2010年01月10日

勝間和代さん著「断る力」を読んで【4】

前回の続きです(今回で最後)。

第四章は、周囲を上手に巻き込む形で、グループとしてどのように「断る力」を発揮していくかをまとめています。

「断る力」を身につけたこれからは、そのような仲間が集まることにより、「自分の軸」を持った人同士が組み合わさって、「得意分野」を出し合い、「不得意分野」を補い合うコミュニティを形成することで、建設的な職場、夫婦・家族関係、友人関係、地域社会が生まれてきます。

自分達の限界を知るからこそ、お互いに学び合っていくという考え方、謙虚さ、姿勢が生まれ、それが人間関係において、「好環境」が生まれます。

「断る力」を活用し、様々な自分よりも優れたところのある相手と日常的につきあい切磋琢磨することで新しいことを取り入れることで得意分野を深めたり、新たな得意分野の発見にもなります。

自分の軸を大事にしていくことで、「自分が自分であるためにどうしたらいいか」「相手の一番いいところを活用するためにはどうしたらいいか」という「お互いの思いやり」が習慣として根づいていくことになります。

最後に、なぜ「断る力」を手に入れなければならないかを、社会という見方から整理します。
断る力が必要な理由は、私たちの時間と能力が有益だからです。
しかし、その能力と時間を無駄遣いし、周りの要請に流されるまま、深く考えられていない指示に従ってしまうことも可能です。
大抵は、その指示が間違っていないので、大きな失敗は生みません。
しかし少数のリーダーに意思決定を任せ、その他の人達は断る力を発揮出来ないようになると、強者の暴走が始まります。
細かい利権争い、実質的な天下り、利益重視の食品偽装や不正流通、広告主の圧力によるメディア報道の偏り等です。

健全なNOを相手に伝えて信頼を持ちながら新しい解を探す、そういった共同作業で一人ひとりが断る力を身につけ、相手のことを考えて、得意技を持ち寄り、対案を探り続けるようなコミュニケーションを通じて、よりよい社会をみんなで作っていきたい・・・・・・そう締めくくっていました。

以上が本書のまとめです。
詳しく知りたい事があれば、是非、この本を買うなり、借りてみてください。

私が長々と書かれていた事をまとめた理由は、「断る力」という本のタイトルの真意を理解してもらいたかったからです。
最近のビジネス書というものはタイトルで興味をひきつけるように工夫されています。
しかし逆もしかり。
この「断る力」というタイトルだけを見ますと、「社会人になれば、いろいろと断れない事が沢山あって、それらを粛々とこなしていくからこそ成り立っているんだ。断るなんて出来るわけが無い」なんていう単純・反射神経的な持論を持ち出す人がいることでしょう。
底の浅い人ほど、実際に読まずに、タイトルの数文字だけで結論を出してしまいます。

しかし、ここまで読まれた方々ならば、断る力は、自分も相手も良好な関係を保つ為のスキルだと理解していただけたかと思います。
勿論、ここまで読んだ上でも、この力を否定されるならば、それはそれで構いません。
しかし、できれば否定ではなく、これに代わる代案を心の中で提示してもらいたいです。
もしそれが出来たならば、それはれっきとした「断る力」なのですから。

●勝間和代さん著「断る力」を読んで【1】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001993.html

●勝間和代さん著「断る力」を読んで【2】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001994.html

●勝間和代さん著「断る力」を読んで【3】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001996.html

●勝間和代さん著「断る力」を読んで【4】
http://kanzaki.sub.jp/archives/001997.html

Posted by kanzaki at 2010年01月10日 07:10