2010年10月16日

携帯電話は、使わない機能が多いと感じている人がたくさんいます

yuuko02.JPG
※イラストレーター水上祐子さんの作品。
「ニコンAF-S Micro NIKKOR 60mm f/2.8G ED」でマクロ撮影。RAW現像。レベルとコントラストを調整。
連絡先は「蔵織」まで。

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●デジタル家電:携帯電話、購入者の65%がストレス 使わない機能多い - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/it/news/20101015mog00m020013000c.html

デジタル家電を購入した人の半数がストレスや不満を感じていることが、民間コンサルタント会社「ブランド総合研究所」(東京都)の調査で分かった。ストレスや不満の対象の製品別では、携帯電話が65%で最も多く、パソコン(56%)、ブルーレイディスクレコーダー(52%)と続いた。
ストレスを感じる点は、携帯電話とデジタルカメラでは「使わない機能がある」が最も多く、薄型テレビ、ブルーレイディスクレコーダー、パソコンは「電源起動・終了に時間がかかる」が最多だった。


売り手と買い手の考えの違いが、如実に出ているという事でしょうかね。
売り手だって社屋を一歩出れば、一ユーザーです。
だから買い手の気持ちが分かるはずなのに、組織の中でモノを作ると、なかなか思ったようにはいかないのはどこも同じなんでしょうかね。
以前、「9倍効果」という事を書きました。

●神崎のナナメ読み: 「9倍効果」とは〜新製品は従来製品の9倍価値がないと売れない
http://kanzaki.sub.jp/archives/001921.html

売り手は思い入れが強すぎて、3倍の過大評価となってしまった。
そして買うほうは前述のとおり、既に所有しているものを3倍に過大評価しています。
これを掛け合わせると、売り手と買い手の知覚価値には、9倍のギャップが存在することになるのです。
ハードード大学のジョン・グルビル教授はこれを「9倍効果」と名づけています。
新製品定着には、この9倍の壁を乗り越えなくてはいけません。


携帯電話に関しては、売り手と買い手のギャップを埋めようと考えた策が「多機能」だったのでしょう。
しかし、買い手の方がそれを拒否した格好になっているのが今日のようです。

携帯電話というのは、今では生活必需品。
しかし同じ「生活」でも、人によって様々な訳ですから、それぞれが望む「生活に必要な機能」は違ってきます。
マーケットリサーチをすると、それこそ人によって答えが違うので、それらをすべて反映させようとすると「幕の内弁当(多機能という意味)」みたいな商品になってしまいます。
いっその事、「こんな機能はいらない」みたいな調査をして、それを反映させた商品を出したらどうなるやら。
ただ、過去の売上を見ますと、シンプル機能の携帯電話(「らくらくホン」は意味が違う)というのは、不人気で安くたたき売られる傾向にあるので、実際には難しいのでしょうね。

私はiPhone4を使っていますが、これの良いところは、自分の必要なアプリをダウンロードして携帯電話に付加できるところだと思います。
例えば、私は英単語・英会話のアプリをiPhone4に入れていますが、別の人とっては全く必要のない機能です。
そんな感じで、自分の生活スタイルに合わせてカスタマイズ出来るのは良いことだと思います。
本体のスペックだけではなく、こういったアプリの購入ができるオンラインストアを完備して、ハードとソフト両面からユーザーにアピールするのはうまいですね。

ただし、iPhoneを誰にでもお勧めするわけにはいきません。
絶対条件として、インターネットに接続できるパソコンが必要ですから。
これが無いと、OSのファームウェアのバージョンアップが出来ませんからね。
最初の設定も、自分一人では出来ない人もいると思います。

iPhoneのようなスマートフォンに注目がいっている携帯電話業界ですが、日本で対抗できるものを作ってブランド化するのは大変だと思います。
どんなに良いものを作っても、「iPhoneみたいなもの」と言われるからです。
その昔、ガンダムのプラモのパチもんとして、ガンガルが発売されたことがありますが、似たようなものというのはチープさを感じさせてしまいます(そこが好きという人もいますが)。

同じ土俵で戦うより、実際に非常に売れている「らくらくホン」のような、コンセプトが全く別の方向を向いて、明確なものを作っていく方がよいのかもしれませんね。

Posted by kanzaki at 2010年10月16日 14:07