2012年02月25日

社会を上手に渡り歩いている人は、「頭のいい質問」をしている

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今回の3つのあらすじ

・高校生の約6割が勉強していない
・大人の発達障害が増えている
・頭のいい質問のコツとは
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社会に出ると、身につけている知識・技能の多さより、相手から上手に多くの知識・経験を引き出せる能力の方が、社会を渡りやすいという事を書きたいと思います。

【高校生の約6割が勉強していない】

国立大財務センターの金子教授は、高校の最大の問題点は、学力中位層が勉強をしなくなったことだと指摘しています。

高校生の約6割が、自宅で殆ど勉強していないそうです。
具体的に言うと、選抜入学試験のある大学を目指す約3割以外は勉強していません。
多くの学生が、自分で学ぶ習慣が出来ていないまま、社会へ出ることになります。

小中学生の教育改革は議論されることが多いのに、高校はあまり問題にあがりません。
理由は、文部科学省が口を出さないからです。
文部科学省は、小中学校の教員給与の一部を負担しています。
しかし高校は、都道府県が事務担当なのです。
文部科学省は、指導要領を定め教育過程を監督する権限はあっても、高校教育を総合的に見ることはありません。
そして都道府県は高校教育を体系的に考えるのが苦手なのです。

行政、高校教員、研究者、いずれも高校教育のあり方を体系的に議論していません。

今の授業法は、成績上位者以外は、無理に教室へつなぎとめるだけ。
教科の専門知識を教えても興味を持ちません。

金子教授は、生徒たちの学習意欲を高めるため、基礎能力を測る検定試験を提案しています。
教科だけではなく、一定の理解能力や日常生活に関連する計算力などに関連した能力も検定。
何回も受けられ、合格・不合格ではなく、A〜Cなど段階的に示すのだそうです。

一方、企業の人事担当者が指摘するのは、学生たちの人格的な成長の未熟さです。
大人になっていない。
自分に責任を持ち、多様な事柄を考えまとめる力がない。
そういう力を、いかに教育でつけていくかが重要ですが、それを語れる研究者は殆どいません。

学生の未熟さを指摘しているけれど、神崎が思うに、指導する大人が未熟だからだと思います。
せっかく知識・経験は豊富なのに、それを若い人達へ上手に伝えられないのです。

※※※

【大人の発達障害】

実際のところ、勉強が出来る方が、社会へ出る際に好条件の場所で働くチャンスが高いですよね。
しかし、せっかく好条件の場所で働けても、ちゃんと働けない人もいるそうです。

●成績優秀なのに仕事ができない “大人の発達障害”急増の真実|「引きこもり」するオトナたち|ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/6222

●成績優秀なのに仕事ができない “大人の発達障害”に向く仕事、向かない仕事|「引きこもり」するオトナたち|ダイヤモンド・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/16264

やるべきことを先延ばしにする。
仕事のミスが多い。
時間に遅れる。
人の話を聞かない。
人付き合いがうまくできない。
場の空気が読めない。
キレやすい。
落ち着きがない。
片づけられない

そんな“大人の発達障害”が問題になっているそうです。
「大人の発達障害」の場合、うつ病や依存症を併発するなど、より大きな問題を引き起こしかねないことが明らかになってきています。

企業の人事担当者が指摘する、「学生たちの人格的な成長の未熟さ」というのは、実際に仕事を始めた時に、こういう形で現れるのは確かです。
"大人の発達障害"という「病気」でくくるほどじゃなくても、「性格」はあると思います。

でも私は思うのですが、今の年配よりも、若い人達の方が知識や能力的には断然上だと思うのです。
一歩自分を引いて協調性を見出そうという姿勢もちゃんと伺えます。

ミスをするのは、今の若い人も、昔の若い人も同じ。
問題は、上司や先輩にあると思います。
そのミスをした時、それを上司が感情的に怒るのではなく、ちゃんと指導しなくてはいけないと思うのです。
失敗から多くの事を学ぶには、適切な指導が必要。
感情的に責められると、萎縮するばかりで前へは進めません。

学校の中の大人とは違い、会社や組織というのは、誰もが聖人君子ではありません。
説明や指導の仕方を身につけている人ばかりでもありません。
歳を重ねたからといって、立派な人という訳ではない。
ただし、歴戦をくぐり抜けてきた強者であることは確かです。
その辺は、ぬるま湯の環境の人とはハングリーさが違います。
学べる部分は沢山あります。

※※※

【頭のいい質問「すぐできる」コツ 】

歴戦をくぐり抜けてきた大人だからといって、ちゃんと後輩達を適切に指導できるとは限りません。
でも、そういう人達から学ばなければ、仕事をすることが出来ないのも事実。

歴戦の勇者の持っている素晴らしい能力や考えを多く学ぶ方法は、「頭のいい質問」をすることだと思います。
聞く側がウマイ質問をすると、上司や先輩たちの良い部分を引き出すことができます。
それがひいては、質問した側の栄養となって身につくのです。

学校と違って多くの仕事は、アバウトなマニュアルはあっても、実践に即した細かい部分は書いてありません。
細かいことは、上司や先輩の頭の中にあるのです。

仕事の出来る人になるには、頭のいい質問をする技術を身につけるのが近道だと思います。
いい質問は、仕事のミスを減らせますし、コミュニケーション能力も高評価となります。

そこで、こんな本をご紹介します。

●頭のいい質問「すぐできる」コツ(著・鶴野 充茂)
http://amazon.jp/dp/4837978193

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仕事をしていく上で「頭のいい人」の質問は、相手とうまくコミュニケーションをとったり、自分のアイディアの提案、自分の思い通りに仕事をすすめることを意識しています。
単に、自分の知らない事を相手から聞き出すだけではないのです。

頭のいい人は、自分が主人公となって質問をします。
自分の協力者になってもらいたい為に相手へ質問するのです。

信頼度があがる質問方法があります。
それは「確認の質問」、次に「提案の質問」の順で行うのです。
前半の「確認の質問」をすることで、相手の要望が分かっていることを伝える効果があります。

上司が「これを明日までに仕上げて欲しい」と言ってきたら、「明日までですね(確認の質問)。でも昼まででも良いですか?(提案の質問)」という感じです。
これだと納得できるものです。

自分の意見を通したい場合は、質問の形にすると良いでしょう。
順番としては、「質問という形で提案」をして、次に「論理的な理由」を述べます。

「それは、やめた方が良いのではないでしょうか?(質問という形での提案) 原価率が高すぎると思います(論理的な理由)」とすると、意見も通りやすいし、カドが立ちにくいものです。

多くの情報を引き出したければ、「他の選択肢はありますか?」と聞くと良いそうです。
質問を受けた方は、他の選択肢を知っていると、教えてくれるものです。

また、重要なポイントを引き出すには、「3つあげてください」と言うと、引き出しが多い人ほど話しやすいそうです。

印象を良くするには、質問の仕方にも作法があります。
相手が知識豊富なことや答えたい事、相手の自負していることを聞くと良いそうです。

頭のいい質問ができる人は将来、自分の後輩や新人の良さを引き出す事も出来ると思います。
是非、身につけておきたいスキルですね。

●【関連記事】神崎のナナメ読み: ガミガミと叱責したり、逆に評価してくれない上司への対応方法
http://kanzaki.sub.jp/archives/002587.html

Posted by kanzaki at 2012年02月25日 20:10