2010年11月18日

『ブックシェアカフェ高円寺店』:ブックシェアカフェ(Book Share Cafe)とは?〜意味は、本を介して人をつなげる会員制マンガ喫茶(ネットカフェ)

konohasi01.JPG
※福島潟にある小さな橋。小さくても、自分の役割を立派に果たしています。


●【シェアの時代】所有と消費が美しい、という時代は終わったのか?『ブックシェアカフェ』菅谷洋一氏インタビュー - ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/84864

●【シェアな生活】節約だけじゃない。”シェア”が生み出す新しい消費と楽しみ方 『ブックシェアカフェ』菅谷洋一氏インタビュー - ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/84949

●【連載”シェア”】あなたは電子書籍で”懐かしさ”を感じることができますか? 『ブックシェアカフェ』菅谷洋一氏インタビュー - ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/85113

●”シェア”は所有や消費よりも面白くなる――『ブックシェアカフェ』菅谷洋一氏インタビュー - ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/85510


インタビューのあらすじ:
”シェア”による新しい消費とコミュニケーションについて取材中、『ブックシェアカフェ』という新しい形態のお店が高円寺にできたと知る。
本が並んでてドリンク飲み放題など、そのお店は一見”漫画喫茶”なのだが違う部分がある。
個室がなく全席オープン、雰囲気は綺麗な図書館。
よくあるゲーム用高性能PCはなく、iPadが複数備え付けられている。
電源や無線LANは自由に使えて月額2000円で月何回でも利用可能(混雑時制限あり)、読みたい本は必ずPOSを通し、そこ経由で会員制ウェブサイトに自動登録された自分が読んだ本へのレビュー執筆ができる。
一体何故、このようなお店をつくったのか。企画担当の菅谷洋一さんにお話をきいた。


●「ブックシェア カフェ 高円寺店」公式サイト
http://book-share.jp/
店名 : Book Share Café(ブックシェア・カフェ)
住所 : 東京都杉並区高円寺南3-46-10 EMAビル2階
電話 : 03-5913-8439
座席 : 35席
PC : iPad 8台/無線LAN・有
蔵書 : マンガ1万2千冊+一般書千冊+会員の貸し本棚
ドリンク : ソフトドリンク無料(アルコール類は有料)

●「アカデミーヒルズ」:
六本木ヒルズの47階にある、月一万円の会員制図書館「六本木ライブラリー」
http://www.academyhills.com/library/index.html

●京都の本屋「ガケ書房」の遠方販売のページ:
「貸し棚」を行っている本屋
http://gake.shop-pro.jp/

・モロ公認、スレスレ非公式サイト「ガケ書房のレシート」
http://www.h7.dion.ne.jp/~gakegake/index.htm


※※※


上記の記事を読んで、「ブックシェアカフェ」企画担当の菅谷洋一さんという人は、相当なネットヘビーユーザーだと思いました。
それは、ネットの良い部分も悪い部分も知っており、私達寄りの人だという事。
この人自身、動画配信サイトGyaoに携わったりしているけれど、ネットの有効利用をビジネスの視点だけではなく、ヘビーユーザー側から見て感じている。
そして、それを漫画喫茶(ネットカフェ)という現実空間に置き換えてみると、どのようになるのかを模索しているようです。

今、インターネットの世界で幅を効かせているものとして・・・

・「mixi」のようなSNS
・「食べログ」のような口コミサイト
・「YouTube」「ニコニコ動画」等の動画共有サイト
・iPadの登場により注目されている「電子書籍」

そこに一言ブログでコミュニケーションをとる「Twitter」があり、これからiTunesで映画の「セル・レンタル」の開始もある。
そういった物理的なモノではないけれど、生活が潤ったり、コミュニケーションが生まれるものが沢山存在します。

確かにこのお店は実験的なものかもしれないけれど、上記のようなネット上では成功しているもの(or話題になっているもの)を土台にしているだけに、インターネットを有効利用している人にはウマが合うお店ではないかと思います。

