昭和女子大学学長・坂東眞理子さんが、「他力本願」についてお話ししていました。
お母様は、浄土真宗の教えの影響を受けて育ったそうです。
そのお母様の口癖が、「おあたえさま」でした。
人間には与えられた運命がある。
それを恨んでもしょうがない。
与えられたところで一生懸命努力するより仕方がないという考え。
大正時代に育ったお母様自身は、自分の人生を自分で決定できませんでした。
進学や結婚も、希望通りに進まなかったなかで、これが自分に与えられた運命だと納得させていたのです。
坂東眞理子さんは、そんなお母様の考え方が嫌いでした。
いかにも他力本願で、無気力なものに見えたからです。
だから自分の意志で進学、就職、結婚をし、ベストを尽くして社会で名を成す人生の勝利者になるのだと考えて生きてきました。
しかし、長い人生を振り返ってみると、自分で切り開いた人生のように見えて、実はいろんな偶然に助けられ、多くの人に助けられたおかげだったのだと、しみじみ思うそうです。
自力だけでここまで生きてきたと思うのは大変な思い違い。
何かわからない大いなるもののおかげでここまで来たのだと思わずにはおれない。
何か偉大なものの前では、ちっぽけな存在。
自分はどんな運命を与えられているのか全くわからないが、与えられた場でベストを尽くすよりほかはないのだと思うそうです。
※※※
むしろお母様は、尊敬に値する方だと私は思います。
下記の本を読んだからかもしれません。
●「反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」(著:草薙龍瞬)」を読んだ感想〜「人を動かす(著:デール カーネギー)」も結論は同じ。まずは「ありのまま」からスタートする
http://kanzaki.sub.jp/archives/003449.html
ムダな反応をせず、自分の置かれている立場を冷静に理解している。
だから、日ごろのストレスや怒り、落ち込みや心配などは少なく、穏やかに過ごされたのではないでしょうかね。
一方、坂東眞理子さんの方は、承認欲求が強すぎ。
「社会で名を成す人生の勝利者になりたい」だなんて、認められたい(認めて欲しい)という欲求そのものです。
ものすごくストレスや悩みに追い立てられる生き方です。
一番まわりに迷惑をかける生き方。
私が特に理解できないのが、「人間は、ちっぽけな存在」ということ。
これはよく、あちらこちらで耳にします。
本当にそうか?
これだけ地球を我が物顔で生きられる程の知恵と努力を積み重ねた人類は、むしろ賞賛に値すると思うのです。
しかも、一人だけじゃない。
各時代、それぞれがいろんな分野で頑張ってた成果なのです。
ちっぽけどころか、大きな存在ですよ。
地味に働いていると謙遜する人もいます。
そんなことはありません。
みんな、それぞれが持ち場で頑張っているから成立しているのです。
不要な人なんていません。
不要な人はいると言う人は、相手をちゃんと見ていない証拠です。
「自力だけでここまで生きてきたと思うのは大変な思い違い」という言葉も違うと思う。
なんでこんなに上から目線なんだよと感じます。
あたりまえじゃないですか。
「何かわからない大いなるもののおかげでここまで来たのだと思わずにはおれない」というけれど、何かわからないものではなく、まわりの皆さんのおかげじゃないですか。
「おあたえさま」という言葉をはじめて聞きました。
これは、強く生きていく上で、とても重要なキーワードになると思いました。
お母様の強い生き方をもっと知りたいと思いました。
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