●『12歳からはじめよう 学びのカタチ 優くん式「成績アップ」5つの秘密』(佐藤 優, 西原 理恵子 著)より
「敷衍」は聞きなれない言葉かもしれないね。読みもむずかしい。
「ふえん」って読むんだ。
これは、抽象的な説明を自分のことばでかみくだいてわかりやすく説明すること。
だから、要約の逆だと思えばいいよ。
敷衍は、要約にくらべてはるかにむずかしい。
要約は、ある文章から大事なところをまとめればいいから、材料は目の前にある。
でも敷衍は、説明をふくらませていくことだから、自分でつけくわえる材料を考えないといけない。
学校や塾の先生も「たとえば〜」というふうに、具体的な例を出して説明することがよくあるんじゃないかな。
そうやって具体例をあげて、わかりやすくかみくだくことも、重要な敷衍のテクニックだ。
だれかに何かを説明したり、自由に作文を書いたりする場合には、どこかで敷衍という作業が入ってくる。
そういった機会があれば、「これをわかりやすく説明するには、どうすればいいんだろう」と考えながら、話したり書いたりすることを心がけよう。
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私が中学生のときに教わった国語の先生のアドバイスをみんなにも伝えよう。
じつは、「要約」と「敷衍」は、著者が中学校の塾の先生に習ったことなんだ。
国語の時間、先生がホワイトボードに、「要約」「敷衍」という文字を書いて、つぎのように説明してくれた。
文章は、内容を変えずに、伸ばしたり、縮めたりすることができる。
短くすることを要約といい、長くする方法を敷衍という。
要約は、すこし訓練を積めば、だれにでもできるようになるが、敷衍はむずかしい。
いろいろな背景知識や、比較するほかの文学の例を知らないとできません。
高校入試問題でも、「要約せよ」という問題はたくさん出るけれども、「敷衍せよ」という問題は出ない。
しかし、大学生になったり、社会に出てから、ものごとを敷衍する力はとても重要になります。
高校入試の問題をいくつもこなしても、学力の伸びには限界があります。
よい文章をたくさん読んで、要約することです。
そのとき、アタマのなかで「だいたいこういうふうに要約できる」と考えるだけでは、要約の力はつきません。
かならず紙に書くことです。
この先生のアドバイスにしたがって、私はたくさんの本や文章を要約した。
そして作家になってからも、要約と敷衍は文章を書くうえでつねに意識しているんだ。
みんなも「かならず紙に書くこと」を忘れずに実践してほしい。
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【コメント】
「要約」は知っていても、「敷衍」は殆どの人が知らないのではないでしょうか。
それゆえ、「まとめる」ことの重要性は理解していても、「わかりやすく説明すること」は二の次になっている節があります。
特に大人同士、仕事の場合は要点をまとめて、結論を伝える場合が多いです。
スピードが第一ですから、限られた時間で行うならそうでしょうね。
わかりやすくするということは、説明のための文字数や時間が増えると思っている人が多いです。
違います。
真にわかりやすいものは、短くて平易な言葉になります。
これは要約とは異なります。
更に上のレベルです。
問題は、短くて平易にするには、ものすごく考えないといけない。
考える時間が足りないから、文字数が多いままだったり、自分の言葉で説明が出来ないのです。
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