2007年11月29日

新しい本のリサイクルの形「ブッククロッシング」

本との繋がりは、テレビよりも大事にしたいと思う今日この頃。
皆さんは、どのような形で本と出会っていますか?

書店で購入する人もいることでしょう。
古本屋で購入する人もいることでしょう。
図書館で読む人もいることでしょう。
漫画喫茶で読む人もいることでしょう。
インターネットで読む人もいることでしょう。

よく考えてみると、読書をするきっかけは沢山あるものですね。
私の場合、モノを所有するのが苦手なので、最近は図書館を利用することが多いです。
借りることも出来るのですが、仕事をしていると返却するのも大変なので、図書館で読みきってしまいます。

さて皆さんは、「ブッククロッシング」というものをご存知でしょうか?
ブッククロッシングとは、読み終えた本を飲食店や公共スペースに置き、読みたい人に無償で譲るアメリカ発の活動のことです。

●公式サイト(英語です)
http://www.bookcrossing.com/

そのブッククロッシングの日本語版サイトが、今年9月から本格的に始まりました。

●ブッククロッシングジャパン
http://bookcrossing.jp/

読書のきっかけを増やそうと、広島を拠点に普及活動が進められています。

もう少し、ブッククロッシングのルールについて説明したいと思います。

1.公式サイトで本のID番号を取得し、専用ラベルを本に貼る

2.「クロッシングゾーン」と呼ばれる場所や、公共の場所に本を置く(置いた場所をネットで登録)

3.誰かが譲り受ける

4.読み終えたら2へ戻る

特徴は、本が移動してきた履歴や、読んだ人の感想などがネットを通じて分かることです。
会員は世界130か国以上で約60万人。
登録された本は、430万冊にもなるそうです。
日本の会員は、10月現在で1,355人。
来年9月までに2万5千人に増やすことを目標としています。
その為に、大学、図書館、企業に協力を呼びかけているそうです。

日本語版サイトを開設したのは、広島市南区の財津正人さん(45歳)です。
書籍販売業のかたわら「ブッククロッシングジャパン」代表を務めています。
英語以外のサイト開設は、世界で初めてなのだそうです。

こんな仕組みが存在するなんて、まったく知りませんでした。
図書館のような公共的なものではなく、もっと草の根的な本の貸し借りといったところでしょうか。

図書館は、図書館という場所に本が置かれますが、ブッククロッシングはそんなに厳格ではなく、どこに置いておいても良いのです(一応、ルールはありますが)。

自分の買った本が、いろんなところの、いろんな人の手に渡る。
ガラス瓶につめた手紙を海へ流し、遠くの見ず知らずの人が拾い上げて手紙を読むのに近い感覚ですね。
「本が旅をする」・・・なかなかロマンチックです。

しかし、やろうと思えば、ブッククロッシングで手に入れた本をブックオフなどのリサイクルショップに持ち込み、換金化されてしまう可能性もありますよね。多分。
利用する人のモラルで成り立つルールです。
日本の場合、美術館や図書館などの、本に対してそれなりにモラルを持って接してくれる人たちが集いそうな場所で展開する方がよいかもしれませんね。
駅やファーストフード店など、いろんな層の人たちが入り混じる場所では、人の善意を無にする輩が、遊び半分でイタズラしそうです。
まあ、そういう場所だからこそ、滅多に読書をしない人が、読書をするきっかけとなるのかもしれませんが。

日本の場合、このルールは、まどろっこしく感じるかもしれません。
本屋、古本屋、図書館、漫画喫茶など、どれも社会全体に認知され、普通に利用されています。
その中で、ニッチなものなのは否めないです。

更に日本は今、「ケータイ小説」という、世界でも珍しいジャンルが確立されようとしています。
書籍化して大ヒットした作品も多いですね。
ケータイ小説は、通信料はかかりますが、作品そのものは無料で読むことが出来ます。
携帯電話の利用が当たり前になっている現代では、こういったところから読書をするきっかけにするのもアリでしょう。
私自身は、ケータイ小説を読みたいとは思いませんが、気になる部分もあります。
書籍の形で小説を読む場合、あと何ページで読み終えるかが、残りのページ数(ページの厚さ)で分かります。
しかし、ケータイ小説の場合、一つの液晶画面の中で次々と文章が表示されるので、いつ読み終わるのか分かりにくいです。
分かりにくいが故に、どんどん読みつづけてしまう事もあるでしょう。
最後がいつになるか分からないからこその面白さというのもあると思います。

今年は、自転車ブームでしたね。
原油価格の高騰から、エコロジーな乗り物として注目されたのが理由です。
そういうエコロジーな乗り物に乗っているのが、「かっこいい」「お洒落だ」と思われるような世相だからこそ、ブームとして成立したのです。
自転車そのものは大昔からあったけれど、そういう感覚で取り扱われるようになったのは最近のことです。

「ブッククロッシング」には、リサイクルという側面があり、これもまたエコと言えるでしょう。
そしてそれが、「かっこいい」「お洒落だ」と思われるようになれば、一気に利用者が増えると思います。

自転車といい、ブッククロッシングといい、ただ単に消費しまくる文化から、日本がようやく脱却をし始めている予兆なのかもしれませんね。

Posted by kanzaki at 2007年11月29日 22:10