2012年02月23日

「刺し身の法則」とは?〜組織の中に無駄な人材はいない

sasimi01.JPG

日経ビジネスにて、「刺し身の法則」について解説していました。

解説者は、企業・組織のメンタルヘルス対策を支援する神田東クリニックの吉村副院長です。

●神田東クリニック
http://www.iomhj.com/clinic/index.html

【刺し身の法則とは?】

ミツバチやアリは集団生活をしていますよね。
みんな同じように群れているように見えますが、実は違います。

集団の3割はせっせと働き、4割は普通に働く。
そして残り3割はあまり働かないのです。

そんな上記の構成の集団から、せっせと働く3割を除いても、あるいは、あまり働かない3割を除いても、残った集団は自然にまた上記の3割、4割、3割に分かれるのです。

「3割、4割、3割」→「サシミ」→「刺し身」の法則となるのです。

【人の社会も刺し身】

刺し身の法則は、昆虫の世界だけではありません。
我々人間の世界でも当てはまります。

つまり、10人のスタッフがいれば、3人はとても優秀な人、4人は優秀な人、3人は普通の人に分かれるのです。
(さすがに"働かない人"というのは失礼なので、柔らかく表現)

人事権がある人が、これを見てどう思うでしょうか?

「ならば、普通の人をどこかへ飛ばし、よそから優秀な人材をいれるとしよう!」なんて思うかもしれません。

つまり、「3割、4割、3割」→「3割、6割、0割」になる訳です。
優秀な人が増えたのですから、その組織は更に素晴らしいものになると期待しちやいますよね。

しかし、それは否。
その新しい組織は、いつの間にか「3割、4割、3割」に分かれてしまうのです。

反対に、優秀な人が抜けてしまったとしても、普通だった人がいつの間にか優秀な人になり、「3割、4割、3割」は維持されてしまうのです。

不思議な比率ですよね。
勿論、必ずそうなる訳ではありませんが、人の社会心理学上、こうなる傾向にあります。

この「3割、4割、3割」の比率は、他にも当てはまるそうです。
例えば、「営業で自分に気を向けてくれる人の比率」や「ある物事の好き嫌いの程度の比率」などです。
普段の生活に、この比率を当てはめて検証してみるのも面白いかもしれませんね。

ちなみに同じ「3、4、3」でも、ザックジャパンのフォーメーション「3-4-3システム」は関係ないのかな?
いや、集団である以上、何かしら関連性があるのかも。

【組織の中に無駄な人材はいない】

上記の記事は、単にこの法則を説明しただけではありませんでした。
むしろ、ここからが素晴らしい。

「刺し身の法則」の意味するところは、組織の中に無駄な人材はいないという事です。

ほんのちょっとした環境の変化がきっかけとなり、普通の人でも優秀な人材になれる可能性が十分にあるのです。

反対に、どうしても今の場所で自分の脳力を発揮できないと思う場合は、環境を変えてみるのも一つの手です。

・今いる組織から離れて別の組織へ入る(異動、転職)。

・自分から新たに組織を作る(創部、起業)。

上記のような方法で、自分が高い能力の集団に入れるように努力してみるのもアリです。

組織の人の存在価値は、絶対的なものではなく、目標、構成、時期など相対的なものに依存・変化するのです。

※※※

この前も、アリの集団について説明しました。

●神崎のナナメ読み: 働かないアリが7割もいるが、ちゃんと意義がある〜1日30分のブラブラ社員のススメ
http://kanzaki.sub.jp/archives/002573.html

この記事では、働かないアリは、突発的に起きた不測の事態に対処できるように存在していると書きました。

捉え方は少し違いますが、「組織の中に無駄な人材はいない」という観点では、今回と同じではないかと思います。

「刺し身の法則」に希望を感じるのは、私のような平凡な人間でも、時と場所によっては表舞台にあがることがあるという事です。
決して、その人が持っているスペック云々で評価が決まるわけではないのです。

「環境が人を育てる」と言いますが、まさに「刺し身の法則」の事ですよね。
優秀な人が抜けてしまっても、その下にいて目立たなかった人が代わりに活躍するのです。

逆に、優秀だった人が、環境によっては普通の評価になる可能性もあるのです。
「(ネガティブな意味で)朱に交われば赤く染まる」・・・ちょっと例えが違うか?

そう思うと、組織の人事というのは、非常に重要だという事が分かりますよね。

そういや自分自身にも思い当たる節があります。
以前所属していた部署では、本当に地味な働きぶりでした。
なにせ、自分には全く知識も無いし、吸収できる能力もない。
いつも失敗してばかり。
自信を持って働けませんでした。

新しい部署へ行ってからは、自分の得意な知識・技能を活かせる仕事だったので、だいぶ能力が開花したように思います。
以前よりは自信を持って働けるようになりました。
そうすると、どんどん知識も経験も吸収が良くなり、向上します。

同じ人間でも、場所によって働きぶりが随分と変わってしまう。
そういう意味では、今の場所で思う存分に働けているのは、そういう場所で働くことを許してくださった方達のおかげなんですよね。
感謝しつくしても足りないぐらいです。

Posted by kanzaki at 2012年02月23日 22:51