2011年01月21日

EcoStation21(エコステーション21) とは?〜自転車の駐輪場から街を快適にする駐輪場管理システム

自転車って、盗まれやすいですよねえ。

ロードバイクなど、ちょっと値段が高い自転車は駐輪するのにも気を遣います。
ママチャリだって、結構簡単に盗まれてしまう。
どこの街もそうだと思うのですが、特に新潟市は酷いです。
新潟駅南口&西口の駐輪場に、高価な自転車を置く勇気はありません。
何度も盗まれていますから。

しかも駐輪スペースに対して、それを上回る数の自転車が停まっているので、おしくら饅頭状態です。
特に、ジュンク堂前の駐輪場は酷すぎです。
出入口が狭いのに、その出入口付近まで自転車がぎっしりと停められているので、入れるのも出すのも一苦労です。
強風で、多くの自転車がドミノ倒しになり、ますます出すのに苦労することもしばしば。
駐輪されている自転車の中には、かなりの率で放置自転車もあるのではないかと思います。
本当に利用したい人が不便をする・・・主要駅がこのまんまで良いのでしょうか?

そんな感じですので、新潟駅へ行くときは基本的に徒歩です。
どうしても自転車で行かなければいけない時は、盗まれてもダメージの少ない激安で買った自転車で行きます。

現在、世界的に公共機関を使ったコンパクトシティを作る潮流があるそうです。
そうしますと自転車の役割は、ますます重要になります。
放置自転車が無く、自分の大切な自転車を安心して駐輪できるような快適な都市空間を作るのに、「駐輪場サービス」は非常に重要となることでしょう。

日経ビジネスに、「アーキエムズ」という京都の会社が紹介されていました。
ここは、駐輪場システムの販売・運営をしている会社です。

この会社は、「エコステーション21」という有料の無人駐輪場システムを開発しました。
自治体や鉄道会社に設備などを販売する他、自ら駐輪場システムを運営しています。

●EcoStation21(エコステーション21) - 駐輪場から街を快適にする、駐輪場管理システム
http://www.ecostation21.com/index.html

エコステーション21は、日本コンピュータ・ダイナミクス(NCD)が開発した、コンピュータのネットワークによる駐輪場管理システム。IT技術で様々な企業の問題を解決してきた私たちのノウハウを人々の暮らしに役立てたい。その思いが、「24時間365日誰もが安心して使える駐輪場」を実現しました。駐輪問題を解決することで都市を美しく再生し、人々の生活までイキイキと変えていく。それが私たちの使命です。

・エコステーション21の利用方法:
エコステーション21の駐輪ラックに自転車を入れると、自動的に電磁ロックがかかる。
暗証番号の入力は任意。
精算機に駐輪番号を入力し入金するとロックが解除され、自転車を取り出せる。
イメージは、自動車のコインパーキングみたいなもの。

・料金体系:
地域や場所で異なる。
「買い物など短時間の利用者には課金しない」という考えなので、最低30分〜最大3時間は無料で利用可(以降、一日あたり200円を課金)。

・アーキエムズはもともと建築設計事務所。建築不況のため、駐輪場ビジネスへ参入した。

・エコステーション21の導入当初は、有料の駐輪場サービスが受け入れられなかった。
はじめて導入してくれた商業施設がアーキエムズへ依頼した理由は、放置自転車の散乱から。
しかし、今まで無料で使えていたのに有料になったことから、利用者から反発があった。
その為、啓発のチラシ配りや声かけをして放置自転車問題を地道に訴えていった。
少しずつ放置自転車が減り、利便性が高まると、商業施設の利用者も増え、反発の声は無くなっていった。

・しかしそうは言ってもやはり、有料の駐輪場システムの導入件数は伸びなかった。
その有用性が知られていないのと、初期導入費用が高いから。

・今までは駐輪場システムの販売だけをやっていたが、今度は会社自らが土地を借り、自社のシステムを使った駐輪場サービスの運営をはじめ、それによって成長軌道にのった。
ハードの販売と違い、一件あたりの売上は減少したが、顧客の負担が少ないので鉄道事業者、自治体が導入をしてくれた。
自社でシステム運用することで、老朽化する前に設備を更新したり、アフターサービスを充実させ利便性を高めることが出来た。

