2011年07月22日

ヤマト運輸〜東日本大震災にて、現場の危機対応力について高い評価を得た企業

shironeko01.JPG
※今回はクロネコの会社についてですが、冒頭はあえてシロネコで(おい

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郵送されてきた「日経ビジネス」最新号を読みました。
冒頭に書かれてあった「編集長の視点」が、本文以上に興味深かったです。
書かれてあったのは、「ヤマト運輸」についてでした。

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●震災後、「現場の危機対応力」について高い評価を得た企業が幾つかあります。
その代表格が「ヤマト運輸」です。
あの黒い猫(クロネコ)がマークの運送会社です。

●ヤマト運輸-公式サイト
http://www.kuronekoyamato.co.jp/
(被災地の生活・産業基盤の復興と再生を支援するため、向こう一年間、宅急便一個につき10円を寄付しています。6月30日現在、寄付金額は約32億円です)

・ヤマトグループ ニュースレターVol.02(PDF・602KB)
http://www.yamato-hd.co.jp/company/newsletter/pdf/newsletter_02.pdf
(被災した3県に対し、生活密着型で支援を続けています。企業が出来る復興支援活動の参考になる内容でした)

●震災当初、政府は、救援物資の輸送対応の指示が全く出来ていませんでした。
そんな中、自分や家族が被災しているヤマト運輸の現地社員達は、物資を効率良く運べるルートマップをいち早く作成しました。
それを元に、自発的に地元の役場へ直談判して、被災者へ救援物資輸送をはじめました。
こうして、物資の行き届かない避難所へ配達を手がけたのです。

●ヤマト運輸の本社が、その活動を知ったのは、しばらく経ってからでした。
急遽、全国から車両や人員を集めて、「救援物資輸送協力隊」を組織して派遣しました。
当時、被災地で大問題となったのは「輸送にかかる燃料不足」。
それに対して本社は、行政や石油元売りに掛けあい、燃料確保に奔走しました。
こうして、グループを挙げて物資の輸送に尽力したのです。

●「日経ビジネス」編集長は、上記の話しを聞いて、故・小倉昌男さんへの取材を思い出したそうです。

・小倉昌男(おぐら まさお) - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%80%89%E6%98%8C%E7%94%B7
(ヤマト運輸の『クロネコヤマトの宅急便』の生みの親)

小倉さんは取材の際、「逆さまの組織図」を見せてくれました。
これは普通の組織図と違い、一番上にドライバーを、一番下に支店長などの幹部が記されています。

この組織図には、「ヤマト運輸では、社長も営業部長も1円も稼がない。セールスドライバーが1個1個集荷する以外に収入の道はない」という意図があるのです。

また、小倉さんは生前、「経営者が理念ばかり言っても始まらない。社風を育むのは実践の継続だ」とも語っていたそうです。

●ヤマト運輸の新サービスは、現場の提案から生まれたものが数多くあります。
「時間指定」は東北、「スキー宅急便」は北信越、「ゴルフ往復宅急便」は関東の支社からです。

震災で見せたドライバーの機転は、決して偶然の産物ではないのです。
多くの企業が掲げる「顧客第一主義」が本物かどうか。
逆境の時こそ、人間や企業の本性が垣間見えます。
理念の浸透と不断の努力が、各社にて非常時にどれだけ生かされたのかが、今回の「日経ビジネス」の特集「2011年版アフターサービスランキング」で説明されています。

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ヤマト運輸といえば、黒猫のロゴマークの認知度が高いですよね。

kuronekoyamatorogo01.JPG

このマークの由来は、下記のサイトで解説していました。

●クロネコヤマトのマーク - 関心空間
http://www.kanshin.com/keyword/1815858

親ネコが子ネコを運ぶように、お客様のお荷物を丁寧に取り扱うという意味が込められています。
アメリカのアライド・ヴァンラインズ社のマスコット・マークを許可を得てモチーフにしたもの。
広報マンが子供の落書きをヒントに、黒く塗りつぶして黒猫にしたそうです。

トップの考え・企業理念が、しっかりと現場の社員にまで浸透している会社。
だからこそ、現場から新たなサービスが生まれたり、有事には機転を効かせて対応できるのでしょう。
こういう会社は基盤が強固ですから、ちょっとやそっとでは揺るぎないでしょうね。

そういう会社を知って「羨ましい」「この会社で働きたい」と、隣の芝が青く見えているだけでは駄目ですよね。
「それじゃあ、自分の会社に置き換えたら、現場からどんなアイディアが出てくるだろうか?」と考えないとね。

Posted by kanzaki at 2011年07月22日 22:04