仕事でも勉強でも、そうそう能力に個人差があるとは思えません。
もし、AさんとBさんに違いがあるとすれば、それは「集中力」ではないでしょうか。
この集中力を出すことに最も邪魔なのは、「心ここにあらず」です。
頭の片隅でもやもやしている悩み事に意識を持っていかれてしまい、目の前のことに集中できないのです。
これを解決する方法として「ラベリング」という手法がありますので、ご紹介します。
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現代の悩める人たちにとっては、目の前の業務に全神経を注いで取り組むことは至難の業でしょう。
デスクワークをしながら、明日の商談のことで頭がいっぱいかもしれません。
週末に家族でドライブに行っても、仕事のことが頭から離れず、愛する子供や奥さんのことを考えていないという、悲しい現実も多々あります。
このような「心ここにあらず」すなわち「マインドワンダリング」の状態は、作業効率や集中力を阻害することが最新の脳科学の見地から明らかになってきています。
あれこれ考えを巡らして各所に気を配っていると、かえって全体の効率を著しく落としてしまうのです。
加えて自由で創造的なアイデアすら生まれにくくなってしまいます。
もともと人間は長時間一つのことに集中することが苦手です。
マイクロソフト社の発表によれば、人間が本当に集中を持続させている時間はわずか八秒にすぎないというデータもあるほどなのです。
集中力を高めるためには意識を呼吸に集中させ、さまよっている雑念を打ち消していくことが大切になります。
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ここでは「ラベリング」というテクニックを紹介します。
古来インドより伝えられる「ヴィパッサナー瞑想」という瞑想法の中で、特にマハーシ派と呼ばれる一派のメソッドで指導されてきましたが、現在では広くマインドフルネス瞑想の一つとして知られています。
いざ、目の前の仕事に集中しようと思ってもさまざまな雑念が浮かんでくることは避けようがありません。
「今日のこの後の予定は何だったっけな?」
「こんなことをしていて本当に意味があるのかな」
と自然に別の考えが浮かんできてしまいます。
「ラベリング」とはこのような雑念の内容を簡単な単語に置き換えて心の中で反芻することを言います。
そのとき心に浮かんだ雑念を単純な言葉にして心の中で唱えるのです。
たとえば「背中がかゆい」ということに注意が逸れた場合には「かゆみ」という単語を、「ハエが横切った」ことに気が散った場合には「ハエ」という単語を何度も唱えるといった具合です。
また「雑念」という単語そのものをラベリングするのも効果的です。
このようにラベリングした単語を何回か心で繰り返し唱えてから、「よし、仕事に戻ろう」 と唱え、再び今集中したい仕事に意識を向けるのです。
雑念が浮かぶたびにラベリングすることで、何度となく意識がずれても、結果として多くの時間を集中できます。
『「あるある」で学ぶ 余裕がないときの心の整え方 できるビジネス』(川野泰周 著)より)
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