2014年11月30日

「徒然草」に見る、酒を飲む最高のシチュエーション〜最明寺入道(北条時頼)

季語に「味噌造る」という言葉があります。
なんと、冬の季語なんです。
冬に自家用の味噌をつくることが、昔は風物詩だったのですね。



北条時頼(ほうじょうときより)は、鎌倉幕府の名執権(めいしっけん)といわれました。
武家政治の理想的指導者と考えられています。


30才の若さで出家(しゅっけ)して、最明寺入道(さいみょうじにゅうどう)となりました。


ちなみに、新潟県十日町市の中条地区とも関わりあいがあります。
北条時頼が諸国巡回の際、中条へ訪れ、笹山にあったお寺で休息したので「西明寺」と呼ばれるようになったと言い伝えられています。


出家後のエピソードが、「徒然草」にあります。
俳人・西村和子さんが、解説していました。



ある夜、最明寺入道が、平宣時朝臣(たいらのぶときのあそん)を呼びました。
急な話しなので、ちゃんとした服を準備できていない。
なかなか来ないから、使いの者が来て、「そのまんまでいいから来てください」と言われました。


入道は「いい酒が手に入ったのだが、一人で飲むには物足りないので呼びました」と言いました。
続けて、「ここに酒の肴がありません。家の者も寝てしまいました。何か無いか、家の中を探してください」と言いました。


仕方がないので探して回ると、台所の棚に、小皿にのせた味噌が少しありました。
「こんなものしか見つかりませんでした」と伝えると、「それで十分です」と、心よく杯を重ね、いい気分になられました。


いい酒が入って、心知れる者と酌み交わす。
質素なつまみで十分。
とても居心地の良い時間だったでしょうね。


お酒を美味しくいただく最高のシチュエーションです。
年末になると忘年会だなんだで、酒の席が増えますが、楽しくいただきましょうね。

Posted by kanzaki at 2014年11月30日 18:18