2020年の漢字一文字は、オリンピックイヤーにちなんで「金」になるだろうと思っていました。
年の初め、誰もがそう予想していました。
それが、コロナショックにより、「金」が「菌」に変わってしまいました。
同じ「きん」という読み方なら、私は「錦」が好きです。
「錦」は、「きん」や「にしき」と読みます。
金糸や色糸を織りこんだ美しい模様の織物のこと。
転じて、美しくほめたたえるときの言葉です。
「錦」で画像検索すると、赤や朱、金などの明るい色使いを見ることができます。
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私の好きな小説「錦繍(きんしゅう) 」は、宮本輝さんの作品。
●錦繍 _ 宮本 輝 _ 日本の小説・文芸 _ Kindleストア _ Amazon
約10年前に離婚した男女がやりとりする、14通の手紙の文面で話しが進んでいきます。
テーマは一言でいうなら「再生」でしょうか。
「宇宙の不思議なからくり、生命の不思議なからくり」という臨死体験、輪廻転生にまつわる内容も書かれていたりします。
「生きていることと、死んでいることとは、もしかしたら同じことかも知れへん。」
こんな台詞のような作者の考えがちりばめられています。
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私は、身近な人を失うことに対し、若い時は荒波のような感情が押し寄せていました。
今はそういう波は立てず、静かに深く、その人を想うのみです。
もっと感情を出してもいいはずなのに、そうはならない。
感情が死んでしまったのではなく、なにか自分の中で「理解」とか「受け入れる」みたいなものが生まれたのだと思います。
心がすさんでいきそうな情勢。
まさか自分が生きている間に、このようなことが巻き起こるとは思いもしませんでした。
自分自身、そんな中でどう生きて、どう考えて行けばいいのか、正直分かりません。
金糸や色糸を織りこんだ美しい模様の織物の「錦」のように、美しい世界であってほしいものです。
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