「Twitterをビジネスに有効活用しよう!」と大きくアピールしている会社があります。
社内での実際の有効活用とかを書いた書籍も発行している。
社長が沢山のビジネス雑誌でインタビューを受けている。
うん、確かにTwitterという道具をビジネスに活用したのは、国内でもはじめてだと思う。
応用力は素晴らしい。
けれど、「それはあなたの会社が開発したアイディア、サイト、ツールじゃないよね。なんで他社が作ったものを自分がさも作ったかのように大々的にアピールしているのだろう」
「ある意味、同業他社なのだから、自分達でTwitterに代わるものを作ろうとはしないのだろうか?」
と思っていました。

その点、ブックシェアカフェというお店は、会員達の意見や考えを他社が作成したmixiやTwitter等のツールを使わず、自分たちのお店で全て受け止めようとしている。
その姿勢が、私にはとても凄い事だと思えました。
インタビューを読んでいますと、まだ実験的なものであり、小規模であると謙遜していますが、この企画者のバックグラウンドには大きなものがあると思いました。
単なる思いつきではないと思います。
そうでなければ、「物理空間も共有している上での情報空間を共有する気持ち」を感じ取れなかったと思います。

確かに、このようなお店に共感を持てるほどの民度の高い人が多い地域は、正直、地方にはありません。
やはり首都圏だから今のところ成立するのでしょう。
むしろ日本より海外へ、「買うよりも面白いブックシェアカフェ」というアイディアを販売する方が成功するかもしれません。

日本はまだ不況から脱していません。
これからますます悪化するかもしれませんね。
だって、切り札となるようなものが全くありませんから。
そして、30代以下の若い世代を使い捨てにするような社会構図が、まともなスタイルだとは到底思えません。

収入が少ない若者達は、「買うことによる満足」を放棄しはじめました。
いわゆる、「若者の○○離れ」です。

しかもそれは、「諦め」も勿論あるけれど、「高額商品を買って満足しているという姿のカッコ悪さ」を感じているからかもしれません。
「カッコいい」と「カッコ悪い」、「可愛い」と「可愛くない」という感覚は重要です。
その対象となるものに「かっこ良さ」「可愛さ」等の好感を感じなければ、買おうと思いませんから。
そうなったら、その商品・業界に先はありません。
今までは付加価値として、そういった感情があったから、高くても買ってもらえていた。
けれど、そういう感情が無ければ、誰も見向きもしません。

価値観の変化で実感できるのは、「自動車(マイカー)」・「自転車」です。
私が20代の頃は、自動車(マイカー)に価値観がありました。
私の時は、RV車が流行っていました。
スキーにスノボ、バスフィッシング等、アウトドアなレジャーを楽しむ為、車体価格や維持費が高い上に、燃費も悪いクルマがもてはやされていました。

しかし今、「エコ」というキーワードが好感をもたれる時代です。
そのキーワードへ「カッコいい」「お洒落」という感情が動き、プリウスのようなハイブリッドカーが売れました。
けれども、全員がプリウスを買えるわけじゃない。
「エコ」というキーワードが、自転車へも向けられました。
「カッコいい」「お洒落」「健康的」等の感情が動き、自転車ブームとなっています。
マイカーに比べれて価格が安いのに、そういった感情を得られます。
マイカーでの通勤をやめて自転車へ切り替えても、「貧乏だから」なんて他人から見られない時代になりました。

マイカーをやめて自転車や公共機関を利用する人が増えました。
そういや本を買わず、漫画喫茶や図書館を利用する人が増えたのも実感します。
昼食は外食だったのをお弁当持参に切り替えた人も多い。
高級なものを買って得ていた「満足」という感情を別の方法(しかも安いor無料)で得られる時代になりました。

これからも買わずに借りたり、共有する事で同等の満足、更に他者とのコミュニケーションをはかる事が増えてくると思います。
「カッコいい」「お洒落」という感情がそちらへ向いている限り、終わることはありません。
来年も、そういったキーワードをペースにしたサービスが、テレビや雑誌にて紹介されるのではないでしょうかね。


※冒頭の記事の連載を教えていただきました「キュアマリン、単独変身ひさびさにキター!(しかも修正が加えられている!)」さん、ありがとうございました。

Posted by kanzaki at 2010年11月18日 21:33