●『コミュニケーション・ストレス 男女のミゾを科学する (PHP新書)』(黒川 伊保子 著)より
昔の人は、郷に入れば郷に従え、と言った。
長年踏襲されてきた方式には深い意味がある。
それを身につけたとき、腹に落ちてくる暗黙の学びがある、と。
たしかに、それは、深遠の真理だと思う。
学生時代、共に茶道を習っていた友人が、早々と挫折した私にこう言ったことがある。
──「あなたは、高々お茶を入れるだけのことに、手順がなにやかや面倒くさすぎる」と言ったけど、あれ、身につけてみると、あの手順しかないとわかる。
手を動かしているうちに、すっと心が落ち着いて、自然に身体が手順を追うのよ。
すると、お茶室が宇宙に変わる。
どこにも無駄がなく、どこにも不足がない。
私は、友人のことばで、「郷に入れば郷に従え」ということばの深さを知った。
最初は違和感があっても、その世界に素直に身を置いてみる。
すると、その世界観が、自分の脳に入ってくる。そうやって人は成長できる。
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洗練の世界に身を置いて、素直に従い、達人になっていくことを私は素晴らしいと思う。
そういう修行の機会が、この世から消えてほしくない。
とはいえ、茶道が成立するのは、それが趣味嗜好の世界だからだ。
10人のうち1人が、私の友人のような陶酔の世界を知る。
それでいいのである。挫折した9人は、別の修行をすればいい。
もちろん、会社組織の中でも特殊技術を要する部署などには、このやり方があっていい。
別の部署への異動が叶うことを前提として。
しかしながら、性別、国籍・民族、身体状況の違う者が混じり合って共存する21世紀型の会社組織では、もう少し柔軟性が求められる。
ときには、急須に固執せず、やかんを持たせるような覚悟がいる。
(旦那が台所でお茶をいれる際、いつもお湯をこぼしているので、小さな急須ではなく、見栄えは悪くとも大きなやかんを使わせて対処する例え)
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【コメント】
「郷に入れば郷に従え」の良さが分かったうえで、それを出来ない人に無理強いしないことを解いていました。
「郷に入れば郷に従え」は大切だと思います。
その環境にとっての常識、文化は、長い年月の中で最適化されたものだから。
私のような普通より劣る人間の場合、まずはその最適化を身につけるのが大変です。
しかし、それを努力している姿勢は、相手にも伝わります。
「改善」はそれが身についてからでも良いのではないでしょうか。
そういうのは、周囲の理解と協力が必要ですから。
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