合は月額25,000円、私立の場合は月額30,000円の貸与額。
大学の場合は、希望する人全員と云う訳にはいきません(お金にも限りがありますから)。
一般で40,000円、特別で50,000円の月額貸与額となっています。

高校で奨学金を借りている人は、一般の普通の生徒に比べると大学への進学率が低いそうです。
経済的な理由。
また、自分より年下の弟・妹達を高校へ行かせたいから、自分が働いて稼がなければいけないと云う事情の人もいるそうです。

自宅通学の人で国公立大学へ通っている場合、月の学費は50,000円ぐらいだそうです。
それが私立になると、106,000円と跳ね上がります。
学費でこれだけ掛かるのに、更に東京で下宿なんてした日には、月に平均62,500円の生活費が掛かってしまうのです(もっと掛かる人もいるでしょうが、あくまでも統計なので)。
そんな訳で、育英会の用意した月額1万円の宿舎は、彼らにとって魅力的なのです。

最近、昔とは違った遺児が抱える問題というものが出てきました。
それは、「ニート」。
例の「就職したら負けかなと思っている」のアレです(この台詞、知らん人は知らない方が身のため)。

ニート 【NEET】〔Not in Employment, Education or Training〕
無職の人。無業者。職業にも学業にも職業訓練にも就いてない(就こうとしない)人のこと。
〔イギリスの労働政策において用いられる語。近年,国内でもこのような若者の増加傾向が指摘されており,問題視されている〕

経済的理由・社会環境的理由で、就職も進学もどっちも出来ないで苦しんでいる学生がいます。
親の経済的理由で人生が決まってしまうと云うのは、本人の可能性を縮めてしまい、何とも辛い話しじゃないですか。
夢も持てず、ニートになる。
ニートにも色んなタイプがいますが、とりあえず、ニートと云う言葉でひとくくりすると、全国で68万人もいるそうです。

全国に40万人の遺児がいます。
そんな彼らに夢がもてる希望のある社会を作りたいと育英会は思っているそうです。
一般の人達には、そういう事実を知っていただければと話しを〆ていました。

・・・そんな訳で、以上がラジオのトークをまとめたものでした。
ここからは私の意見。

何でまた、この話題を私が取り上げたかと云いますと、今日は特撮ネタが無かったと云うのもありますが(汗)、私も「あしなが育英会」から奨学金を借りていた一人だからです。
私が小学校の頃、既に父は他界していたもので。
一般の育英会から月額50,000円。
そして、あしなが育英会からも月額50,000円。
月に100,000円も借りていました。
私立大学へ通っていたので、それらを授業料と生活の一部に使い、不足分はバイトをしていたので、仕送り無しで4年間を過ごしていました。
大学を卒業してから、高校の時の奨学金&大学の時の奨学金を返済し続け、今に至っております。
就職して数年で、全額返済する事も可能なぐらいの貯金は貯まったのですが、税金対策とか色々と考えて、今も毎年分割してのんびりと支払っています。
借りている時は、「私は将来、こんなにも大金を返済出来るだろうか? だって、ベンツの一台も買えてしまうよ」と不安感が一杯だったのですが、授業料と生活費の為には借りなければ仕方がありません。
でも、実際に就職してみたら、案外なんとでもなるもんですね。
その、「何とでもなる」と云う境遇になれたのも、大学へ進学していたからです。
その進学出来たのも、奨学金のおかげ。
そして母親のおかげ。支えてくれた皆のおかげ。

あしなが育英会の奨学金については、高校3年の夏に東京にて、奨学金を借りる試験を受けました。
何か良く分からないけれど、借りられる権利を得られました。
アホなので筆記試験はめちゃくちゃだったと思うのですが、面接・作文等で点数を稼いだのかもしれません。
大学は指定校推薦で合格。
これで奨学金も借りられる。
合格が決まってからは、高校へなんて殆ど行かず(合格した奴は行かなくても良い学校でして、3年の3学期の試験も存在しません)、ひたすら大学へ行く為のお金をバイトして稼いでいましたよ。
大学へ行ってからも、バイトばかりしていましたね。
授業は卒業最低単位数分しか受講していません。
授業を受ける時間を減らしてバイトしていたからです。
その代わり、受講したものは全て単位を取得しました。
追試も殆どありませんでした(追試って、お金がかかるし、時間も勿体無いし)。
何だか、勉強しているのか働いているのか良く分からない4年間を過ごしていました。
まあけれど、何かしら実りはあったんじゃないかな?
そして現在、昼間は働き、夜はサイト更新をやっている訳でして、二束のわらじ状態は昔からだったようですね。
よく考えてみたら、うちの家庭環境から云えば、高校を卒業したら就職をしなければいけない状態だったんですよね。
そんな私でも大学へ行けた。
金なんて何とでもなるので、高校生で金銭的問題から進学を諦めかけている人がいたら、「たかがお金の事で」、将来を棒に振らないでください。
大学の4年間は、将来の何十年にも影響する大切な時間なのですから。

後ですね、親を亡くした事を「言い訳」には使って欲しくありません。
勉強の成績が悪いので大学へ行けない事を「家庭環境のせいだ」と、変な責任転換に使う人が残念ながらいるのです。
社会環境がどうであろうと、家庭環境がどうであろうと、社会に出たら、その人の才能と人格が重視されるのです。
社会に出てから、自分の未熟さで引け目を感じた事はあっても、片親だと云う事で引け目を感じた事はありません。
「俺は社会の底辺を生きてきた。世間の奴らを見返してやる」みたいな時代錯誤な人もいますが、世間は家庭環境で人を見下す事はありません。
そういう卑屈な性格の人を見下す事はあっても。

Posted by kanzaki at 2005年01月11日 23:02 | トラックバック (0)