●『人生の教養が身につく名言集―――「図太く」「賢く」「面白く」 (三笠書房 電子書籍)』(出口 治明 著)より
この『ハディース(イスラム教の預言者ムハンマドの言行録)』の中で私がとりわけ好きなのが、この言葉です。
「力強いとは、相手を倒すことではない。
怒って当然というときに自制できる力を持っていること」
私自身、長年生きてきてつくづく感じるのが、どんな事柄であれ怒ったら負けだということです。
なぜなら、怒りの感情に心が支配されてしまうと、ものの見事に判断力が鈍ってしまうからです。
そのようなときの言動や行動にロクなものはありません。
といっても、人間誰しも、怒りでカッとなるときはあります。
人間は感情の動物なので、腹が立てば怒ってしまう。
それはそれで仕方がないことだと思います。
しかし、だからこそ、それをコントロールできる人は強い。
ムハンマドの言うように、怒って当然というときに、その感情を自制(コントロール)できる人は本当の意味で強い。
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ベンチャーを経営するようになって気がつきましたが、気ままに怒れるのは、大きな組織で時間的な余裕が十分あるからなのです。
そのようなわけで、私自身、ムハンマドの言う「自制できる力」はまだまだです。
ただ、自分をコントロールする努力は続けています。
つねに100%コントロールすることは無理でも、「ここぞ」というときには、コントロールできるようにしたいと。
そして、自分をコントロールするコツとして行なっているのが、一呼吸を置くことです。
何か事が起きたときに、慌てふためいて、脊髄反射のごとく何も考えずに即座に反応してしまうのではなく、ふと力を抜いて一呼吸を置いてみる。
そのあいだ、思考をフル回転させます。
「これはいったいどういうことだろう」と考えてみる。
こうした習慣を持っていれば、たとえ、一瞬、怒りの感情でカーッとなったとしても、結果的には、目の前の状況に対して冷静に対応していくことができます。
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【コメント】
「怒り」はコントロールできた方が良いです。
私は人格者ではないですから、それは難しいです。
だから、この「一呼吸を置く」というこの一点だけを忘れないようにしたいと思います。
「反応してしまう心」は本心とは言えません。
単なる外部からの刺激に対する反射です。
本心は、もっと心の奥にあり、それは静かに脈を打っています。
落ち着いてそれを理解するためにも、「一呼吸を置く」を意識づけましょう。
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