●『定年前、しなくていい5つのこと〜「定年の常識」にダマされるな!〜 (光文社新書)』(大江 英樹 著)より
著名な作家・国文学者で「リンボウ先生」の愛称で知られている林望氏の著作に『臨終力』(ベスト新書)という本があります。
この中で林さんは「よく死ぬための6項目」というのを挙げられていますが、その中の一つに「60歳を過ぎたら『貯蓄』よりも『減蓄』」という項目があります。
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お金に限らず今まで自分が身に付けてきたもの、蓄えてきたものを、人生の後半で少しずつ処分していこうという考え方です。
さらに言えば、処分するというのは捨てるということだけではなく、後世に残す、引き継ぐという意味も含まれています。
つまり、いつまでも自分のものとして手元に置いておくのではなく、広く世の中の役に立ってもらえるよう、若い世代にも引き継いでもらうということです。
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職業柄、膨大な書物をお持ちです。
それらの中にはとても価値の高いものもあります。
そういうものをいつまでも自分の手元に置いておくのではなく、若い世代の研究者などで有効に活用してくれる人にはどんどん譲っていけばいいということです。
だから「減蓄」なのです。
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私なりの解釈を付け加えると、お金や物といった形あるものだけではなく、経験やノウハウといった知見、知的財産も、減蓄する対象の中には含まれると思っています。
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50代も後半になってくれば、それまでに自分が培った仕事上での経験やノウハウは、どんどん若い人たちに譲っていくべきです。
ところが中にはそういうことをせず、ノウハウや知見を後生大事に抱え込んで、部下や後輩に渡さないという人もいます。
自分だけがノウハウを持っているというブラックボックス状態にしておくことで、「余人を以て代え難し」という状況を作り出そうとするのです。
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知識や経験というのは、自分の中にしまっておいただけでは多くの場合陳腐化してしまいます。
いろいろな人に引き継がれ、その時代の洗礼を受けてこそ、ノウハウも時代に合わせて進化していくのではないでしょうか。
だからこそ減蓄が大事なのだと思います。
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【コメント】
私は、自分がやっている仕事の中身は、すべてデジタルで記録し、会社のサーバーに保管してあります。
同じ部署の方々はいつでも誰でも閲覧できるようにしています。
自分がやっている仕事の内容を自分だけのものにしないためです。
そして万が一、私が病気や怪我をした際、どんなことをしているのか分かるようにしておくためです。
仕事の引き継ぎって、なかなか短時間で詳細を伝えるのは無理です。
日頃から業務行動を記録していないと難しいものです。
マニュアルを作ろうと思っても一生できません。
それなら、詳細な行動記録をカテゴリー別、時系列に記録していった方がいい。
その折々に使用したファイルも添付したり、指定の場所に保存しているから、流用もしやすい。
自分の知識を自分の頭の中だけで保管している人は、それが他の人にとって迷惑な行為だと自覚した方が良いです。
少なくとも、現代の社会組織では考えを改めた方が良いです。
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