●「周防正行」監督が明かす創作論 「いい監督ほど妥協する」 _ デイリー新潮
映画監督って、いい加減にならざるを得ないんですよ。
予算とか役者のスケジュールとか、いろいろ制約があるから。
本当はナイトシーンで雨を降らせたいけど、それができないとなったらデイシーンで代わりに何するんだって、そういうことの連続。
だから、どこまでをOKとするのか、どこで妥協するのかの判断が大事です。
役者がいない日にその人が出るシーンは撮れません。
屋外のシーンなら天気の問題もあるし、予算の制約は付きまとう。
映画を撮るというのはそういうことですから、映画監督は全てをコントロールしてるんじゃなくて、妥協点をコントロールしてるんです。
だけど、その妥協が思わぬ効用になることもあるんですよね。
スケジュールの都合でこの日しかなくて、でもそのおかげでこんないい画が撮れましたということもあるわけだし、そういう偶然性も含めてどこでOKと言うかですよね。
自分が狙っている画が撮れないからといって待ちに待ったら、撮影日数が切羽詰まって結局ほかで大幅な妥協をしなきゃいけなくなったとかね。
バランス良く妥協していくってことができないと。
※※※
アニメや漫画は、人物・背景・小物の形・表情・動きを作り手が思い通りにできます。
実写はそうはいきませんよね。
監督の「映画監督は妥協点をコントロールしている」というのが、とても印象的でした。
きっと仕事も含めた日常生活すべてが、妥協のコントロールなのでしょうね。
パワーの配分とか、どこまで完成度を求めるかとか。
この年齢になると、「いかに諦めるか」ということを意識しています。
何かをやるのではなくて、逆にやめるのね。
限られた時間の中ですべてをやることは出来ませんから。
以前、林 修先生が、「大切なのは、やりたいことよりできること」と語っていました。
このできるっていうのは、自分ができると思っていることではなくて、多くの他者が認めてくれることです。
そういうのは往々にして「やりたくないけどできる」事でして、当人は平気でできるのです。
妥協、やりたいことよりできること・・・。
多分、若い人はネガティブなイメージにとらえるでしょう。
けれどね、あとで分かってくるのですよ。
青い鳥なんていません。
パワーの配分を間違えないようにしてくださいね。
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