2011年02月19日

「管理職のための部下のやる気を引き出すコーチング」〜セルフコーチングコンサルタント・早川優子さん

昨日は、取引先であるリコージャパン株式会社のセミナーへ出席しました。
リコージャパンのセミナーの特徴は、自社製品である複写機の展示等は殆どしないことです。
実際、展示していたのは複合機(複写機にFAX機能の付いた機械)一台のみでした。

将来、単なるハードウェアのみの販売では生きていけないと考え、ソフトウェアの販売に移行できるようにという考えに基づいております。

出席したセミナーは二つ。

一つは「クラウド時代の新たなデータ管理サービスの紹介」。
パソコンにデータを入れて取り扱うのではなく、全国各拠点にあるサーバーへ、インターネット経由でデータにアクセスして取り扱うというもの。
パソコンにはデータが保存されないので、パソコンの紛失等による情報漏洩に対処できます。
また、複数の拠点が互いのデータをバックアップしているので、震災等により一つのサーバーが破壊してしまっても大丈夫。
今回、クラウド関連のセミナーが多かったのは、時代を反映していますね。


もう一つの基調講演は、「管理職のための部下のやる気を引き出すコーチング」。
担当は、セルフコーチングコンサルタント・早川優子さん。

●セルフコーチングカフェ
http://www.selfcoachingcafe.com/

・セルフコーチングとは?
スポーツ選手にコーチが付いているように、あなたにもコーチがいたら良いと思いませんか?あなたの人生の目標を明確にし、その達成方法を一緒に考え、目標達成までの道のりをともに歩きながら、ときに喜び、ときに励まし支えてくれる。そのコーチ役を自分自身で行うのが、「セルフコーチング」です。

・早川優子プロフィール
上智大学文学部教育学科卒業後オムロン株式会社入社
1997年リクルートに入社
2001年に人事コンサルティング会社に転職
2004年に独立、早川オフィス設立
現在はセルフコーチングコンサルタントとして企業研修やコーチングセミナーなどを開催
2009年度の講演・研修実績は150日
著書:「夢が実現する9つのルール〜セルフコーチングで愛と成功を手に入れる」
 

セミナーの内容は四つ。
(1)やる気を高める3つのポイント
(2)ほめ言葉を増やす
(3)IメッセージとYOUメッセージで褒める
(4)叱り上手になる

(1)やる気を高める3つのポイント:

フレデリック・ハーツバーグの動機付け要因・衛生要因理論によりますと、やる気を高めるポイントは「目標」「成長」「感謝(承認)」の三つです。
更に最近では、「人間関係」も加えられています。


(2)ほめ言葉を増やす:

人は自分のことを褒めてくれる人のことを認めたがります。
「褒める」ことは相手に対する承認行為です。
「褒める」と「おだてる」は違います。
嘘をついてヨイショするのではなく、相手の出来ているところを探して素直に認め、言葉にすることが褒めることです。

出来ていないこと、マイナス要素ばかりに目がいってしまいがちです。
しかし、それでは良いところは見つかりません。
どんな小さな事でも良いので、普段から常に相手を観察して、タイミングを逃さずに褒める事が大切です。

セミナー参加者に紙と筆記用具が渡されて、演習が行われました。
今まで部下に言った事がある(又は言ってみたい)褒め言葉を記入することになりました。
紙には30個のマスが書かれてあるのですが、全てのマスを埋められた人は過去5,000人の中で17名だけだったそうです。

ちなみに、若手の社員が褒められて嬉しかった言葉は「ありがとう」「お疲れ様」「助かったよ」でした。

もし、相手を褒めたいと思っても、なかなか褒める言葉が無かった場合は、以前の本人より良くなった部分を伝えましょう。
例えば、「最近、笑顔が多くなったね」「最近、以前よりも早く出社するようになったね」等です。


(3)IメッセージとYOUメッセージで褒める:

YOUメッセージは、「あなた」が主語になります。
例えば、「よく頑張った」「えらいね」「頭がいいね」等です。
このメッセージは、評価みたいな印象があります。
上から目線のような感じになります。
また、下の者は使いにくいし、下心があるのではと勘ぐられてしまう場合もあります。

