2012年02月09日

働かないアリが7割もいるが、ちゃんと意義がある〜1日30分のブラブラ社員のススメ

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【働かないアリが7割もいる】

働きものの代名詞といえば、アリ(蟻)ですよね。
みんな、せっせと働いているかといえばそうでもありません。

実際には、巣の中にいる7割のアリは働いていない事が分かりました。
しかも、一生働かないアリが1割もいたのです。

そんな事実が書かれていたのが下記の本です。

●働かないアリに意義がある(長谷川 英祐・著)
http://amazon.jp/dp/4840136610/

【どうして、働かないアリがいるのか?】

世の中は予測不能な事がたくさんありますよね。
突然、エサが見つかったとします。
その時、全員でエサを回収に行ってしまったら、巣を守るアリがいなくなってしまいます。
そんな突然の時、普段は働いていないアリが働き始めるのです。

想定外の突発的な事が起きた時、それに対応できないと全滅してしまう可能性があります。
「予測不可能性」に満ちた世界では、普段は働かないアリも必要なのです。

【組織には、働かないアリも必要】

「反応閾値(はんのういきち)」という言葉があります。
これは、仕事に対する腰の軽さの個体差を意味します。
アリにもあるし、人間にもあります。

反応閾値が低いアリが、ちょっとした刺激・物事で働き出します。
敏感なものが、普段から働いているアリです。
反応閾値が高いアリ=鈍感なアリは、敏感なアリが忙し過ぎたり、不測の事態が起きてから働きはじめます。
個体差があるから、アリの巣というコロニー全体が臨機応変に動きます。
それにより、全滅という危機から回避出来るのです。

みんなが同じ時間に一斉に働くと、疲れのも同じような時に起こります。
一斉に休んでしまうと、それはとても困るのです。
なぜなら卵の世話は、少しの時間でも途切れると駄目だからです。
次世代を残さなければ、それは全滅を意味します。
そんな時、普段は働かないアリがいると、全滅から回避出来ます。

働かないアリがいる非効率的なシステムの方が、長い目で見ると良い組織なのです。

※※※

【1日30分のブラブラ社員のススメ】

アリという小さな世界の組織を観察すると、やはり人間に当てはめてしまいますよね。
組織変革コンサルタントの手塚利男さん(株式会社プロフェス代表)が、「1日30分のブラブラ社員のススメ」を提案しています。

●手塚利男ブログ|株式会社プロフェス
http://www.professi.co.jp/blog

・手塚 利男(てづか としお)
1952年山形県南陽市生まれ。いすゞ自動車に入社、生産技術担当、トヨタ生産方式をモデルにしたいすゞ生産方式の構築担当。
1991年いすゞ自動車の風土改革活動に自ら手を挙げて参加、全社風土変革活動において、“ブラブラ社員”として、現場から会長社長室まで出入り自由な身として社内風土変革活動の全社推進担当。
1997年川崎工場の総務部長として、風土変革活動支援を兼務しながら、人事総務による規制を緩和して“のびのびした工場づくり”に取組む。
1999年いすゞ自動車の100%出資会社「キャリア開発」に取締役として出向、人材紹介事業、通訳翻訳事業を担当。
2001年いすゞ自動車退社後、いすゞ自動車でのいすゞ生産方式の構築経験と組織風土変革活動の経験をもとに、株式会社スコラ・コンサルトに共に「“やらせない”工場変革」と「組織風土変革」のコンサルティングを開始。
2006年株式会社プロフェス(風土変革支援会社)を設立し、自動車・電機・機械など開発生産販売型のメーカー系企業を主体に、組織風土・体質変革の支援を行なっている。


手塚さんは以前、いすゞ自動車の総務部に所属していました。
名刺の肩書きは「人事部人事課グループ課長」でしたが、社内では「ブラブラ社員」と呼ばれていました。
社員が抱える問題を解決したり、部門間のパイプ役になり、優れたアイディアなどを掘り起こすのが役割です。

このブラブラ社員は、赤字経営を立て直すため、改革の中で生まれました。
上から与えられる仕事は一切ありません。
工場や役員室にも自由に出入りし、幹部とも直接話し合います。

ピラミッド型の各部門縦割り組織の大会社の中で、各部門の社員が本音をぶつけあう異職種交流会などを設けたりしました。
いつしか組織内の風通しが良くなり、経営側と社員の間の信頼感、部門間の協力関係が強くなり、チャレンジングな取り組みがあちこちで生まれました。

ブラブラ社員は、大企業病を患った組織に風穴を開けるために生まれましたが、今は中小企業でもブラブラ社員が求められています。

自部署や自分の利益を守るために壁を作り、素晴らしい知恵がありながら、互いに生かし合わない職場が多くなっているからです。

原因はリストラの不安などがあるのでしょう。
他を気遣う余裕がなくなっているのです。

ブラブラ社員を専任化する必要はありません。
1日30分、ブラブラ社員になってみましょう。

他部署へ会議に行った際、会議が終わった後にすぐ戻らず、その部署の知っている人と30分でいいので情報交換するのです。
特に、マネジメントクラスの方には必要な行動です。

この行動は、ミツバチや蝶が草花の間を飛び交い、受粉(送粉)するのに似ています。
それにより、自然が豊かな環境が出来るのです。

※※※

組織の中で本道・王道な仕事を地道に行う人がいなければ、当然、組織は成り立ちません。
けれどそれと同じぐらい、イレギュラーな人が必要なのです。
それが、「働かないアリ」や「ブラブラ社員」です。

働き続けていくと、自分の仕事内容や成果に疑問を持つことはよくあります。
そんな時、頭の中でモヤモヤしているより、他の部署へブラブラとしてみるのも良いのかもしれません。
自分の仕事を客観視出来たり、他部署との思わぬ化学反応があるかも。

人間である以上、同じ組織内にいても個体差があるのは当然。
むしろ、その個体差を良しとする社風こそが、変革のきっかけとなるのでしょうね。

Posted by kanzaki at 2012年02月09日 22:46