【転職をススメない理由】
「転職したくなった時、どう考えればよいのか?」
本田コンサルタントの本田さん。
彼は、転職の相談に来る人に、転職を勧めていません。
理由は、相談をもちかけてくるタイプには、「ぜひ転職をしなさい!」と言えるような人物が少ないからです。
他社からヘッドハンティングされる優秀な人材や、転職を人生の成功戦略として折り込み済みの人は、そもそもその時点で迷ったりしません。
自分の意志で、ステップアップしていきます。
迷ったり悩む理由の多くは、職場の不適合(仕事に満足できない、能力を発揮できない)か、人間関係が問題です。
そういう場合、たいていは自分の側にも問題があります。
本当に、言うほどの能力を持っているの?
その人間関係の問題は、どこの職場にもあるよ?
伸びる人材はどんな職場でも、それなりに頭角を現すものです。
本田さんが引き止めたにも関わらず、そのまま転職した場合、8割の確率でその人達は後悔しています。
「やめてしばらくしてから、自分の会社の良さがわかるようになりました」
そう思っても、後悔先に立たず。
※
【プラス面とマイナス面のバランスシートを書く】
本田さんは、相談に来る人達へ、こんな助言をします。
「今の職場のマイナス面とプラス面をそれぞれ10項目以上、列挙してみましょう」
転職を希望する人は、現状のマイナス面をあげるのは簡単です。
しかし、プラス面を探すのは難しいです。
プラスの側面についても、キチンと認識できるほど冷静で、客観的ならば、そう簡単に転職を決断しません。
冷静になれば、今の会社の良い所をいくつもあげられるはずです。
自分の会社のプラス面とマイナス面のバランスシートを書けないのは、冷静沈着な判断ができる状態ではないという事です。
そんな状態での転職は、リスクが高いです。
その自覚がなければ、転職の成功は、はなからおぼつかないのです。
3ヶ月間、思いっきり働きながら、会社評価のバランスシートを書いて、それから結論を出してみても遅くはありません。
いま持っていない幸福について、人は想像をたくましくし、過大に評価します。
反対に、いま持っている幸福については、過小評価する傾向があります。
大きな決断に際しては、いま持っていない幸福だけではなく、持っている幸福についても正しく計算できる知恵が必要です。
※※※
【相手の良い面を見つける】
私も人間関係で悩むことがあります。
母に相談した時、こう言われました。
「嫌だと思うと、どうしても相手の悪い面ばかり見てしまう。
冷静になっていない状態。
けれど、よーく観察してみると、良い点を見つける事ができる。
それを評価してあげると、自ずと相手に笑顔を向けやすくなる。
口角をあげた笑顔を向けられて、嫌な人はいない。
そこから人間関係が築ける」
また、深夜番組「マツコ&有吉の怒り新党」にて、マツコ・デラックスさんはこんな事を言っていました。
「嫌な上司でも、良い部分を見つけて評価するのは、下の者達の義務」
共に、本田さんの転職のアドバイスに通ずるものがあります。
プラス面とマイナス面のバランスシートを冷静に考えると、道が開けるようです。
※※※
【夏目漱石・夢十夜】
本田さんは、転職で悩んでいる人に、ある小説を勧めています。
夏目漱石の短篇集「夢十夜」の中の「第七夜」です。
どれも悪夢的な内容ですが、第七夜は自殺にまつわるお話しです。
【朗読】『夢十夜』 □第七夜□ 【夏目漱石】 - YouTube
●夏目漱石 夢十夜-青空文庫
http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/799_14972.html
主人公は大きな船に乗っています。
悩み大きい彼は、船から身を投げ、自殺しようと考えます。
数日が経った夜、彼は甲板から海へ飛び込みました。
自分の足が甲板を離れた瞬間、急に命が惜しくなりました。
しかしもう遅い。
彼は、無限の後悔と恐怖を抱き、黒い波の方へ静かに落ちて行きました。
これがお話しの内容です。
自殺を決行した人の多くは、一瞬後悔を感じ、しかし既に足は地を離れているので、やがて意識を失うのでしょう。
夏目漱石は、重度の胃潰瘍と神経衰弱に悩まされ続けました。
そんな彼は、このような夢を何度も見たに違いありません。
現代の社会では、転職において、同じような感覚を味わう人が大勢います。
実行する前に、プラス面とマイナス面のバランスシートを書き、この小説を読んでみましょう。
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