この日本画を描いてから、約11ヶ月が経過しました。
作業しない期間もあったとはいえ、たった1枚の絵に、こんなに時間がかかるとは思いもしませんでした。
ヒマワリの黄色い花びらは、おおよそ彩色が終りました。
現在は、緑色の葉を彩色している最中です。
緑色の葉用に準備した岩絵の具は6色です。
上記写真の左から、
「若葉」
「若葉(上とは別のメーカー)」
「黄緑青」
「黒緑青」
「松葉緑青」
「裏葉緑青」
という名前の岩絵の具です。
岩絵の具は、二つの色を混ぜて別の色を作るという事が、基本的に出来ません。
緑色のグラデーションを5段階で表現したければ、5色必要です。
しかし本物の葉は、花びらと違って立体的ではなく、意外と平坦です。
その為、グラデーションを凝る必要もないので、とりあえず「若葉」、「若葉(左とは別のメーカー)」、「黄緑青」の3色で彩色しました。
また後で、濃淡をつける為に、別の色を追加して彩色するかもしれません。
最初、葉脈も筆で線を引いて描き込みました。
けれど、なんだか漫画チックになってしまい、上塗りして消しました。
黄色いヒマワリの花びらをグラデーションのみで表現したのに、葉だけ葉脈を描くと、アンバランスになったからです。
岩絵の具は彩色に失敗しても、その上から重ね塗りを何度かすれば、リカバリが可能です。
そのおかげで、何度も助かりましたよ。
また、何度も重ね塗りすることで、力強い描写・立体感にもなります(写真じゃ分かりにくいですが)。
左側の大きな葉の濃い色は、黒緑青を使いました。
下の色が薄く、この色は極端に濃い色なので、重ね塗りをしなくても、色が簡単に乗ります。
逆に言うと、部分的に失敗しても、ここだけは塗り消すのが難しいです(濃い色の線と線の間隔が、極端に狭いのもネック)。
その為、線一本一本を一発勝負で塗りました。
ここは非常に緊張しましたよ。
大きな葉の濃い部分以外は、たった3色しか使っていないのですが、岩絵の具と混ぜるニカワの温度や濃度で、彩色した際に変化が出るのが不思議です。
不思議ですが、同じ色の再現がしにくいので、逆にやっかいです。
この前の日曜日、日本画教室で彩色したのですが、部屋の温度が低いせいか、溶かしたニカワがすぐにゲル状に固まりました。
まめに電気ホットプレートの上で温め、ニカワを溶かしながら彩色し、ちょっと苦労しました。
冬は、日本画を描くのに不利です。
ニカワの温度管理も大変ですし、着ている衣類(特にウール)の毛が岩絵の具に混じってしまい、着色を邪魔するからです。
温度管理に関しては、暖房器具でなんとかなりますが、エアコンやファンヒーターの無かった大昔は大変だったでしょうね。
私は彩色の際、「面相筆」という細い筆だけを使っています。
たった一本で塗っていたら、筆の毛が殆んど抜けてしまいました。
岩絵の具を塗った表面は、とてもザラザラしています。
その上を筆で塗るというのは、紙やすりの上でこするのに似た感じなので、筆が駄目になっていきます。
その為、新しい面相筆を買いました。
毛は、狸(たぬき)です。
値段も安く、柔らかいので気に入っています。
他には馬や猫、鹿などの毛があります。
いろいろな毛のものを試したのですが、他のものは毛が硬くしっかりしていますが、紙の上で筆の先を自在にあやつりにくかったです。
柔らかい方が私には向いていました。
なんとか年内には、葉の部分をあらかた終わらせたいと思います。
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