Iメッセージは、「私」が主語になります。
「あなたという存在が私にどんな良い影響を与えてくれたのか」について話します。
例えば、「あなたのお陰で助かった」「こちらまで嬉しくなるよ」等です。
自分の感想なので、相手に伝わりやすいです。

この後、部下の顔を思い出し、一人ひとりに伝えるIメッセージを書く演習を行いました。


(4)叱り上手になる:

ネガティブな事は「サンドイッチ法」で伝えます。

・まず認める(1枚目のパン)
例「いつも丁寧に書類を作成してくれてありがとう。とても助かっているよ」

・次に、客観的事実、主観的事実を伝える(具材)
例「ここのところ単純な記入ミスが3回も続いたので、心配しているんだ。」

・再度、認めて期待を添える(2枚目のパン)
例「○○さんがいるから、私達はとても気持よく仕事が出来るんだ。だから是非また仕事に集中して頑張ってほしい。もし何か困っている事があればサポートするよ」


伝え方のポイント

・行動変容が可能な事を具体的に伝える(直す部分を具体的に分かりやすく伝える。人格否定しない)

・タイミングを逃さない(その場で一回だけ。過去を蒸し返さない)

・自分の言葉で短く、理由と共に伝える

・他人と比較しない

・感情的にならず、戦略的に伝える

・どのように受け取ったかを相手に確認する

・フォローする(「最近、遅刻しなくなったね」とか、ちゃんと言葉にして伝える)

ちなみにコーチングには、叱るというスキルというのは正式には無いそうです。
しかし大切な事なので、早川さんはこの事も取り扱っております。

以上がセミナーの内容です。
全部で50分でしたが、あっという間でした。
理由の一つは、講演を聴いている人達に演習をさせたからでしょう。
ただ聴いているだけだと、右から左へ聞き流してしまいがちですが、実際に自分で考え、紙に書くことで、活きた知識となります。

本格的な勉強会ではありませんから、大まかな事だけの説明でしたが、人間関係の大切さを考えさせられる深い内容でした。

私は会社員もしていますが、最近はフリーの仕事に専念したらとアドバイスを受けることが多くなりました。
独立して、自分の力だけで生きていく訳ですね。
しかし、私にはそのような考えはありません。

確かに、今の会社の給料は高い方ではないと思います(全額、親に渡しているので、私にとっては給料の高い・安いはあまり関係ないのですが・・・)。

しかし、社会人になって右も左も分からない私をここまで育ててくれた会社の方々に、恩義を感じています。
もし、この会社に入っていなければ、今よりもっと酷い人間になっていたと思います。
ワガママな性格を抑え、協調性を持つ事が何とか出来るようになったのも、今の会社のお陰です。

社内の人間関係は悪くないし、この会社にいるからこそ、普通ならば自分の年齢では任せられないような大きく・重要な仕事をやれるのも、ありがたい話しです。

そんな訳で、今後も今の会社でやれるだけの事はやっていきたいと思っています。

セミナーの内容に関連する話題として、お隣りの中国の会社での叱り方についてご紹介したいと思います。
雑誌「PRESIDENT」に書かれていました。

中国人は面子を大切にします。
ですので、部下を叱る際は人前で行いません。
これは向こうの常識です。

また、中国の企業では、会議で上司が右と言えば絶対に右。
その場で反対意見を述べるような部下がいたら、自分の面子を潰した憎い敵と考えます。
解雇することも辞さないです。

上司が間違った判断をした場合、勿論、それを正さなくてはなりません。
その場合、上司が相手の面子を立てなくてはいけない人物を探してきて活用します。

例えば、中国の権力社会で、「お上」は絶大です。
そこで、事業を管轄する役所に出向いて相談を行い、自分が考えているような意見を引き出します。
そして上司に「お役所の○○さんが、こう言っましたよ」とやんわり伝えます。
当然、上司は無視できなくなります。
所変われば、色々と対処方法も変わってくるものなのですね。

Posted by kanzaki at 2011年02月19日 23:49