雑誌「PRESIDENT(2007 6.4号)」は、「実践! 書く力。〜なぜ、あなたのメールはバカにされるのか」と云う特集でした。
文章を「書く力」をつける方法を専門家や各業界の社長などが色んな角度から解説していました。
その解説者の一人として、バンダイ社長・上野和典さんが、「続きが読みたい企画書」についてインタビューに答えていました。
●バンダイ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%A4
株式会社バンダイは、日本の玩具・模型・既製服(アパレル)・生活用品等を手がけるメーカーである。1950年創業。
機動戦士ガンダムなどのサンライズアニメ・スーパー戦隊シリーズ・仮面ライダーシリーズ・等の東映の特撮・ウルトラマンシリーズ等の円谷プロの特撮をはじめとした、作品の世界観やキャラクターを使用した玩具、雑貨、既製服などを商品化する「キャラクターマーチャンダイジング」ビジネスを得意としている。
●バンダイ社長・上野和典さんのプロフィール:
1953年、神奈川県生まれ。
77年、武蔵工業大学工学部卒。
バンダイに入社。
キャラクタートイ事業のゼネラルマネージャーなどを経て、2005年より現職。
バンダイでは、企画を立てた「言い出しっぺ」が実行する決まりになっているそうです。
それ故に企画書は、当人のやる気を示す「宣言書」とも云えます。
しかし、本人の熱意が感じられても、独りよがりではいけません。
お客様をどう満足させるのかと云う発想からスタートしなければ、ヒットする商品はつくれません。
それでは、よい企画書を書くための流れを要約してみたいと思います。
●アイディアの発想方法:
まずは大多数を対象に考えず、自分の子供など身近な人物をイメージして考えてみる。
その方が、アイディアが具体的になるから。
●ブレスト(ブレーンストーミング/brainstorming)の活用:
浮かんだアイディアが、マジョリティ(多数派)にも通用するかどうかを検討する。
その為、仲間達とブレストを繰り返す。
*ブレストとは?
ブレーンストーミング(brainstorming)の略。
従来の方法や考え方、先入観にとらわれず、自由なディスカッションを通じて新たなアイディアや解決策を引き出そうとする手法のこと。
出された意見に対して決して批判をしないことが重要。
●ブレストで集めた意見を四つに振り分けて企画書をまとめる:
1.商品特徴
2.コンセプト
3.使用機会(どのように使えるか)
4.発展性(次なる展開)
この時、人の意見であっても、あたかも自分が考えたように書くのがポイント。
自分の考えのみに固執せず、人の考えを噛み砕いて再構築し、自分のものにするのも大切だから。
●インパクトのあるビジュアル、キャッチコピーの使用:
読み手をひきつける仕掛けを考え、共感を得るように工夫する。
以上のような事を考慮して作成された企画書には、以下の4ポイントが書かれています。
1.共感を得るネーミングを:
その商品を毎日使い続ける楽しさを強調した方が良い。
その為、名前にも一考を。
2.身近な意見を盛り込む:
企画を思いつく動機となったエピソードや生の声をまず伝える。
そこに客観的事実として数値的データ等で補強することで、独りよがりを防ぎ、大人の熱意を読み手に伝える。
3.シンプルに多くを伝える:
商品のコンセプトはシンプルに。
コンセプトだけで、商品の特徴やターゲットが見えてくればGOOD。
添えられる写真にも注意。
ただのイメージカットではなく、商品の特徴を示す説明として使うほうが効果的。
4.商品の未来を語る:
商品の第2弾、第3弾のアイディアにも触れ、商品の発展性を感じさせると、企画実現の可能性が高まる。
以上ですが、良い企画書と云うのは、読者の共感を得る工夫が端的に示されているもののようです。
それ故、良い商品の成功は、企画書の段階で既に成功の道筋が見えているものなのです。
バンダイで実際に企画が通り、商品としてもヒットしたものをご紹介します。
その企画書のキャッチコピーは、「ウエスト110センチの変身ベルト」です。
どんな商品か分かりますか?
30代後半から40代の男性ならば、自分の下っ腹を触って気づくと思います。
そうです。大人向けの「仮面ライダー変身ベルト」のことです。
●オリジナルのイメージをそのままに迫力の変身音と回転発光をリアルに再現「コンプリートセレクション 仮面ライダー新1号 変身ベルト」2006年3月下旬 3万円(税別)で発売 | バンダイ | プレスリリース
http://www.bandai.co.jp/releases/J2006013101.html
・【インタビュー】開発者直撃! 3万円 の「仮面ライダー変身ベルト」は超リアル
http://arena.nikkeibp.co.jp/news/20060331/116089/
「ウエスト110センチの変身ベルト」・・・このキャッチは、コンセプトと使用機会が一言で明示されており、これが商品のメインターゲットである30代後半から40代男性の気持ちをつかんだことでヒットしました。
上記の開発者インタビューを読んでいただくと、開発者がどんな企画書を書いたのだろうかと云う事が、なんとなく理解できると思います。
企画を通した人が語っているだけに、非常に明快で納得のいく説明となっております。
バンダイの社長が語った内容ですので、当然、そこで作成される商品は「玩具」です。
だから、あなたが行っている仕事内容と違うと思います。
しかし、上記の説明から、あなたの企画書を書くコツのヒントは得られたのではないでしょうか。
企画を提案するのも人間。
それを聞いて、企画にGOサインするのも人間。
そして、出来上がった商品に魅力を感じて買うのも人間。
全ては、人の揺れ動く心が鍵となっているのです。
どうかあなたも、相手に共感を得てもらえるような企画書づくりを実践してみてくださいね。
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