2011年06月11日

なぜ、今の若い世代は物欲がなくなったのか

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※「新潟古時計物語展」を開催中。新潟県政記念館に設置された大時計です。

雑誌「PRESIDENT」に、経済評論家・大前研一のコラムが連載されています。
今回の内容は「なぜ、今の若い世代は物欲がなくなったのか」でした。

モノが溢れかえった時代。
そんな環境で育った今の若い世代に、物欲がないのは当たり前と語っています。
草食系と称していますが、要は環境に適応してしまったのです。
「モノは必要なときに使えばいい」と、シェアリング(共有)のライフスタイルが浸透しているのです。


●持ち家信仰の崩壊
神崎の世代ですと、持ち家信仰がありますが、彼らには持ち家信仰がありません。
今から20年前に30〜35歳だった都市部のサラリーマンの通勤時間は、平均1時間20分でした。
いまどきの若い世代には、あり得ない数字です。
一日3時間もかけてまで、何で郊外に家を持つのか理解できません。
ついでに言えば、そこまでして行きたい会社などないのです。
一生かけても払いきれない住宅ローンを抱え、長距離通勤で寿命をすり減らしてまで一国一城になることに価値を見出していません。


●マイカー信仰の崩壊
「持ちたがらない」「買いたがらない」という生活者が日本で急速に増えています。
そうしたマーケットの変化に、政府も企業も反応が鈍いのが実情です。

その象徴である自動車。
国内販売は不振の一途。
官民一体になって、この日本最大産業の斜陽化を食い止めるべきなのに、相変わらず車は税金の塊。

駐車場代も高い。
保険だって支払わなければいけない。
一年間、一キロも運転しなくても、維持費は高くつく。
そして、定期的に車検もあります。
走ったら走ったで、ガソリン税に有料道路料と、経済的負担にウンザリ。
マイカーを所有するのに、なんでこんなにペナルティーばかり背負い込まなければいけないのか・・・。


●子供の教育費の激減
子供の教育も、大学まで出してやるのが親の務めという考えも通用しなくなってきました。
親の収入が激減して、脛をかじることが出来なくなったからです。
大学全入時代になり、そもそも大学に入る意味について問い直さなければいけないのかもしれません。


●身の丈に合った生活
大前さんは以上のような例をあげました。
出世競争の無限地獄。
リストラの恐怖。
膨大な仕事に追い回され、無理して郊外にマイホームを建てて通勤に疲労困憊。
日本社会の成長期の出世コースを踏襲し、背伸びして生きてきた人ほど、わりを食う時代だと語っています。
都心部にて、身の丈に気づいた人は車を避け、持ち家を避け、子供の教育に金をかけることにも疑問を感じています。

成長神話は既に崩壊。
それにすがっている限り、日本人は苦しみ続けます。
背伸びしても、昇進と昇給は追いついてきません。
いかに早く、身の丈に合った生き方に切り替えられるかが問われている・・・コラムは、このようにまとめていました。

大前さんの言うことはもっともだと思います。
若い世代じゃない私ですら、そう考えますし、既に実践しています。
マイカーは捨てたし、そもそも実家だからマイホームは買う必要ない。
結婚していれば、また考えも違ったのでしょうが・・・。
昨年、仕事のストレスから身体を壊したのも、大きな転換だったかもしれません。

「一体、自分の人生とは何だったのか?」と、自問自答して苦しむ終わり方はしたくないものです。

※※※※※

監査役から「今年はどこの株主総会へ出席するのか?」と聞かれたので、いつも通り「亀田製菓」へ行ってこようと思います。
本当は久しぶりに第四銀行へ行きたいのですが無理か。
当社は、県内の主要企業の株式を大抵所有しているので、どこの株主総会へも行けます。
そんな中でもやはり、亀田製菓は非常に真面目な運営をしているので勉強になります。

亀田製菓の株主総会招集通知を見てみました。
招集通知とは、この一年間の会社の経営状況を数字と文字で説明した会社の通信簿みたいなものです。

招集通知の冒頭には、会社から株主へ挨拶の言葉が書かれています。
今年は東日本大震災により、その文面が変更されています。
亀田製菓は以下のように書かれていました。

「拝啓 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度の東日本大震災に被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。」

例年、どこの会社も「拝啓 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」のような言葉にしています。
しかし今年は、東日本大震災の直後なので、「ご清栄」「ご清祥」「お慶び」「お喜び」という言葉を使う会社は殆どありません。
大体が「拝啓 平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。」にしています。

ご清祥(ご清栄)とは、健康で幸せに暮らしている事なので、甚大な被害が生じた震災の対応としては、使わない方が良いのです。

阪神淡路大震災の後も、多くの企業がこのように文面を変更していました。
三菱UFJフィナンシャルグループ、日立製作所、住友金属工業、三菱ケミカルHD等は、現在に到るまで上記文言の除外を継続しています。

お見舞いの文言を記載をしている会社も多いです。
全国の各証券取引所による平成21年度株式分布状況調査によれば、東北地方所在の株主数は、1,236,375命(2.7%)と少ないものの、未曽有の大災害でしたので、考慮も頷けます。

こういった文面的配慮をしているかどうかでも、その企業の体質が見えてきますので、気にかけて読んでみてください。

Posted by kanzaki at 2011年06月11日 23:45