2010年03月27日

「返報性の原理(へんぽうせいのげんり)」とは〜コーヒー無料のマクドナルドが儲かる理由

「返報性の原理(へんぽうせいのげんり)」とは、他人から何らかの施しをしてもらうと、お返しをしなければならないという感情を抱く心理を言います。

雑誌「PRESIDENT」に、「コーヒー無料のマクドナルドが儲かる理由」と題して書かれていたコラムにて、上記の言葉が説明されていました。

人からサービスを受けると、「お返しをしなければ悪い」という心理が働きます。
無料コーヒーに惹かれて来店した途端、たまにはちょっと贅沢しようかなと、そういう心理が働き、一部の客が利益率の高い一個何百円もするバーガーも買うのを期待するのが、マクドナルドの狙いです。

このように、無料という低い敷居がお客を呼び寄せ、利益につなげるのです。
不景気の今、外食にお金をかけたくない人が多いので、この「無料」という撒き餌は、外食産業の強力な武器となりえます。
勿論、マクドナルドというブランドと、POSシステムにてお客の動向を的確に掴むからこそ、無料が利益を生むのですけれどね。


無料の外食産業といえば、こんなニュースもありました。


●“タダ”居酒屋が大人気…酒とタバコがタダ、そのワケ - 政治・社会 - ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20100320/dms1003201407003-n2.htm

焼酎(芋、麦、米全部)が何杯飲んでも無料だという居酒屋が話題を呼んでいる。店のオープンは昨年12月だが、早くも口コミで人気となっている。おまけに、タバコも全部タダというから驚きだ。その名は「居酒屋革命」(板橋区大山が総本店)。
 居酒屋といえば、料理は収支トントンで、ドリンクで儲けるというのが普通。それが、なぜ焼酎を全部タダにしてしまったのか。この賭けが当たったのか、こんなご時世にもかかわらず、店は連日大盛況の満員御礼で行列もできるほどの人気ぶりだというのだ


●無料でおかき食べ放題&飲み放題のカフェ「free cafe 播磨屋」に行ってきました - GIGAZINE
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080814_harimayahonten_okaki/


この前、NHKの「クローズアップ現代」にて、無料ビジネスの舞台裏を紹介していましたね。
無料国際通話サービス、無料携帯ゲーム、無料電子カルテ制作会社、全国各地の人々から無料で情報を入手して運営している気象予報会社等、無料が社会に大きなインパクトを与えています。
検索サイトの「グーグル」なんて、株式時価総額がトヨタ自動車の1.5倍にもなっていますよね。

無料という言葉には魔力があるようです。
そして、経済の話しなのに、なんとなく心理学のような感じがしてきました。
心理学と深い関係がある「行動経済学」をご存知でしょうか?
行動経済学は、実際の人間を前提とし、人間がどのように選択・行動し、その結果どうなるかを究明することを目的としたものです。

アナリスト・勝間和代さんの「勝間和代 成功を呼ぶ7つの法則」という書籍に「Giveの5乗」のススメがあります。


●Giveの5乗を実行する

情報と人脈に投資しましょう。
Giveの5乗とは、見返りなしに与えて、与えまくれの法則。
相手が不得手なことや時間がかかることで、しかも相手が欲しいもので、かつ、それが自分が相対的に優位なもので、時間やお金が殆どかからないものならば、どんどん与えましょう。
情報と人脈もその一つ。
こういうものは、多くの人が共有することで、ますます価値が高まります。
こうやっていますと、相手は機会があれば、そのお返しをしようと思ってくれます。
少なくとも、ファンにはなってくれることでしょう。
大事な事は、自分の情報や人脈が人にあげられるほど、予め豊富でなくてはいけないという事ですよ。
情報をまめに収集したり、相手とのつながりを強化していきましょう。


これもある意味、今回取り上げた無料ビジネスに近いものがあると思います。

今は、「無料」という言葉にインパクトがあるから人も集まるし、利益も生みます。
そして、いろんなニュース等で取り上げられます。

しかし、これも時間の問題だと思うのです。
無料で人を集めても、それを利益に結びつけられる才覚のある人物・会社というのは一握りです。
ほとんどの人は模倣をしても、お金と体力が放出するだけで、自分には戻ってこない→失敗。
多くの人には、諸刃の剣のようなものです。

普通の人が普通に生活できるのが当たり前だった世の中が、そうではなくなった。
一部の人だけのものになっているような社会は、やはりおかしい。
無料も、そういった普通の社会を狂わす麻薬のようなものだと思うのです。

社会が変わるには、人々の考えが変わらなければいけない。
無料に頼らないビジネス、無料に惑わされない消費者、そんな当たり前の社会に戻るのも時間の問題だと信じています。

Posted by kanzaki at 2010年03月27日 21:43