2014年02月19日

ソチオリンピックのメダリストへの報奨金は、一時所得として課税されるのか?〜メダリストの法的な恩恵は、たった二つ


(今回のオリンピックにて俄然注目のスキージャンプ。
やはり、この面白アホ動画は見逃せません!)


【今は、メダリストへの報奨金は非課税】


オリンピックのメダリストには、JOC(公益財団法人日本オリンピック委員会)から報奨金が支払われます。
金 300万円、銀 200万円、銅 100万円です。


通常、報奨金は一時所得とみなされ、所得税の課税対象になります。
しかし、オリンピック・パラリンピックのメダリストへのJOCからの報奨金は非課税です。
JOC加盟の競技団体から報奨金が出る際も、上記と同じ金額まで非課税です。
(雑誌PRESIDENTより)



【昔は、報奨金も課税対象という鬼設定】


実は、1992年のバルセロナ・オリンピックまでは、メダリスト報奨金は課税対象でした。


JOC報奨金は1994年に租税特別措置法により非課税となり、2010年から所得税法にて非課税になりました。
その為、2012年のロンドン・オリンピックの報奨金からは非課税になっています。
JOC加盟の競技団体から報奨金は、2010年になってようやく、所得税法にて非課税になりました。
どちらも、1位300万円、2位200万円、3位100万円までの部分を非課税とします。


表彰として贈られたものに課税するのはなじまないため、非課税にしたらしいです。
大きな理由は、国民感情です。


きっかけは、バルセロナ・オリンピックにて、中学生だった岩崎恭子選手が金メダルを取った時、頑張ったのに報奨金に課税されるのは可愛そうだという声が、国民からあがったのがきっかけです。


わりと最近まで、課税対象になっていたなんて驚きですね。
非難の声が無ければ、そのまま課税されていたかもしれません。



【もう一つのメダリストへの恩恵】


もし、メダリストが借金で返済に困った場合でも、メダルは差し押さえられません。
引退後の生活が保証されているわけではありませんから、借金をするかもしれませんからね。


ただし本人の意志で、メダルを担保にお金を借りたり、売却して借金の返済に充てるのは自由です。


これは、民事執行法131条「債務者又はその親族が受けた勲章その他の名誉を表章する物」は、差し押さえできないとされているからです。


※※※


メダリストが法的に受けられる恩恵は、たった二つだけというのは、ちょっと意外でした。


韓国では、もっと恩恵があるそうです。


例えば、2010年のバンクーバーオリンピックでは、金メダルを取った場合、韓国政府から4000万ウォン(約312万円)、サムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)元会長から2000万ウォン(156万円)を支給するとしており、合計468万円ほどの報奨金がもらえました。
銀メダルの場合は約半分、銅メダルは3割ほどです。


韓国にはメダリストに対する年金制度があるそうです。
国際大会で累積されるポイント数に応じて年金を支給します。
オリンピックで金メダルを取れば90ポイント(銀・30ポイント、銅20ポイント)を獲得。
合計110ポイント以上で、年金上限額の100万ウォン(約7.8万円)が生涯にわたって支給されます。


また、男子選手は兵役免除の特典も用意されています。


他の国を見ますと、シンガポールは金メダルへの報奨金は約8450万円、マレーシアは約3300万円、ギリシアは約3000万円など、その時期の情勢によって変動もあるでしょうが、とにかく多いです。


スポーツ選手は幼い頃からのトレーニングに、莫大な費用がかかっています。
しかも、「レジェンド」にでもならない限り、選手生命はとても短いです。
せめて、スポーツの分野で活躍した選手たちへ、特別な年金制度を作っても良いのではないかと思います。

Posted by kanzaki at 2014年02月19日 23:29