「本当にその影響が浸透した時、かえって、個性は際立たなくなる」
脳科学者・茂木健一郎さんは、そう語ります。
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ハワイは、日本の文化の影響が、深く広く根付いています。
もともとハワイは日系人が多く、現在でも20万人近くが住んでいるためです。
例えば、「アロハシャツ」。
これは元々、日本の着物を使ってつくられたものです。
日系移民の方から始まった服装が、今では正装として使われています。
ハワイのローカルの人たちに、日本語そのままで通じるものがあります。
「ゾウリ(草履)」、「ベントー(弁当)」、「ショウユ(醤油)」などです。
茂木さんは現地でふと気づきます。
日本の影響が大きいにも関わらず、ハワイの風光の下で見ると、「日本」があまり際立たないのです。
アロハシャツは既にハワイそのものだし、街で歩いて目に付く日本語すら、景色に溶け込んでいるのです。
※
経済産業省は「クール・ジャパン」と称し、マンガ・アニメなどのポップカルチャーを海外に「輸出」しようとしています。
日本の文化という個性を際立たせたまま海外へ売り込む魂胆です。
茂木さんは、ハワイにおける日本的なものの浸透ぶりを見ていると、この「クール・ジャパン」に疑問を感じるのです。
ハワイで「寿司」といえば、
「カリフォルニア・ロール(カニ風味かまぼことアボカドの巻き寿司)」
「キャタピラ・ロール(ウナギとアボカドの巻き寿司)」
など、アメリカで考案された巻物が人気です。
このように「現地化」「変形」したものこそが、深く浸透した日本の影響の果実なのです。
ホノルルに来る日本人の間で、現地で考案された天ぷらを寿司にしたものが人気だそうです。
いずれ、日本に逆輸入されるかもしれません。
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ここまでの考察で冒頭の言葉が出てきます。
「本当にその影響が浸透した時、かえって、個性は際立たなくなる」
文化輸出戦略としてクール・ジャパンも必要ですが、日本の影響は既に、広く深く及んでいるのです。
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他国の文化が、現地の文化や風習に取り入れられ、オリジナルとは違った形で根付くというのは有り得る話しです。
また、「間違った解釈」が進化して、現地にて、オリジナルを超える商品になるものもあるでしょうね。
これだけ時代が進み、ネットの普及もあるおかげで、世界間の時間と距離は縮まったはず。
それは異国間での「情報の互換性」の正確さにも繋がるはずです。
けれど他国の文化は、そのまま現地に浸透しません。
日本もこれだけ世界のエッセンスを吸い込みまくっているにも関わらず、国際化した国という感じはありません。
昔の日本と変わった感じはない。
茂木さんの言う「本当にその影響が浸透した時、かえって、個性は際立たなくなる」が理由なんでしょうね。
よく考えてみれば、日ごろ仕事やプライベートで当たり前に使っているパソコンのOS「Windows」だって海外製です。
iPhoneだって日本生まれじゃない。
日常で当たり前に使っているから、「海外製」という個性を感じません。
歌とか芸術は、インパクト勝負の面が強いから、個性でアピールするのでしょうが、継続的な人気と浸透は難しいですよね。
持ち込まれた芸術の技法を、現地の人が習得し、創作活動していく中で変化し、オリジナルを脅かす存在になるというルートはあるかもしれません。
影響力の大きさと個性が、こうも反比例することに驚きました。
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