2010年05月24日

顧客が逃げるNGトーク

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※菜の花畑で遊ぶ兄弟

雑誌「PRESIDENT」に、「顧客が逃げるNGトーク分析」が掲載されていました。
何気なく使った一言で、顧客が急に態度を硬化させてしまうNGトーク。
ついつい使いがちだけれど相手に悪い印象を与える言葉と、その言い換えをあげてみます。


×とりあえず
○まず初めに

顧客の心理的ハードルを下げるために使いがちですが、これはいい加減な印象を与えます。
企業の購買担当者は、軽い気持ちで切り替えてしまって失敗した際、自分が責任を負わないといけない不安感を抱えています。
顧客が求めているのは手堅さです。
スタートの障害を下げたいのならば「まず初めにこれからやってみましょう」という表現の方が良いそうです。
一つ一つ確実にステップを踏む印象があるからです。
これは顧客にも安心感を与えます。


×〜かもしれません
○〜の可能性もあります

どんなにエキスパートでも、時には質問に対して断定した返答ができないこともあります。
「〜かもしれません」でお茶をにごすと、顧客は頼りなさを感じてしまいます。
特に顧客からリスクについて質問された時は、「可能性はゼロではありませんが、万が一の時はこういう対応が可能です」と答えたいものです。


×そうですか
○そうですね

無意識のうちに連発しがちな言葉です。
「そうですか」は顧客の対面の位置から発せられる表現で、顧客と営業担当の間に距離を感じてしまいます。
それどころか、自分の話しを聞いていないなと錯覚される恐れも。
「そうですね」は語尾が違うだけですが、顧客の横に寄り添いながら、相手の言葉をしっかり受け止めている印象を与えます。
顧客は、同意の意思を示す営業担当者に本音を明かします。
特にヒアリングでは共感を示すことが大切。
たかが相槌と軽視しないこと。


×絶対大丈夫です
○大丈夫です。なぜなら・・・

顧客の不安を打ち消すため、「絶対大丈夫です」と話す営業担当者がいますが、これは逆に信用をなくします。
この言葉で押し切って、根拠や説明できないことを誤魔化していると思われてしまうからです。
根拠のない自信より、顧客は確固たる根拠が安心をさせるのです。


×たぶん
○いまの段階では

「たぶん大丈夫です」と、顧客に過度な期待をさせると、実現しなかった時の落胆が大きく、裏切られたように思われてしまいます。
かと言って、「たぶん無理です」では商談が終わってしまう。
「分かりません」も先に話しが進まない。
その場で明確に答えられない事に関しては、「いまの段階では、○○を目標にしています」というように、現時点の意思を示す形が適切です。


×いつでも大丈夫
○できる限りご都合に合わせます

アポイントに関して「いつでも」と言うと、暇な営業担当者と思われてしまいます。
売れない営業担当者から商品を買う人はいません。
「できるだけお客様のご都合に合わせます」と伝えて、引き合いが多いことを示すといいらしい。


○今月中に契約を
×余裕を持ってスケジュールを組みます

期末になると、数字を達成できない営業担当者が「今月中に契約しましょう」と畳み掛けるものです。
しかしこれは、顧客にプレッシャーを与えます。
「余裕を持って取り組めるスケジュールでお手続きしましょう」と言い換えれば、顧客のことを考えた末の提案だと印象づけます。


×この金額で精一杯です
○駆け引きなしの正直な金額です

「この金額で精一杯です」という表現は、「利益確保のため、この金額までしか下げられない」ということ。
裏を返せば「まだ利益がある」という状態を示してしまいます。
そもそもヒアリングや競合比較を十分に行い、コスト以外の価値を訴求できていれば、無茶な値引き要求は減らせるはずです。
価格交渉で難航した場合は、もう一度ヒアリングに戻って、提案の見直しをはかるのもひとつの手です。


×いつごろ決まりそうですか?
○進捗はいかがですか?

「いつごろ決まりそうですか?」は「早く決めろ」という意味にとられかねません。
顧客の意思決定を促したければ、「進捗はいかがでしょうか?」「何かトラブルが起きてお困りではありませんか?」というように、現状確認の形で問いかけるべきです。

以上、ざっとあげてみました。
これらは、「営業担当とお客様」という立場だけではなく、「本社と支店」にも言い換えられそうな気がします。
私は会社の購買関係を担当していますので、外部の人と会う時は大抵、「お客様」を演じることになります。
売り込む方より、買う方の立場は気分的にもリラックスできます。
だから冷静になって、情報をまとめ、自分の会社にとってメリットがあるものを追求することが可能です。

しかし、「本社と支店」と言う立場になった時、本社の人間である私は、支店の人から見れば「敵対関係(悲しいことですが)」と捉えられる事もあります。
本社は支店に、ルールを押し付ける立場ですからね。
受ける側からすれば、そう思いたくもなります。

そんな敵対関係にある相手に、何かしら依頼をして、それを期限までに提出・回答させるのは大変です。
これが一つ二つの店所ならばともかく、100もあると辛くなりますよ。
中には、偏屈なキャラ等、困った人もいますから。

でも支店は、現場の最前線でお金を稼いでいるわけです。
忙しい中、本社の依頼を聞いているほど余裕はありません。
そんな中でお願いをするのですから、言葉の選び方には慎重になります。

冒頭の各サンプルは、良い例です。
ついついNGトークを使いがちですが、ちょっと意識するだけで印象がガラリと変わります。
早速明日から、仕事に活かしたいと思います。
勿論、そのまま使うのではなく、自分の言葉に噛み砕いて使いますよ(そうじゃなければ、本番で使えません)。

Posted by kanzaki at 2010年05月24日 23:00