・駐輪場とサポートセンター、警備会社が、コンピューターネットワークでつながれているので、解錠できないなどのトラブルに素早く対応できる。
こういった利用状況をリアルタイムで把握できる事が、顧客である鉄道会社などに重宝がられている。

・鉄道会社は各駐輪場に利用者が適度に分散することで、放置自転車をなくし、駅が利用しやすくなるようにしている。その前提として、時間・曜日こどの駐輪データが必要。それにはこのエコステーション21が適している。

・アーキエムズも、快適な駅や街づくりを企業の立場から考えている。
駐輪場を設置することで、放置自転車のない快適な街作りに貢献したいと考えている。

・国内だけではなく、海外進出も考えている。
上海などの高級住宅街では、放置自転車の撲滅が課題になっているので、同社のシステムに需要があると考えている。

※※※


企業が社会に貢献するというのは、非常に難しいところです。
ボランティアじゃないので、儲けを出さなければいけませんから。
儲けを出すには他社との競争があったり、時には環境破壊・モラル破壊につながる事だってあります。

社会に貢献しながら利益を生むには、他人のモノマネではなかなか難しいですよね。
上記の会社も、独自の駐輪場システムを作ったけれど、当初はなかなか理解されませんでした。
公共の場では、「無料」と「有料」の間に大きな壁があるからです。

だからこの会社は、そのシステムの有用性を市民に「教育」をしたのですね。
理解してもらい、軌道にのせたのです。

他人が作った道の上で同じようなことをしても、なかなか成功しない。
かと言って、誰も踏み込んだことの無い場所に道を作るのは、相当な覚悟が必要。
けれど後者は、その道の先駆者としてトップシェアを得る可能性もあります。

ユーザーに有用性を教育をして販売利益につなげたものと言いますと、バリやインドネシア等で、低価格の一回分ずつに小分けされたシャンプーとかじゃないでしょうか。
虫除け、洗剤なども小分けで売っています。

このような地域では、石鹸やシャンプーを使うという文化がありませんでした(今まで泥を使ってました)。
そんなところでそれらを販売しても、当然、売れるわけはありません。
買いやすい値段と使いきりタイプにすることで、その商品の有用性を知ってもらい(これが教育ですね)、その後も習慣化して買ってもらい利益を出す。

我々日本人にも馴染みのあるアップル社のiPodやiPhoneも似たようなもの。
昔からポータブルオーディオとしてソニーのウォークマンがありました。
カセットテープやCDに収めた音楽を再生できる機械です。
iPodは、パソコンで管理した音楽データを持ち出すという概念や、ネットを通じて音楽を買うという事を我々に教育させたと言ってもいいでしょう。
似たようなものは過去にもありましたが、根付かせたのはアップルだと思います。
iPodですら最初は「ヲタクの遊び道具」という印象で迎えられていたのですが、女性向けファッション雑誌等とコラボすることでイメージの向上をはかりました。

iPhoneの出る前にだって、スケジュール管理やインターネット接続、音楽再生などが出来る「PDA」というジャンルのガジェットがありました。
様々なアプリが入れられる電子手帳みたいなものです。
しかしこれも、「ヲタクの遊び道具」のような感じで、日本には根付かなかった。
iPhoneは、iPodの良好なイメージを使って、我々にその商品の良さを教育しました。
パソコンとの連携や、感覚的操作などは、iPodによって一般人にも受け入れられる状況になっていたのも大きい。
安価にモバイルネット接続できる環境も揃ったりと、いろいろな条件が整ったのも普及の大きな要因。

使いやすい環境を作り、有料でも使ってもらえるように良さをアピールする。
ユーザーに教育をするというのは、そういう事なのでしょう。

住みよい街づくりをするには、そこに住む人達を教育することも必要だと思うのです。
私が冒頭で、新潟市の自転車盗難の多さを書きましたが、そういったモラル向上の教育が無いと、有料の駐輪場があってもなかなか普及しませんから。

Posted by kanzaki at 2011年01月21日 22:57