2013年05月21日

佐賀県武雄市の公立図書館「武雄市図書館」はTSUTAYAが運営〜1冊借りるとTポイントカードが3ポイント貯まります

社会人になってはじめて、風邪で病院へ行きました。
39度の熱とか、つらい日々でした。
ご心配おかけしました。
以下、額に冷却シートを貼り、OS-1を飲んで書きました。


【TSUTAYAが図書館はじめました】


佐賀県武雄市の公立図書館は、TSUTAYAに運営を委託しています(日経より)。


●武雄市図書館
http://www.epochal.city.takeo.lg.jp/winj/opac/top.do

takeo01.JPG
(館内の写真)


武雄市は、市のホームページをフェイスブックで運営していることでも有名ですね。

●武雄市役所 | Facebook
https://www.facebook.com/takeocity


武雄市図書館の入り口近くには、DVDレンタルの「TSUTAYA」、新刊書の「蔦屋書店」、コーヒーチェーン店「スターバックスコーヒー」があります。
20万冊以上の蔵書が並ぶ館内。
閲覧座席は、利用者で満杯です。


昨年5月、TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が、市立図書館の指定管理者となりました。
5年間、運営を請け負います。
市が4億5千万円、CCCが3億円を出して建物を改装し、今年4月1日にオープンしました。


開館時間は午前9時〜午後9時。
今までより4時間延長、年中無休になりました。
TSUTAYAのポイントカード「Tカード」を図書館の利用カードとして使えます。
1回の貸し出しで3ポイント(3円相当)がつきます。


図書館司書13人は、CCCが継続雇用。
レンタル店の利益などで人件費を補います。


市はCCCへ、年間1億1千万円の委託料を支払っています。
直接運営に比べ、年1千万円のコスト削減を目指します。



【来館者は5倍になりました。近隣店は悲鳴】


オープンから1ヶ月の4月末時点の来館者数は、1日平均3312人。
改装前の5倍です。
週末になりますと、県外からの来館者が4割も占め、観光スポットになりつつあります。
今後はリピーターを増やすため、開館時間の更なる延長や、施設の拡張も検討しています。


地元の書店やDVDレンタル店にとっては脅威そのもの。
実際、売り上げが1割り減った書店もあります。


市が税金で書店を誘致したと見る人もいます。
来館を書籍販売やレンタル利用など自社の利益に誘導しているとの批判もあります。
市はそれに対し、年間約600万円の適正な賃料を受け取っていると反論しています。


本を借りるとTカードのポイントが付与されるのは、書籍の無償貸与を非営利に限定している著作権法に抵触するとの指摘もあります。
それに対し市は、窓口業務省力化への協力の対価であり問題ないと語っています。



【広がる民間委託】


2012年、公共図書館の書籍購入予算は約209億円。
10年前より2割減です。


そんな中、図書館の運営を民間委託する動きは広がっています。
財政難の自治体が、効率化と魅力向上を手に入れるためです。
既に2011年度時点で、全体の約9%、298館に上ります。


以前、「カツ丼を食べながら読書できる図書館」としてご紹介しました日比谷図書文化館。
こちらは2011年11月から、出版大手出資の「小学館集英社プロダクション」など5社の企業グループが運営しています。


※※※


私は図書館で本をたくさん借りていますから、もし武雄市図書館でかりていたら、ポイントが相当貯まるだろうなあ。
図書館が中心柱になり、本を買いたければ蔦屋書店、映画をレンタルしたければツタヤ、コーヒーを飲みたければスタバ。
無料施設を軸にした、実にうまい商いですね。
今後も増えるでしょうし、近所に出来ないかなと期待しております。


図書館は最近、単に本を借りる場所ではなく、コミュニケーションの場として使ってもらう方向へシフトしています。
県外からの来館者が増え、観光名所にもなったのですから、その点でも成功しています。


ただし怖いのは、「地方のイオン」みたいな状態になること。
地方にイオンが進出すると、今まであったお店の客が奪われ、商店街を駆逐します。
怖いのはその後。
そのイオンの売り上げが芳しくなく撤退すると、物を買う場所は無いは、人はいなくなるはで、一帯が廃墟状態になります。


図書館の人気で、まわりの本屋やレンタル屋が駆逐される日が来るかもしれません。
まあ、地方の本屋にとって一番の強敵は、万引きとアマゾンですが・・・・


※※※


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Posted by kanzaki at 2013年05月21日 21:38