2009年12月11日

「結果を早く求めすぎている」現代人の意識

昨日の記事内で、「〈勝間和代〉を目指さない」についてを紹介しました。


●神崎のナナメ読み: やりがいとか満足度とか現実とか
http://kanzaki.sub.jp/archives/001980.html


香山リカさんの著書の中で、勝間和代さんを目指そうとしている人達へのメッセージが話題となっています。
そんな批判めいた内容を書かれた当人が、以下の記事にあるとおり、それに対する自分の考えを書いています。


●ゼロイチ思考で考えるな - 勝間和代の人生を変えるコトバ -
http://www.asahi.com/business/topics/katsuma/TKY200910110154.html

「〈勝間和代〉を目指さない」は、努力だけではどうにもならない問題が多いのだから、身の丈以上の努力はやめた方がいい、という文脈で使われています。 この「目指すか目指さないか」を、「ゼロかイチか」の選択のように受け止める必要はありません。 コンピューターのようにゼロイチでは割り切れない、そのあいまいな部分をどうやって自分の頭で考えて進捗(しんちょく)を図り、折りあいをつけていくか。そこにこそ人生の醍醐味(だいごみ)があると感じています。

相手を批判し、それで注目を浴びる。
批判された方も色々とプライドもあるでしょうから、なるべく感情的にならず論破する。

「誰のために書いているのか?」という点では、お二人とも、読者を助けたいと思う良心から書いているのは分かるので、変な方向には転がらないで済むことでしょう。

勝間さんが上記の記事の中で書いている「ゼロイチ思考」。
この「ゼロイチ思考」は、「結果を早く求めすぎている」現代人の意識がそうさせているのではないでしょうか。

不況のせいで、会社は余剰人員を抱えるほどの余裕がありません。
新人を入れたとしても、教育研修時間にそれほど時間は割けず、いきなり実戦投入なんていうブラック企業も珍しくはありません。

私は学生ではありませんから、現在の教育現場というものを知りませんが、子どもたちの成長を見守ってやれるような環境なのでしょうかね。
今の受験戦争の状況は分かりませんが、私が若い頃の受験戦争も酷かったような・・・。
本人の実力を数値化し、その数値で入れる学校を機械的に選択して受験をする。
決して、それ以上の数値を求める学校を目指すような指導なんてありませんでした。
これもある意味、「結果を早く求めすぎている」ことが原因かも(そうすると、勉強に関しては今現在に限らないのかも)。

各メディアで流されるドラマ、バラエティ番組も、短くて、結果が早く出るような構成のものが多くありませんか?(あえて、番組名は言いませんが・・・)

現在、「マクロスF(フロンティア)」というアニメ映画がヒットしています。
ご存知でしょうか?

●マクロスF 映画版公式サイト
http://www.macrossf.com/movie/

この作品には二人のヒロインが登場しています。
一人はシェリル・ノーム。
人気のアイドルシンガーという役割。
もう一人は、ランカ・リー。
シェリルに憧れ、歌手を志す女子高生。

総監督の河森正治さんによると、このランカ・リーの歌手として成長していく姿をじっくりと描きたいと思ったのだそうですが、今の視聴者は結果を早く求める風潮があるので、途中の段階であきられてしまうとの事。
そこで、劇中で最初から人気のある歌手としてシェリル・ノームを用意したとか。
ここにも、「結果を早く求めすぎている」風潮が影響しているともいえます。

神ナナで最近連呼している「足るを知る」という事を実践しようとすると、いろんなモノを整理整頓するというより、捨てまくる・切りまくる行為に走ってしまいます。
けれど別にそれが悪いわけじゃない。
変になあなあな状態であるより、スッパリ綺麗にした方が良いこともあります。


最近、「若者の○○離れ」という言葉を多く聞きますよね。
例えば、「若者のクルマ離れ」「若者の海外旅行離れ」「若者のお酒離れ」「若者のタバコ離れ」「若者の結婚離れ」・・・他にも沢山あります。

いい加減聞き飽きた感があるのですが、現実を受け止めて、依存したり、過剰摂取をしない生活は非常に良いことではないでしょうか。
まあ、それで飯を食っている企業の大人達には困った傾向なのでしょうが。

この「若者の○○離れ」という言葉ですが、この○○の中に入るモノを若者がどっぷりと体験した上で飽きてやめた訳じゃありません。
ちょっと味見をしてみて、それで全てをやり切ったように感じているのかも。
少しの体験で大体理解する。
最後までやらずにおしまい。
そういう味見の時間は短時間だから、色んなものを味見できる。
だから「若者の○○離れ」という言葉がどんどん生まれるのかもしれない。

もちろん、「お金が無い」というのが一番大きな理由だと思います。
私自身、若い訳じゃないのに、同じ理由で色んなものから離れていますからorz
お金が無くて、味見どころか、ネットで知った知識や他人の感想でお腹いっぱいにすることもあります。

この「若者の○○離れ」も、「結果を早く求めすぎている」という考えが根底にあるからこそ、どんどん色んなものに手を出し、すぐに飽きて別の方へ目を向ける結果なのではないでしょうかね。

こうも世の中のスピードが早いと、「ゼロかイチか」の考えでどんどん進めていかないといけないかもしれません。
けれど一つぐらい、ゆっくりじっくりと取り組むモノがあってもいいですよね。
結果が出るのは、もっと後でもいいような体験。

それはまるで、銀塩カメラで撮影したものを写真屋で現像依頼をして、数日後に戻ってきた写真を眺めるような感じ。
他人だけでなく、自分自身も結果を早く求めずに何かに打ち込めるものを見つけたいものですね。

Posted by kanzaki at 2009年12月11日 23:00